「ロンドン塔」です。「塔」といっても王室の宮殿です。
英国のパスタは柔らかい。どんな高級イタリアレストランでも、立ち食い蕎麦や学食で食べるような歯ごたえゼロの麺が出てくるのだ。どこで何度「かためにしてくれ」と頼んでも、必ず幼児食のようなものが出てくる。 な~んでかっ!
ある日、英国滞在中の「イタリア人」がお勧めだというので、それならば少しはマシかと思い、とあるイタリア料理屋に行ったのです。店がヒマな時間帯に行くと、やたらに明るい店員がいました。ワインに前菜を食べている最中に横で話しかけてくるので、「英国ではパスタを茹で過ぎるなといっても、いつもダメだ」と言ってやりました。軽口の青年は「コックに言っておく」といって厨房に行きましたが、やがて当惑した様子で戻ってきました。
パスタは茹でて置いてあるものだが、硬いのが希望ならコックが
君のために茹でようと言っている。どれくらいがいいんだ?
がが~ん!15年以上かかってやっとわかりました。どこでも茹で置きだったのですな。やんぬるかな。しかしあの微妙な歯ごたえ、コシ、どのように説明すればいいのでせうか。英語にはないゾ。たぶん。
しどろもどろに説明していると、「お湯に入れて、曲がってきた頃に出すか?」と聞いてくる。それじゃあ硬すぎだと思ったが、いつも期待より柔らか過ぎなので、それで頼んでしまった…。
来てみると、まだかなり透き通っている。フォークをさして回してみると、アーチ状のパスタがザザッと一斉に皿の上を回転する。洗濯機をのぞいている気がするではないかね。持ち上げると天秤のようになる。つなわたりの芸人が持つ棒を連想する。そして硬い。原始人の食生活を思い遣る。一生懸命噛む。次第に顎が疲れ、こめかみが痛くなる。
結局、郷に入っては郷に従うべきなのかw