魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

人は何故ブルゴーニュに溺れるのか?<赤編>

2006年11月05日 | ワイン ~2019年
本日は独断と偏見、ちょっと長文覚悟、週末スペシャルでいきますよ!


何故でしょう?
人はどうしてブルゴーニュに溺れてしまうのでしょうか?

ブルゴーニュワインは正直、はずれワインも多いのが実状です。
価格は高いくせに、薄くて酸っぱいだけのものに当たることも多いのです。
これじゃまるで地雷原を歩いているようだ!とか、そんな飲み手は
マゾだと言う方もいます。そうかもしれません。

でもそんなんじゃ、たまったものではありませんよね。
が、時としてですよ、すごいのに当たったりすると!そりゃもう、今までの不遇を
振り払うほど感動できたりもします。

単純に当たりワインを飲みたいなら、もしくはコストパフォーマンスの良いワイン
を飲みたいなら・・・、ボルドーでも良いでしょう、新世界ならもっと良いでしょう。
しかし、その美学を知ってしまうと・・・・・・
やはり、やはりブルゴーニュなんです。ピノなんです。

もちろん他の地区のワインにも美学はあります。ただそれは、充実した美味しさや
完成度の美学が多いのです。ブルゴーニュには愛らしさ、はかなさ、平均台から
落ちそうで落ちない不安定さの美学があります。(もちろんもっと他にも要素は
あります)出来の悪い子ほど可愛いって言うじゃありませんか。


ご存じの方も多いでしょうが、ブルゴーニュには底なし沼がいくつもあります。
その沼にはブルゴーニュの妖怪“ブルピノゴン”がいて、あなたの足
を引っ張ります。一旦深みに捕まるともうズルズル状態です。

かつて、私もワインの入門はボルドーからでした。しかし、いくつもの沼に足を
踏み入れ、ブルピノゴンに引きずられてしまい、抜け出せなくなって
しまった犠牲者のひとりです。

中でも深いのは「ヴォーヌ・ロマネ沼」と「シャンボール・ミュジニー沼」でしょう。
「えっ、ジュヴ・シャン沼じゃないの?」と仰る方もいるでしょうが、
ジュヴ・シャン沼(正式にはジュヴレ・シャンベルタン村)のそのガッチリとした
味わいは、ボルドーに通じる裏水路があるという噂があります。美学の質が違うのです。

個人的には「ヴォルネー沼」もなかなかだと思いますが、いずれにしてもそれらの沼は
標高の高い頂近くにあり、おいそれと気軽には到達できないのです。

「資金力」もしくは「やけくそ」というヘリコプターを使えば、簡単に到達は
出来ますが、「こつこつ貯金」とか「へそくり」、もしくは「ボーナス待ち」
とかのザイルやピッケル程度の使用では、時間もかかるのです。

そんな困ったあなたにヒントを差し上げましょう。
「誕生日」という必殺アイテムはあなたを助けてくれるかも知れません。
たいていの人はいちいち覚えてないので1年に数度は使用可能です。

また、「サヴィニー沼」、「ショレ沼」、「オーセイ・デュレス沼」、
「モンテリー沼」など案外、中程度の標高地に存在するも、意外と知られていない
穴場の、「沼」とまでは呼ぶほどではないかもしれないが、秘湯温泉的場所も
あったりするのです。こんな所でひと心地つくのも悪くはないでしょう。


五里霧中の登山道を巡り、幾ばくかは自分自身で進路を決められるようになり、
晴れてブルゴーニュ派になったあなたも、しばらくの間はボルドー派の誘惑が
襲いかかってきます。しかしそこでひるんではいけません。
リスクを恐れぬ勇気は誰にも負けないところを見せつけて
やりましょう。きっと彼らは退散するどころか、逆にブルピノゴンに襲われるやも
しれません。ミイラ取りをミイラにするチャンスです。


ボルドー派やカベルネ派の人間なら叫ぶでしょう。映画「シェーン」の一幕のように
「ボルドー!カムバック!! カベルネ!カムバック!!!」。
しかし、いくらどんなに大声を上げても・・・もう戻れはしません。
「遙かなるピノの呼び声」(*1)がその耳から離れなくなるのです。


こうして多くの人々が道を踏み外し?ブルピノゴンに飲み込まれ、
ブルゴーニュに溺れていくことでしょう。

ほら、これを読んだあなたにもブルピノゴンが襲ってくる日は近いのです。


(*1)お若い方はご存じないと思うので「遙かなる山の呼び声」で検索してみて下さい。


書くのに夢中になって忘れていましたが、ただ今、当店ではブルゴーニュキャンペーン
を開催中なのでした。1万円相当のブルゴーニュワインが当たりますので、ぜひ1本でも
買っていただき、奮ってご応募下さいね。(10/20参照)
えっ、そんな怖いブルピノゴンは願い下げ? すっ、すみません。
でも、時として人生、バカも楽しいものです。
ブルピノこそあなたの人生の素敵な友達になったりすることもあるのですから。


コメント (2)
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