天網は冬の菫の匂かな
天網、天にかかる網。冬の菫の匂い、スミレのほとんどは匂いがないが、晩秋から冬の寒い時期に咲くニオイスミレだけは香りがあり香水にもなる。
天網は見えないけれど、人の心にある。冬の菫の匂いも見えないけれど確かに香る。無限の広さを持つ天と、足下の点に等しい小さな花の香りとの対比。どちらも掴んで証明することは難しい。幻想の天網と儚くも小さな花の放つ香り、この扇形の限りない広がりはひと時の夢空間である。
天網はテン・モウと読んで、伝、猛。
冬の菫はトウ・キンと読んで、闘、金。
匂かなはニオウと読んで、仁王。
☆伝(言い伝え)では、猛(たけだけしく)闘(たたかう)金(尊い)仁王(金剛力士像)である。
天網はテン・モウと読んで、展、望。
冬の菫はトウ・キンと読んで、套、訓。
匂かなはニオイと読んで、二追。
☆展(ひらいて)望むと、套(被われた)訓(字句を解釈する)に、二追(追うべき二つ)がある。