続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)いつまでも。

2021-02-15 06:47:32 | 飯島晴子

   いつまでも骨のうごいてゐる椿

 いつまでも(長時間)、骨(死)、うごいている(生)、椿(短時間の新鮮)。この動かし難い詞の集合には、奇妙な緊張感がある。

 いつまでも(何時迄)はカ・シ・キツと読んで、花、施、吉。
 骨のうごいてゐる(骨動居)はコツ・ドウ・キョと読んで、惚、憧、居。
 椿はチンと読んで、鎮。
☆花を施(行き渡らせる)吉(良いこと)は、惚(うっとりする)。
 憧(あこがれ)の居(住まい)が、鎮(落ち着いている)。

 いつまでも(何時迄)はカ・ジ・キツと読んで、加、二、詰。
 骨のうごいてゐる(骨動居)はコツ・ドウ・キョと読んで、骨、導、拠。
 椿はチンと読んで、珍。
☆加(その上に重ねる)二つを詰(つめこむ)。
 骨(コツ、勘所)を導く拠(より所)は、珍(普通と違っている)。

 いつまでも(何時迄)はカ・ジ・キツと読んで、禍、事、喫。
 骨のうごいてゐる(骨動居)ハコツ・ドウ・キョと読んで、忽、慟、虚。
 椿はチンと読んで、沈。
☆禍(不幸な)事(できごと)を喫(くらう)と、忽(たちまち)慟(嘆き)虚(むなしく)沈(気分がしずんでしまう)。


R.M『ピレネーの城』

2021-02-15 06:16:14 | 美術ノート

   『ピレネーの城』

 ピレネーという任意の幻の城が、海原の上空に浮く巨岩石の上にある。
 重さのあるものは重力圏においてはすべて落下する。この条理を平然と無視して浮上する城を持つ巨岩石は、虚偽であり、空想の賜物である。
 いかにも本物らしき巨岩石は巨岩石の概念を超越した世界でもある。一つの世界が地上から隔絶しているが、地上からは決してその世界を垣間見ることはできない。人は巨岩石の下面しか見えないからである。在るが見えない(無い)幻、有るに違いないという確信はこれを造った(描いた)人のみで、その人ですら、そのような指示に基づいたに過ぎない。

 誰かの発想は、まことしやかに伝達されていく。誰かはいずれ霧消し誰でもなくなり、海上に浮く伝説となる。
 誰もその根拠に辿りつけないが、確かに存在するのだという噂が伝説となり、神話化されていく。

 物理的根拠は欠片もない、精神的風評が想像を堅固なものにし、虚像を実像にすり替えていく。ここは誰にも侵されない安穏と永久平和が約束されている。この考えを阻むものは無い、少なくとも二次元であるこの疑似空間に異議は申し立てられない。それが『ピレネーの城』である。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3592。

2021-02-15 06:02:25 | カフカ覚書

きみは気だてのよい娘さんだ、ペーピ。しかし、それがなかなかわかってもらいにくいんだ。たとえば、このぼくにしても、最初はきみを残酷で高慢ちきな娘だとおもった。ところが、きみは、そんな娘じゃない。ただ、この地位がきみの頭を混乱させているだけなのさ。それというのも、きみがこの地位に適していないからだ。いや、ぼくは、この地位がきみにとって高すぎるなどと言おうとしているんじゃない。


☆先祖のうまい作り話だ、ペーピ。しかしながら、それが容易にわからない。たとえば、きみを始めは残酷で高慢だと思った。ところが、きみはそうじゃない。ただ、この場所が乱れているだけで、きみがこの場所に適していないというわけではない。