続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『微笑』

2015-06-15 07:09:09 | 美術ノート
「274年」はずっと前であり、「1957年」は現今、「30861年」はもう想像がつかないくらい遠い未来である。

 しかし、マグリットは苦笑いをする、視点はそうではないと。
 この作品を凝視するまでもなく、古びた標識である。3つの時代は一つに括られている。

 発掘された石碑の欠片。(「(ああ、大発見だ、こんなものが出てくるなんて!物的証拠だよ」狂喜乱舞の超未来人である考古学者)


 何千万年も何十億年も経ち、わたしたちが今考えている過去・現在・未来なんていう時間を遥かに飛び越えての感想である。(この時代の背景なんて想像がつかないから描かないのも当然)
 
「こんな時代もあったのだ。信仰が人々の暮らしに大きく影響を与えた時代らしいよ。戦争なんて恐ろしい悪が横行していたとも聞いている。嘘じゃないんだ、ほんとうだよ」なんて会話が聞こえる。


 30861年が1957年と大差なく括られ並列される未来は必ず来る。その古びて崩壊寸前の標識を前に、超未来人の微笑が見える。そういう時代に向かってほしい!マグリットの希望としての微笑である。

(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『冬のスケッチ』138。

2015-06-15 06:44:20 | 宮沢賢治
         ◎
  かくまでに
  心をいたましむるは
  薄明穹の黒き血痕
  新らしき
  見習い士官の肩章をつけて
  その恋敵笑って過ぐる


☆新しい魄(たましい)の妙(不思議)を究(つきつめて)告ぐ。
 訣(わかれた)魂は神として現れる。
 修(ととのえる)詞(ことば)は換(入れ替わり)、兼ねている衝(重要なところ)が連なる的(目標)は照(あまねく光が当たる=平等)の果(予想した通り)である。

『城』1992。

2015-06-15 06:26:02 | カフカ覚書
「道って、クラムのところへ行く道のことなの」と、フリーダはたずねた。
「そうさ、クラムのところへ行く道だ。いったい、それ以外にどこへ行く道があるだろう」そう言うと、Kは、いきなり立ちあがって、「ところで、もう昼食をとりにいかなくちゃならん時刻だ」


☆「道ってクラム(氏族=先祖)のところへ行く道のことなの」と、フリーダ(平和)はたずねた。「そうさ、クラム(氏族=先祖)のところへ行く以外にどこへ行く道があるだろう。そう言うと、Kは了解し「ところで、もう早い部分(過去/昔)へ迎えに来てくれる時刻だ」