このところの記録的な大雨の雲の動きを天気予報のレーダー画像で見ていると、集中豪雨が通り過ぎると間もなくまた次の雲塊が襲ってくるという感じが良く分かります。その僅かの間には雲の切れ間から晴天さえ少し覗くといったことも多いようです。
夏山シーズンの到来を控えて、先日NHKニュースの中で「疑似好天」という聞き慣れない言葉が使われ詳しく解説されていました。今年のゴールデンウィークに北アルプスで中高年の登山者グループが遭難したことはまだ記憶も新しいですが、その原因がこの「疑似好天」(登山者には“魔の青空”とも呼ばれているそうです)の恐ろしさだということでした。
番組ではその日の天気予報で雲の動きを再現していましたが、やはり登山開始辺りから数時間は快晴に近い青空が見え、それまでの大雨の後で絶好の登山日和と感じた人が多くいたのも頷けるものでした。しかし画像を見るとその雲の切れ間の隣には、既に次の雲塊が掛かってきているのもはっきり伺えるものでした。本来ならそれを折り込んで計画を変更すべきところでしたが山頂の山小屋を目指して出発し、尾根の途中で天候の急変による降雨とそれに続く吹雪による低体温症で悲惨な事故となりました。
「山の天気は変わりやすい」とは素人の僕も良く聞いていた言葉ですが、山に限らず「疑似好天」という言葉とともに、それを裏付ける気象レーダー画像を心に留めたいと想いました。そして「疑似好天」は人生にも当てはまる言葉のような気がしますが、それはまた別の話‥‥。