『魔術師の共犯者たち』
魔術師の共犯者たち、複数の共犯者がいるのだろうか。魔術師がいて共犯者がいるのだろうか。
魔術師の存在が見えない。
(A)赤い網で覆われた裸婦の胸部より下が見えるが肩から上の頭部は円筒形の筒で隠されている。
(B)女の頭部並びに露わな肩が円筒形の筒の中から出ている。
AとBは、切断された同一人物のような錯覚を抱かせる。即ち魔術であるが、この場合共犯者たちというのは、網や筒、背後のカーテンや、漠とした陰惨な山々、暗雲などだろうか。
胸や恥部など性的器官の露呈、捕縛された肉体は拘束され自由を失っている。後ろ向きになっている女の頭部(眼差し)が、それ(自身?)を見ているか否かは判別不能であり、角度からして目を逸らしているようにも見える。表情は後ろ向きゆえ隠蔽されている。
この時空を特定できない、この景を見ている人がいるかも分からないが、絵の中の人物らしきは、あたかも切断されたかのような女のみである。
なぜ(魔術師の共犯者たち)なのだろう。
この景は残酷である。自由を拘束し、隠したい秘密を暴露している。魔術師という見えない陰謀に捉えられ弁明の余地すらない女の状況を公開している。
「さあ、この状況に至らしめた魔術の共犯者ども出て来なさい!」という告訴のようでもある。
女にとっての最大の《恥辱》を、静謐な空気感の中に置き、天の成敗を仰いだ景である。
肉体を被う赤い糸、これは自身の《血》であり、自制の利かない肉欲である。
切り離された頭部および肩(胸)は、脳の指令と心(精神)ではないか。
この二つのせめぎ合いの不条理こそが女の正体であり、ここに描かれていない男たちを浮上させる。
(写真は『マグリット』西村書店より)
子どもは、やどりぎの枝をもつて、一生けん命にあるきだしました。
☆死の姿(様子)が逸(隠れている)。
傷(悲しい)冥(死後の世界)である。
と言っても、ごく小さなバッチですから、二歩も離れると、ほとんど見えないのです。それでも、父に言わせると、走りすぎていく役人たちの注意を自分のほうにむけさせるだけの効果はあるというのです。
☆それにもかかわらず氏族との距離を見いだせないのです。それでも、父(宿命)の見解では通り過ぎていく終わり(死)に合わせるべく注意を喚起しているというのです。