どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム124 『ビヨウヤナギは天女の舞』

2016-06-13 00:33:46 | ポエム

 

     未央柳(ビヨウヤナギ)

    (季節の花300)より

 

 

未央柳の咲く頃は 真昼の月が死ぬる時

梅雨の晴れ間に漕ぎいでて 天道様をさがす日々

五つの羽根を打ち振りて 黄金の蝶が風に乗る

午睡の夢に現れし シルクロードの天女の舞

 

ビヨウヤナギの雄しべを見てごらんよ

褥となる花弁より 勢い余るほど長いんだぜ

雌しべを取り囲んで守っているつもりなんだって

花園に立つ儀仗兵の緊張ぶりが微笑ましい

 

未央柳の花芯には たった一人のお姫様  

五つに裂ける柱頭で 雄しべの精を受け止める

こんなに過剰に警備をされても

女王蜂のように動じないのだろうか

 

花粉まみれの季節を 何回もやり過ごし

鉢の中の過保護に 少々食傷気味だったのだ

美容柳のプレッシャーにも 耐えては来たが

字面どおりにミオウヤナギと呼ばれたいのだ、とか

   

花名は仮名 家名も仮名・・・・

とはいえ変わりなくバトンタッチされる 花の精

暑かろうが寒かろうが 狭かろうが鬱陶しかろうが

まわりから嫉妬されるほど輝く家系

 

未央柳の咲く頃は 真昼の月が死ぬる時

梅雨の晴れ間に漕ぎいでて 天道様をさがす日々

五つの羽根を打ち振りて 黄金の蝶が風に乗る

午睡の夢に現れし シルクロードの天女の舞

 

楽隊が奏でる一絃琴が熄むとき

ビヨウヤナギの花弁がふるふると震える

五という数字に秘められた魔法が解ける時刻

花の目覚めか 麝香の匂いか・・・・

 

 


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