どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『悪童狩り』(8)最終回

2022-07-08 00:01:33 | 短編小説
 立ち入り禁止のロープを跨いだ瞬間、草に滑ってわずかに体が揺らいだ。 ステッキでバランスをとり、なにごとも無かったように姿勢を戻した。気付かれたかどうか、少年たちの表情を確かめたい誘惑に抗して、数馬は次の一歩を踏み出した。 築山の傾斜は、眺めていたのと違ってかなりの険しさを秘めていた。 日ごろの散歩で、それなりの自信を付けていたはずだが、彼の自負も体と一緒に揺らいでいた。 杖を先導に、前傾姿勢をと . . . 本文を読む
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