続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

ホッパー『夜の窓』

2021-11-16 07:40:37 | 美術ノート

   『夜の窓』

 漆黒の闇の中のビルの一室、皓々と灯りが点る。地上の人目よりは高い位置にある硬質の建屋の窓・・・。
 右端には何か分からないが真っ赤な彩色が見え、中央の窓からは赤い布をまとった女の臀部が垣間見える。気温を示すものは無いが室内は赤い彩色のせいで暖かく見える。もろ肌脱いで寛いでいるとは思えない。

 すなわち、ここに見えるのは情念、欲情の熱気である。
 場面ではなく、予感の空気を描いている。
《誰も知らない》秘かな夜の窓である。

 写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠より)


『飯島晴子』(私的解釈)かの后。

2021-11-16 07:08:25 | 飯島晴子

   かの后鏡攻めにてみまかれり

 かの后(彼后)はヒ・コウと読んで、妃、劫。
 鏡攻めはキョウ・コウと読んで、強、攻。
 みまかれり(身罷)はシン・ヒと読んで、辛、非。
☆妃を劫(脅かす)強攻(危険や失敗を恐れず無理して攻めること)する辛い非(そしり、責め)があった。
 ダイアナ妃のことである。

 かの后(彼后)はヒ・コウと読んで、披、講。
 鏡攻めはキョウ・コウと読んで、共、交。
 みまかれり(身罷)はシン・ヒと読んで、審、比。
☆披講(歌を詠みあげて披露すること)で共に交(やりとりする)。
 審(つまびらかにし)、比(並べて比べる)。

 かの后(彼后)はヒ・コウと読んで、被、稿。
 鏡攻めはキョウ・コウと読んで、胸、考。
 みまかれり(身罷)はシン・ヒと読んで、真、秘。
☆被(蔽いかぶせた)稿(下書き)には胸(心の中)の考えがある。
 真(本当のこと)は秘(人に見せないように隠している)。


『水仙月の四日』48。

2021-11-16 06:29:25 | 宮沢賢治

 そして、風と雪と、ぼさぼさの灰のやうな雪のなかで、ほんたうに日は暮れゆきは夜ぢゆう降つて降つて降つたのです。やつと夜明けに近いころ、雪婆んごはも一度、南から北に馳せながら云ひました。

 風と雪・・・風はフと読んで、訃(死の報せ)。雪はセツと読んで、折(死ぬ)。あるいは幽鬼。
 皆(すべて)は、《死》が降つて(コウと読んで、薨/みまかる)降つて降つたという死の境界(領域)の景色。
 雪婆んごはも一度、南から北に馳せながら・・・南はナンと読みnone、北はノース/northからnothingを想起させる。つまり、無から無へ・・・実在ではないということだと思う。(二重の、も一つの話として)