太陽と地球の軌道の間には水星と金星が回っているので、その位置関係によっては今回のように2つの惑星が太陽面を通過するのが地球から観測されます。そして今日は天気に恵まれた西日本一帯の空で、日本で130年振りと言われる金星の太陽面通過が見られました。
お昼ご飯を食べに正午前に500円の日替わり定食がある居酒屋「千松」に行き、金星の太陽面通過の話をしていたところ、女将さんが思いがけず言われました。
「日食グラス使うのなら、ここにもありますよ」
「ラッキー! 誰かに見せて貰おうと想ってました」
「金環日食の時にお客さんが持ってきてくれたけれども、まだ使ってないのです」確かに封が切られていない状態でした。そして女将さんの家には望遠鏡もあるということでした。
「女将さんは流行の“宙ガール”ですか? 実は僕も反射望遠鏡を持っているんですよ」女将さんの旦那さんが天文ファンでした。
「今朝テレビを見ていると、130年前の明治時代に欧米から観測隊がわざわざ日本にやって来たということで、当時の望遠鏡と一緒に撮っている写真も残っていました。次に日本で見られるのは105年後のようです」
当時、フランス隊が神戸の公園で観測したようですが、その時に日本に紹介された観測機器が測量技術に活かされ、日本の科学・技術の近代化に繋がったと言われています。もし130年前に金星の太陽面通過が無ければ、その後の日本の歴史が大きく変わっていたという可能性には興味深いものがあります。
つい先日の金環日食では時間的に慌ただしかったのですが、今回の天文ショーは朝から昼過ぎまでとあってゆっくり見られました。女将さんと日食グラスで見上げていると、お隣のカナツ・サイクルのおじさんも参加して一緒に楽しみました。