どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『悪童狩り』(6)

2022-07-04 00:05:07 | 短編小説
 相変わらず、芝生のあちこちから歓声が上がっていたが、その声は乾いた風にのって拡散し、青空に吸い込まれていった。 数馬には、公園がその面積を少し狭めたように感じられた。 いつの間にか木々の影が伸びて、走りまわる人も犬も、ときどき光の円を踏み外していく。 折りしも、立ち話に夢中の母親の隙をついて、よちよち歩きの幼児が光と影の境界を越えた。一瞬、目くらましにあったように幼児が消える。はっとして目を凝ら . . . 本文を読む
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