続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『会話術』

2017-05-18 06:12:50 | 美術ノート

 『会話術』

 夢(REVE)と読める文字(記号)は石化している。石に刻んだのではない、人為的に加工された石が全く偶然その形に林立したように思わせる景である。言葉(記号)の発生が全くの偶然が重なり合ってできたことと符合する。
 偶然が重なれば必然となりうるか・・・。
 これらの石を人為的に積み上げるには相当な計算を要する、又、この構造に意味を見出すことは困難であり、つまりは《REVE》という文字にも意味を見いだせない。

 しかし、積み上げられた石の下に小さく位置する二人。仮に見上げているとしても、意味の全容は把握出来ない位置関係にあり、人が石の一端/側面やその周囲を歩き回っても、ただ無機質の意思に行き当たるだけである。
 そして、この積み上げられた石の下部の一つが移動すれば、すべてが崩壊する危機を孕んでいることにも気づかない。たった一つの小さな異変が世界を変えてしまう恐怖・・・。

 二人の人影は何を語っているだろう。会話は他者との交流である。
 この石積みとの会話だろうか…会話という言葉の切れ端だけでは、その全体を推しはかることは困難であり本質を看破できない。

《夢》実体のない精神現象。
 明らかに現実に見知った文字の並びは意味を浮上させる。人為であり、人智である記号の伝達。しかし、それは受信すべき相手に届くだろうか。
 会話の不確実性の構造は必ずしも相互理解を約束せず、察知は不可能かもしれない。わたしたちは見えるものや聞こえるものに信頼を置いているが、その術には常に不備が付きまとう。


(写真は『マグリット』東京美術より)


『城』2641。

2017-05-18 05:53:07 | カフカ覚書

と、ちちは、そんな光景を見ているつもりでした。そして、なにやら大声をはりあげましたが、ここからでも上のお役人の注意をこちらにむけさせて、きょうそこへ行っていないのあ自分の罪じゃないと弁解しようとしているかのようでした。


☆と、父祝目)は叫び声をあげました。終わり(死)を認め、現場不在になることは自分の罪じゃないと説明しているかのようでした。