石垣りん
〈ウェブ無料画像〉より
くらし
食わずには生きてゆけない。
メシを
野菜を
肉を
空気を
光を
水を
親を
きょうだいを
師を
金もこころも
食わずには生きてこれなかった。
ふくれた腹をかかえ
口をぬぐえば
台所に散らばっている
にんじんのしっぽ
鳥の骨
父のはらわた
四十の日暮れ
私の目にはじめてあふれる獣の涙。
まず最初に代表作の一つを読んでいただいた。
平易な言葉だが人間の本質を抉り出している。
くらし・・という日常を描きながら台所には非日常が散らばっている。
これが石垣りんの世界だ。
1920年(大正9年〉生まれ2004年〈平成16年)没。
東京市赤阪(現在の東京都港区)生まれ。
銀行員として働きながら、詩を次々と発表。主な詩集として、『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』(1959年)、『表札など』(1968年)、『略歴』(1979年)、『やさしい言葉』(1984年)。
代表作に「表札」。「断層」「歴程」同人。
第19回H氏賞、第12回田村敏子賞、第4回地球賞受賞。教科書に多数の作品が収録されており、また合唱曲の作詞でも知られる。
参考=多くの出版社が選集の形で作品を再発行している。
詩集・散文集は次の通り。〈発行所・発行年は一部を除き省略〉
『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』第1詩集。
『表札など』第2詩集。
『現代詩文庫46 石垣りん詩集』
『略歴』第3詩集。
『現代の詩人5 石垣りん』
『やさしい言葉』第4詩集。
『空をかついで』選詩集。
『石垣りん詩集』選詩集。『詩と歩こう6 宇宙の片隅で 石垣りん詩集』選詩集。
『レモンとねずみ』童話屋刊。
『石垣りん詩集』
『ユーモアの鎖国』
『焔に手をかざして』
『夜の太鼓』
『詩の中の風景 くらしの中によみがえる』
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