goo blog サービス終了のお知らせ 

さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

英仏地下鉄無賃乗車のテクニック

2010年12月06日 | 英国

英国ニューカッスルの地下鉄(メトロと呼ばれます)は、中央駅より南は地上に出てきてタイン河の鉄橋を渡ります。

 日本では自動改札機が行き渡りつつある。むかしは鋏を持った駅員が一枚々々手渡しをしては切ったものである。カチカチカチと、鋏を西部のガンマンのようにクルクル回しながら切ってゆく奴もいたりしたが、埃の舞うなかで怒涛の人混みをさばいてゆく大変な仕事だろうと思ったものだ。

 英国やフランスでは、ひと昔前から自動改札機が導入されていた。もっとも切符を入れるとバタンとドアが開くだけの原始的なものではあるが。ニューカッスルでは、いまだに出入りはほとんど自由で、たまに検札が車内に乗り込んできて、一斉に切符を調べるようなシステムである。無賃乗車が発覚するとペナルティが大きいが、検札が来るたびに捕まる奴がいるのを見かける。たまにしか居合わせない検札のために切符を買うかどうかはギャンブルというわけだ。

 さて日本のように自動改札機の横に駅員がいるのでなければ、当然それをすり抜けようとする奴が出てくる。バタンと閉まる板が腰までのものであれば、両手をつっかえ棒にしてフワリと両足を上げて越えてゆく。平行棒の脚前挙というやつですね。でもロンドンでは、両側から閉まってくる板は多くの場合肩を超える高さがあるので、体操技では対抗できません。そこでペア技があります。1mほどの間隔をおいて二人が歩いている。改札が近づくと二人の距離は接近し、前のやつが切符を入れた瞬間にはその距離がゼロになる。いわば縦の二人三脚である。前のやつの背中と後ろのやつの腹が密着し、右・左と前後の両足がまるで二本の足のように進んで行く!機械はおそらく太った奴が通過したと判断し、「一人」として無事通過のあかつきには、滑らかに二人に戻ってゆく…。それは流れるような、見事な技術であった。

 パリでは、入るときに切符を使い、出るときは自由というシステムだ。しかし出口から入ってくるやつを防ぐために、そこは内側からしか空かないドアになっていたりする。「出口」の標識に従って通路を進むと、まるっきり行き止まりになっていて最初は当惑した。その行き止まりの壁までたどり着くと、自動で縦に細いドアが開くのである(ほんとに壁に見える。こんな隠し扉みたいにする必要があるのか)。あるとき、その壁まで行って出口のドアが開いた。すると目の前に、スーツの紳士が微笑みをたたえながら立っているではないか!予想だにしなかった鉢合わせに、文字通り「面くらって」立ちすくむと、そのハゲたオヤジは俺の横をすり抜け、ホームへ向かっていったのである。なんという無賃乗車、裏口野郎か。そいつは、いつ開くとも知れぬ出口の壁の前で、人が出てくるのを待っていたのである。
w(゜゜)w