続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)79

2020-07-02 10:27:12 | 飯島晴子

   男らの汚れるまへの祭り足袋

 祭り、神事である。男衆は穢れを落として臨む。もちろん足袋はサラ(新しいもの)。「よし、行くぞ!」の意気込み。祭りの異空間(非日常)に、一歩踏み出す前の刹那を切り取った。

 男はダンと読んで、断。
 汚れるはオと読んで、悪。
 まえの(前)はゼンと読んで、全。
 祭りはサイと読んで、災。
 足袋がソク・タイと読んで、即、頽。
☆断(たち切る)悪。全て災いであり、即、頽(崩れ、衰えていく)。

 男はダンと読んで、談。
 汚れるはオと読んで、尾。
 まえの(前)はゼンと読んで、全。
 祭りはサイと読んで、截。
 足袋はソク・タイと読んで、塞、他意。
☆談(話)の尾を全て截(切る)塞ぐ他意。


『飯島晴子』(私的解釈)78

2020-07-02 09:50:16 | 飯島晴子

   蠅身の蒼ければつく牡丹かな

 蠅身の蒼ければ、つく牡丹かな・・・因果関係はない。
 華やかで毅然とした品格を持つ牡丹に忌まわしい蝿が・・・。どちらも好き好んで姿を選んだわけではない、不条理である。

 蠅身はヨウ・シンと読んで、要、芯。
 蒼ければはソウと読んで、双。
 つく(付)はフと読んで、普。
 牡丹はボ・タンと読んで、簿、端。
☆要(かなめ)の芯(中心)は双(二つ)ある。
 普く簿(ノート)の端にある。

 蠅身はヨウ・シンと読んで、雇、身。
 蒼ければはソウと読んで、総。
 つく(付)はフと読んで、普。
 牡丹はボ・タンと読んで、募、担。
☆雇う身は総て普く募(広く求め)、担(引き受ける)。


『飯島晴子』(私的解釈)77

2020-07-02 09:38:55 | 飯島晴子

   春の富士いかにも白くこつてりと

 春の富士は残雪ゆたかで、美しく荘厳である。

 春はシュンと読んで、峻。
 富士はフ・シと読んで、夫、詞。
 白くはビャクと読んで、闢。
☆峻(けわしい)夫の詞(言葉)は、闢(退ける)。

 春はシュンと読んで、駿。
 富士はフ・シと読んで、婦、詞。
 白くはシロと読んで、城。
☆駿(優れた)婦(女性)には詞(言葉)の城がある。


『飯島晴子』(私的解釈)76

2020-07-02 09:26:12 | 飯島晴子

   漲りて一塵を待つ冬泉

 いっぱいに水を張った泉、無風である。ここに一陣の風が吹いたら、それは素敵な眺めになるのに。

 漲りてはチョと読んで、調。
 一塵はイツ・ジンと読んで、逸、腎。
 待つはジと読んで、字。
 冬泉はトウ・センと読んで、套、選。
☆調べると、逸(隠れている)腎(重要な)字がある。
 套(被われているもの)から選ぶ。

 漲りてはチョウと読んで、懲。
 一塵はイツ・ジンと読んで、逸、訊。
 待つはジと読んで、治。
 冬泉はトウ・センと読んで、盗、箋。
☆懲(こらしめると)逸(逃げる)。
 訊(問いただすと)治(おさまる)。
 盗んだ箋(書き物)。


『飯島晴子』(私的解釈)75

2020-07-02 07:45:01 | 飯島晴子

   コンドルの貧乏歩きも四日かな

 コンドルの貧乏歩き、個人の感想である。また、コンドルと四日の因果関係はない。この意味の霧散、緊張、不可思議な滑稽さ・・・考えてもやんごとなきことの解放感がさばさばとしている。

 貧乏歩きはヒン・ゴウ・ボと読んで、頻、謀、簿。
 四日はシ・カと読んで、詞、加。
☆頻(しきりに)謀(はかりごと)の簿(ノート)に詞(言葉)を加えている。

 貧乏歩きはヒン・ボウ・ボと読んで、賓、妾、慕。
 四日はシ・カと読んで、覗、科。
☆賓(うやまいもてなす)妾の慕(恋いしたうこと)。
 覗(のぞく)科(罪の意識)がある。


『飯島晴子』(私的解釈)74

2020-07-02 07:21:03 | 飯島晴子

   凍鶴になる際の首ぐぐと入れ

 写真などで見る寒中の凍鶴の形、首をぐぐっと体の羽毛の中にうずめる、その在り様の写生。なんと首のしなやかなこと!

 凍鶴はトウカクと読んで、当確。
 際はサイと読んで、際。
 首はシュと読んで、主。
 入れはジュウと読んで、柔。
☆当確の際、主(主役)は柔(穏やかだが、どこかまだ態度をはっきりしない)。

 凍鶴はトウカクと読んで、頭角。
 際はサイと読んで、猜。
 首ぐぐと入れはシュ・ジュと読んで、種々。
☆頭角の猜(ねたみ)、種々(さまざま)である。 

 


R.M『火の時代』

2020-07-02 06:50:45 | 美術ノート

   『火の時代』

 人間はいつ人間になり得たのか、いつ他の動物との大いなる差異を獲得したのか。重大な岐路が隠された人類の秘密、歴史の始まりである。

 広がる海を背景にネイティヴ・アメリカンの火らしきものを手にした横顔。頭部には鳥の羽根で作った装身具や耳飾りも見える。
 遥かなる昔、まず水(海、川、湖、雲)があり、大気と大地があった。そして小さくてよく見えないが、狩りや牧畜の姿もあった。生命の糧である。

 火が崇められるすべての中心にあった時代、脈々と受け継がれていく自然と共存の暮らしである。
 男は祈っているのだろうか、目を瞑り口を閉じている。手のひらの白さ、手に触れる白球は、清廉潔白、争いのない平和への願望だろうか。どちらも赤い亀裂と欠損が生じている。時代は動きつつある予兆である。

 火への絶対的な信仰、この原始への希求、言葉はなく森閑としている。
『火の時代』それは決して戻ることのない(戻れない)憧れの時代かも知れないが、常に次の時代の波が切迫している、いつの時代も変わらない。

 写真は『マグリット』展・図録より


『やまなし』22.

2020-07-02 06:32:13 | 宮沢賢治

 そのつめたい水の底まで、ラムネの瓶の月光がいつぱいに透きとほり天井では波が青じろい火を、燃したり消したりいてゐるやう、あたりはしんとして、たゞいかにも遠くからといふやうに、その波の音がひゞいて来るだけです。


☆推しはかる態(ありさま)を蔽(見えないように隠して)合わせる講(話)である。
 套(おおって)伝え、済(救い)を把(つかむ)。
 照(あまねく光が当たる=平等)を化(教え導く)念(考え)である。
 照(あまねく光が当たる=平等)を温(大切にし)把(手につかむには)隠れたものを頼りにする。


『城』3451。

2020-07-02 06:18:59 | カフカ覚書

ただ、最初の日にどじを踏まないようにするのは、むずかしいことでした。なにしろ、あわれな客室付き女中の身では、衣裳も装身具もありません。それに、お客さまは、将来がたのしみだなどと悠長なことを言って待ってはくださいません。当たりまえのことかもしれませんが、見習い期間もあらばこそ、その日からいきまり酒場娘でなくては、お気に召さないのです。


☆ただ、最初の場合からそれを維持することは困難でした。哀れな主題の作り事は被う装飾もありません。多くの人たちは忍耐強くこの問題を解くのを待っていられません。血統なしでは先祖の酒場(死の入口)である向こうへ移ることはできないのです。さもないとすぐあちらへ戻されます。