まさに出現である。人類の智の出発点ともいえる「0」の出現。
渾沌の世界に、智のひらめきによって出現した「0」
ピンク(赤)・白・緑の菱型は何を意味するのだろう。◆はアラビア文字か何かのゼロではないか。
「0」はインドで発見されたと学習しているが、それ以前にも占星術などでは認識された概念であったらしい。
マグリットにとっての「0」は、地球の億年の歴史空間を思考するうえで重要な基点である。
左上は明らかに囲んだ形が「0」を提示しているが、右下は「0」のかたちが変形し開口部を開けている。
「0」は自然数であり、真空、空虚を意味する。正でも負でもない存在としての概念(最少非負整数)である。
暗雲垂れ込める背景は何を意味するのだろう。渾沌・不条理・説明のつかない人間の業。「0」は毅然と位置するものであるが、その「0」をこじ開けたもの・・・崩壊だろうか、進歩だろうか、答えは見出せない。
足しても引いても掛けても割っても「0」は「0」である。
しかし、「0」を「無」と考えるならば、人間において完全な無(悟り)は存在しない。
人智の怪しさ、危うさへの危惧。マグリットは光なき渾沌の中の至宝「0」を凝視する。
(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)
渾沌の世界に、智のひらめきによって出現した「0」
ピンク(赤)・白・緑の菱型は何を意味するのだろう。◆はアラビア文字か何かのゼロではないか。
「0」はインドで発見されたと学習しているが、それ以前にも占星術などでは認識された概念であったらしい。
マグリットにとっての「0」は、地球の億年の歴史空間を思考するうえで重要な基点である。
左上は明らかに囲んだ形が「0」を提示しているが、右下は「0」のかたちが変形し開口部を開けている。
「0」は自然数であり、真空、空虚を意味する。正でも負でもない存在としての概念(最少非負整数)である。
暗雲垂れ込める背景は何を意味するのだろう。渾沌・不条理・説明のつかない人間の業。「0」は毅然と位置するものであるが、その「0」をこじ開けたもの・・・崩壊だろうか、進歩だろうか、答えは見出せない。
足しても引いても掛けても割っても「0」は「0」である。
しかし、「0」を「無」と考えるならば、人間において完全な無(悟り)は存在しない。
人智の怪しさ、危うさへの危惧。マグリットは光なき渾沌の中の至宝「0」を凝視する。
(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)