どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

むかしの詩集とフォト日記(6) 「貝がらの唄」

2010-11-26 01:05:56 | ポエム
 
       直江津港



     「貝がらの唄」



  暗い海でも波は白い

  北へ向けて

  半島は弓のように延びている



  トロッコが海岸線に躍り出る

  ふるさとを捨てに

  日に幾度となく海へ来る



  波の怒りに首ひっこめ

  発破の音に身を縮め

  裏海の貝は実なし貝



   ハアー

   風に吹かれて転がる身には

   砂もまんまの味がする



   ハアー

   紅い貝殻しぶきに濡れて

   夜ごと夜ごとの忍び泣き



  少女の唄う半島節が

  軒から洩れて夜が来る








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2 コメント

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底の深さ (くりたえいじ)
2010-11-26 11:35:47
静かで、しかも侘しさを漂わせる詩。

「裏海」とか「裏日本」という単語は、正式的なものではないでしょうが、
詩人に捉えられると、そこはかとない温情とともに詩情さえ漂わせるものですね。

軽いスケッチのような一篇のようですが、底の深さを読後感として抱きました。
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今風ではない呼び名 (窪庭忠男)
2010-11-26 16:27:29
現代では、裏日本、裏海といった呼び方は失礼に当たるのかも?
   
でも、そうした語感はわれわれの中に長らく沈められていて、その言葉なしには表現できないものを感じています。
共感していただき、ありがとうございました。
返信する

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