タピアン
(城跡ほっつき歩記)より
むかしはさあ 鷹の目で見ると
野鼠が君たちのように見えたらしい
タピアンよ 隠れたつもりだろうが頭が出てる
なんとか紛れようと必死なのにね
秩序って やはり大事なものなのかね
君たちに家で遊びなさいと言った者は
外へ出た君たちを上空から見ているよ
統率者の目はごまかせないよとほくそ笑みながら
タピアンよ 君たちは群衆にそっくりだね
一人ひとりには儚い願望があるのに
鷹の目線で見ると狩りの標的でしかないんだ
ドローンに追われるヌーの映像が目に浮かぶじゃないか
地球を統率しようと企むものは誰だ
宇宙軍をつくろうとしているのは誰だ
ネットのクモの巣で人間をがんじがらめにし
好きな時に餌食にしようとするのは誰だ
人工衛星にカメラを搭載し 秘密を丸裸にする
プライバシーなどという衣はスケスケの下着だ
タピアンも人間も 隠れたって尻が出ている
共に暇つぶしの獲物でしかないのだと思い知れ
十九世紀までは神がいた いたらしい
死者が憩う天の領域も存在した 存在したらしい
それがどうだ いまや宇宙ゴミと同居させられ
魂たちも身を削られる思いをしているだろう
タピアンよ 遊び好きのタピアンよ
せめて群れるのはよそうじゃないか
神にとって代わった宇宙の目には慈悲がない
一つひとつの花びらの震えなど見ようともしないのさ
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