どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)58 『出もどり狐』

2011-10-06 00:38:05 | 短編小説
     (出もどり狐) いつのことだったか、三陸の北から南にかけての入り組んだ海岸線を、それはそれは恐ろしい津波が襲ったげな。 赤子を身籠っていた母者人は、朝早く漁に出る亭主のために大好物の稲荷寿司を作り、昼飯用に持たせて家を送りだしたそうな。 残りの稲荷は、自分のために取っておいた。 昼時になると、母者人はワカメの味噌汁をつくり、稲荷寿司を存分に腹に詰め込んだらしい。 赤子の分まで、わき目も振 . . . 本文を読む
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