『ストリップ』
劇場の舞台に裸身で立つ女、客席に座る男たちの好奇の目。男は女を知らず旺盛な欲望を満たすための対象として舞台の女を見つめる。
対価(金)を支払っているのだから、どこまでも凝視する権利がある。暗い客席、観客の正体は無であり露呈は拒否したいが、彼女から受ける官能だけは享受したい。
スポットライトを浴びて立つ裸身の女、男たちに応えているだろうか。筋肉質の身体は鍛え上げた美しさがある。顔をぐいと上に上げ、(さあ、御覧あれ)と言っているようでもある。惨めさはなく、誇らしげでさえあり、誘うような淫靡は微塵もなく堂々としている。(求められる淫靡は観客の妄想である)
肉体を曝す…隠すもののない開き直り。《悪いか》需要と供給で成り立つ経済を考えるまでもなく、対価(金)を頂く。生きる術としてのストリップ。
今日の糧は自分の身体で稼ぐ。男たちの視線は全身で拒否しているが受け入れてもいる、わたくしを捨てわたくしに生きる。
流通する価値、堕落だろうか…隠すべきものを捨てる。羞恥心?それは観客もろともお仲間である。
大部分を占める黒(暗部)と白く輝く女の裸身の対比、女はひと時輝きながら労働し生きる糧に勝負する。
写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠)より