どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(短編小説)『ジャコビニ流星雨が見えない夜』(3)

2019-04-13 01:58:55 | 短編小説
 机にたまった埃が差し込む光に白く浮いていた。煙草の灰も落ちた位置で崩れかけている。むしり取った帯封、読みかけの経済誌、用済みの原稿などが散乱し、それらの猥雑な配置の中で、真新しい背広を着た穂積隆三が話し続けた。 「・・・・まあ、信じてもらえるかどうかわからんが、わたしは実のところ流星雨を見たも同じだと思っているんだよ」彼は眼前にその光景を描こうとでもするように、肘を伸ばし、掌をひらつかせた。「 . . . 本文を読む
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