さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

旧林家住宅 1

2021年03月12日 | 関東甲信越


さて伊那から岡谷へ立ち寄って、旧林家住宅を見に行こう。


日本の産業の近代化を支えた製糸業ですが、世界中に輸出したそのシルクを生み出した
町のひとつがここ岡谷。富岡の工場は、シルクがナイロンに変わって衰退しても残して
あったので世界遺産となりましたが、ここ岡谷の工場は全部なくなってしまいました。
残っているのは林製糸家のお屋敷です。


案内をしてくれたのは、眉毛の立派な御老人。マイルドな口調で丁寧に説明をして
くれました。


この欄間。一枚の板から作った彫刻です。


鶴の足とかくちばしや羽根、完成に近づいてポキっといっちゃったらどうするの?!


そんな話をしたら、こっちの手に届くところにあるものは、「子供が部屋で遊んだりして
羊の角なんか折れちゃっているんですよ」と笑いながら話してくれました。ううう、
俺ってそんな子供だったからなあ。。。


こちらは枠から葉っぱがはみ出しているのがしゃれています。繁栄を暗示しているとか。


廊下に出て、「何かお気づきですか?」と質問をされるので、「ガラスが手作りなので
微妙に歪んでいますよね」と答えると正解!いまは手に入らないような代物なのです。
思えば日本中の古い建物を見てきたから、だいぶいろいろと詳しくなっていて、
「専門家ですか?」とまで言われてしまいました(^益^)b


仏間。覗き込むと仏壇の内部、天井に彫刻や凝った装飾があったり。唐破風の曲線が
繊細な造りですよね。そこは寄木になっていました。左右の箪笥が非対称になっている
のも素敵ですよねー。木材もヴァリエーションをつけて、なんとまあオサレなのー。
ご先祖様の霊を拝むところなのに、「すげー!」なんてジロジロ見ちゃって^^;


廊下を歩いて別棟に。


ここでの見ものは、この「金唐革紙」。これは西洋建築の壁紙を真似て、和紙に金箔、
銀箔、錫箔といった金属の箔を貼って、円筒形の版木に当てて叩いて凹凸の模様をつけ、
彩色を施したものです。ここ岡谷ではこの技術が研ぎ澄まされ、1873年のウィーン万国
博覧会に出品されてから有名になり、ヨーロッパにだいぶ輸出され、バッキンガム宮殿
の壁も飾ったとか。


その版木もほとんど残存せず、ボロボロになったものがここに残っていたとか。


奥の蔵では、その金唐革紙で飾られた部屋が残っています。蔵ですからあまり光や
すきま風が入らないので、なんとか残っているとか。しかし彩色はすっかり黒ずんで
しまっていますね。外国から商談にやってきた客をもてなすのに使った部屋だそうです。