『階段』
何て不思議な絵。作家は階段の途中に立ち、戸外の山に対峙している。
日中の日差しであるが、山は暗く、太陽は山の向こうに落ちている。この家はよほど低い位置にあるのだろうか。
山と家の距離がつかめないが、この床面は高い位置にあり、ドアには階下に降りる階段が隠れて見えないが、在ると思われる。(右端の壁のカーテン、怪しい?)
『階段』は室内の階段を主テーマにしているのではなく、眼下にあるはずの隠れた階段を描いたものである。
見えていないもの(対象)を、主題にする。これはある意味《ミステリー》であり、この絵の不思議な魅惑はここにあると思う。
写真は岩波 世界の巨匠『HOPPER』より