続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『出現』

2015-06-29 07:02:05 | 美術ノート
 まさに出現である。人類の智の出発点ともいえる「0」の出現。

 渾沌の世界に、智のひらめきによって出現した「0」
 ピンク(赤)・白・緑の菱型は何を意味するのだろう。◆はアラビア文字か何かのゼロではないか。

 「0」はインドで発見されたと学習しているが、それ以前にも占星術などでは認識された概念であったらしい。
 マグリットにとっての「0」は、地球の億年の歴史空間を思考するうえで重要な基点である。

 左上は明らかに囲んだ形が「0」を提示しているが、右下は「0」のかたちが変形し開口部を開けている。
 「0」は自然数であり、真空、空虚を意味する。正でも負でもない存在としての概念(最少非負整数)である。

 暗雲垂れ込める背景は何を意味するのだろう。渾沌・不条理・説明のつかない人間の業。「0」は毅然と位置するものであるが、その「0」をこじ開けたもの・・・崩壊だろうか、進歩だろうか、答えは見出せない。
 足しても引いても掛けても割っても「0」は「0」である。

 しかし、「0」を「無」と考えるならば、人間において完全な無(悟り)は存在しない。
 人智の怪しさ、危うさへの危惧。マグリットは光なき渾沌の中の至宝「0」を凝視する。

(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『銀河鉄道の夜』1。

2015-06-29 06:51:30 | 宮沢賢治
銀河鉄道の夜

   一、午後の授業
「ではみなさんは、さういふふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云はれたあとだと云はれたりしてゐたこのぼんやrと白いものがほんたうは何かご承知ですか。」


☆吟ずる講(はなし)は徹(最後まで貫き通す)同(平等)也。
 語(ことば)で考えを受け、合わせる。
 遷(うつりかわる)運(めぐりあわせ)を遅々として縷(連なる糸)のように運(めぐらせている)。
 博(大きく広がっている)化(形、性質を変えて別のものになる)の章(文章)を置いている。

『城』2006。

2015-06-29 06:33:04 | カフカ覚書
フリーダは、家にいて、洗濯をしているか、でなければ、いまだにギーザ嬢の猫を洗ってやっているかであった。この仕事をフリーダに任せたのは、ギーザの側からの大きな信頼のしるしであった。


☆わが一族の願いはすでに希望のない世襲的階級であった。この現場不在証明をフリーダ(平和)に任せたのは、ギーザ(総体/全体)からの大きな信頼のしるしだった。