千里山ブラウズ

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落ち葉の栞

2008-12-04 10:30:14 | 千里山花物語り

 12月に入り千里山のある関西ではもう紅葉という話題でもないと思うのですが、道端に残っていた桜の落ち葉をふと取り上げて本に挟んでいたら、思いのほか綺麗な栞となっていたのでこの頃読書中に使っています。完璧な形のものではなく虫の食った跡もあるものが、返って自然の感じがして何か落ち着いて良いものです。
 もうずいぶん昔のことですが、僕が大学浪人として故郷・徳島で無為と暇を持てあましていた時に、高校時代の友人が東大駒場の銀杏の木の葉を送ってくれたことがありました。当時その友人も医者を目差して東京の予備校に通っていたと思いますが、下宿先で散歩する途中に通りかかる東大駒場の銀杏の木の葉を拾い、同じく浪人の僕のことを思い出し励まそうと送ってくれたものでした。僕は将来の生き方や受験の方向性を決めかねていて、そうとう受験勉強の方もモチベーションも下がり怠けていたところで、そんな友人からの励ましの黄色い贈り物で俄に奮起するわけではないものの、孤独な中に僕を気に掛けてくれている友人の気持ちには嬉しく思ったものでした。
 綺麗に押し葉にされた銀杏は、やはりしばらく栞にして使っていたと記憶していますが、いつの間にか失われてしまいました。そのずっと後で同窓会で友人に会った時に、その銀杏の葉のことを話しましたが、彼も「そんなことも有ったね」と憶えてくれていたようです。その翌年また僕は受験に失敗し、そして友人も結局医者にはならなかったようです。