続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

ホッパー『ホテルの部屋』

2020-11-07 07:41:41 | 美術ノート

 白と黒の対比を黄色の面と女の肌色が緩和させている。女の頭上は白い壁面であり、静謐と無音、寂寥と空白が漂う。
 着衣を脱いだ下着姿の女はホテルに到着したばかりかも知れない。ソファにかかるドレス、棚の上の帽子、脇に置かれたヒールの靴。二つの大きなボストンバックは遠距離への長い旅行を想起させる。ベッドは未使用のままであり、女は手紙を読んでいる。

 この手紙こそ絵の主題である秘密を握っている。読み手の肩は心持ち落ちており、手紙の内容を彷彿とさせる、落胆・・・。
 駆け落ちだろうか、(この部屋に男の持物は皆無。同時にこの部屋に入らないのには訳がある)待ち人は来ない。

 この部屋に来れない理由を報告されているのではないか。憤りはなく、失意の翳りが垣間見える女の横顔に、真意を明白に読み取ることはできない。右上の金色にも見える黄色の色面(壁)には薄いカーテンが掛かり、女の赤い下着には隠された淫靡な情熱が垣間見える。
 それらは、手紙の内容により瞬時、硬直したかのようである。投げやり…諦念の交錯する無念。

 時は流れている、不可逆な時の流れを遡ることはできず、ホテルの部屋の秘密を知るものは誰もいない。


 写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠ホッパー)より

 

 


『飯島晴子』(私的解釈)男山。

2020-11-07 06:19:26 | 飯島晴子

   男山さすがに春の寒さかな

 『男山』、冷酒が旨いといわれているが、さすがに春の寒さで燗酒にした。ああ、やっぱりさすが『男山』どちらも満足の旨さであった。

 男山はナン・サンと読んで、難、桟。
 さすがに(流石)はリュウ・セキと読んで、立、晰。
 春の寒さはシュン・カンと読んで、竣、陥。
☆難(非難すべき点)のあった桟(かけはし)の立(なりたち)、晰(あきらかに)竣(出来上がり)に陥(欠陥)があった。

 男山はダン・サンと読んで、談、三。
 さすがに(流石)はリュウ・シャクと読んで、流、釈。
 春の寒さはシュン・カンと読んで、瞬、換。
☆談(話)は三つある。
 流(一か所に留まらない)釈(意味を解き明かす)があり、瞬(またたく間)に換(入れ替わる)。