経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

エヌビディア・ショック

2024-03-16 07:37:09 | 株価
◇ 一時停止かUターンかは、この株しだい? = 日米の株価が大きく揺れ始めた。ダウ平均は2月23日に3万9132ドルの新高値を付けたあと、下げに転じた。日経平均も3月4日に4万円台乗せを達成したあと、11日にはことし最大の下げを記録している。これまで株価の大幅高を主導してきた半導体関連銘柄が、反落でも主役も演じた。そして、その半導体銘柄を先導したのがエヌビディアだ。市場では「エヌビディア・ショック」という言葉が使われ始めている。

エヌビディアはカリフォルニア州に本社を置く半導体メーカー。1993年に設立された新しい会社だが、ここへきて業績を驚異的に伸ばしている。売り上げは22年に世界12位だったものが、23年にはアップルやマイクロソフトを抑えて世界1位に。ことし1月期の純利益は43億ドルに達した。昨年2月に208ドルだった株価は、ことし3月7日には927ドルに上昇。ただ、その後は10%以上も値下がりし、時価総額を1300億ドル(20兆4000億円)も減少させている。

いまウオール街を大手を振って歩いているのが、MAG7と呼ばれる7企業だ。アップルやマイクロソフトなどの半導体・ITのビッグ5社に、EVのテスラと新興エヌビディアを加えたグループ。7社の時価総額は合計12兆ドル(1700兆円)、この1年間で70%も増加した。昨年、SP500の株価は24%上昇したが、この7社は74%も上昇。この7社以外の493社は10%の上昇にとどまっている。株価全体の上昇を、この7社が主導したことは明かだ。

東京市場でも、状況は同じ。アメリカで半導体関連銘柄が上がると、日本でも東京エレクトロンなどの半導体関連銘柄が急騰して、株価全体を引っ張り上げた。その意味では、東京市場を先導したのも、新興エヌビディアだったと言える。だとすると、今後の株価動向は、エヌビディアの動きを見ていれば判るのではないか。もちろん、この考え方が正しいかどうかは不明だが、説得力があるようにも思えてしまう。

         ≪15日の日経平均 = 下げ -99.74円≫

         【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     
   

大ピンチ! 介護職員が足りない(下)

2024-03-15 07:32:35 | 介護
◇ 大きな社会問題に発展する可能性 = 高齢化の進展で、福祉関係の費用が急激に増大している。たとえば、この20年間で医療費は6割、年金は5割も増えている。しかし介護費は別格、なんと4倍に跳ね上がった。00年の3兆3000億円が、23年には13兆5000億円に膨張している。この勢いは今後も衰えず、要介護者は00年の218万人から、40年度には2100万人に増大する見込みだ。

当然、必要な介護職員の数も急増する。厚労省によると、21年度に215万人だった介護職員は、25年度には243万人、40年度には280万人が必要になると推計した。だが、そんなに人を集められるとは考えられない。政府はセンサーによる見守りシステムや介護ロボットの導入に補助金を出して、生産性を向上させる方針。東京都などは見かねて、1人1-2万円の賃上げ支援金を出すことになった。

また政府は、外国人の活用にも力を入れることになった。しかし外国人にとって、介護は最もやりにくい仕事ではないだろうか。しかも賃金が安いのでは、外国人も集まらない。だいたい、介護は体力も神経も使う仕事。それなのに給料が低ければ、働き手が増えるはずもない。「でも政府が仕切る公共事業で、財源がないから仕方がない」というのが、現在の雰囲気だろう。しかし介護の必要な人で支援を受けられない人が何十万人も出れば、大変な社会問題になることは間違いない。

この際は、現行の介護制度を抜本的に見直す必要があるのではないか。介護報酬の原資となる保険料やサービス料金については、高所得者に限ってある程度まで引き上げる。そして税金については、予算の思い切った削減で数兆円の資金を捻出する。介護報酬の支出は、事業所の経費と職員の賃上げを初めから分けて支給する。現行の3年に1度の見直しを毎年行う--など。政府はもっと真剣に対処しないと、状況はどんどん悪くなる。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +111.41円≫     

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

大ピンチ! 介護職員が足りない(上)

2024-03-14 07:40:55 | 介護
◇ 来年は32万人も不足する見込み = 「22年ショック」という言葉が、介護関係者の間で定着している。この年、介護職員を辞めた人が61万人に達し、新たに就職してきた人を6万3000人も上回った。職員の数が純減したのは初めてのことで、ショックが業界を駆け巡った。主な原因は、給与の伸び悩み。物価が大幅に上昇したため、生活が苦しくなってしまった。しかし介護職員の給与は、政府が決める“公定価格”。財源が厳しく、思うように上げられない。

「25年問題」という言葉が、いま関係者の間に浸透しつつある。もう来年の話だが、あの団塊の世代590万人が75歳以上になる。当然、介護の必要な人が急増するが、介護職員の確保が追い付かない。32万人が不足するだろうと推計されている。だが、とにかく給与が低いから、人が集まらない。たとえば22年の平均給与は月額29万3000円。全産業の平均よりも6万8000円低かった。

政府も介護職員の賃上げに乗り出した。現在の仕組みは、①税金②40歳以上が納める保険料③利用者の自己負担--を原資とした介護報酬が、介護事業者に支払われる。その報酬を24年度は1.59%引き上げることを決めた。このうち0.98%分は、職員の賃上げに充てられることになっている。厚労省はこの結果、介護職員の平均給与は24年度に7500円、25年度に6000円引き上げられると試算した。

だが、これでは2年間で1万3500円の賃上げにしかならない。他産業の賃上げ幅が大きくなればなるほど、格差は開くばかり。効果はきわめて疑わしい。しかし、これ以上の賃上げをするための原資がない。今回も政府は①高所得者の保険料引き上げ②自己負担2割の対象者拡大--などを考えたが、反対論が強く結論を先送りしてしまった。だから「25年問題」を解決できる見込みは、いまのところ全くない。

                    (続きは明日)

        ≪13日の日経平均 = 下げ -101.54円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

日銀 17年ぶりの利上げへ

2024-03-12 07:34:00 | 日銀
◇ 各種の金利はすでに上昇してきた = 日銀は来週18-19日に開く政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する可能性が大きい。植田総裁が2月29日に国会で「現状はデフレではなく、インフレの状態にある」と発言。内田副総裁も講演で「仮にマイナス金利を解除しても、緩和的な政策を維持して行くことになるだろう」と述べた。こうした日銀幹部の発言から、市場では解除の予想が急速に拡大した。実現すれば、なんと17年ぶりの金利引き上げとなる。

マイナス金利政策というのは、金融機関が余った資金を日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を付ける制度。金融機関にとっては預金が目減りしてしまうので、出来るだけ貸し出しに回そうと努力する。16年1月に、景気拡大策として日銀が導入した。しかし、あくまで異常な政策。景気が回復し、インフレ状態になれば必要がなくなる。

日銀のこの政策修正を見越して、市中ではすでに金利が上がり始めている。現在、大銀行の定期預金は金利が0.002%。100万円を1年間預けておいても、利子は20円しか付かない。こうしたなかで、いくつかの銀行が1年もの定期預金に0.2-0.4%の金利を付け始めた。100万円の預金で、年2000-4000円の利子が付く。また住宅ローンについても、固定金利を引き上げた金融機関が多い。もちろん一般の貸出金利も上昇傾向にある。

ただし‟17年ぶりの利上げ”と言っても、実態はマイナス0.1%の金利をゼロ%に引き上げるだけ。理論的にはプラス0.5%に引き上げることも可能だが、日銀にそんな度胸はない。利上げで景気が悪化したら大変だと考えるからである。だから今後も政策金利がプラスになるまでには、かなりの時間がかかりそうだ。その間、アメリカの金利が下がりそうになると、11日のようにまた円高が進んで株価が大幅に下がることが繰り返されるかもしれない。

        ≪12日の日経平均 = 下げ -22.98円≫ 

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2024-03-11 07:26:03 | 株価
◇ 日米ともに足取りは重い = ダウ平均は先週365ドルの値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。高値圏で利益確定売りが出たことが、値下がりの主な原因。水曜日にはパウエルFRB議長が議会で証言。「利下げはそう遠くないうちに始めるのが適切」と述べたが、株価は小幅な上昇にとどまった。また金曜日には予想を上回る雇用者の増加が発表されたが、株価は小幅に下げただけ。方向感に乏しくなっている。

日経平均は先週222円の値下がり。月曜日には4万円台乗せを達成したが、あとは確定売りに値を下げた。木曜日には492円とことし最大の下げ幅を記録している。円相場が一時146円台まで上昇したことを嫌気した。こうした上げも下げも、半導体関連が中心。たとえば日経平均が4万円台に乗せた月曜日も、全体の6割の銘柄は下落している。

ニューヨーク市場は高値もみ合いのなか、今週は12日に発表される消費者物価に注目が集まる。一方、東京市場は来週18-19日に開く日銀の政策決定会合に注目が集中。円高がさらに進むのかどうか。こうしたなか、TOPIX(東証株価指数)が先週まで6週間の連騰。中身をみると、低位株が買われている。この現象を株価が天井に達した証拠とみるのかどうか。

今週は11日に、10-12月期のGDP改定値。12日に、2月の企業物価、1-3月期の法人企業景気予測調査。15日に、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは12日に、2月の消費者物価。14日に、2月の小売り売上高、生産者物価。15日に、2月の工業生産、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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