続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『一夜の博物館』3.

2021-10-19 06:48:14 | 美術ノート

 上段の手首、なぜ手首なのか、切り落とされた手?左手である。
 もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。(マタイによる福音書より)
 腐りかけた木の実。
 園の中央にある木の実については、これを取って食べるな。これに触れるな。死んではいけないからと、神は言われました(創世記より)

 下段の不明な石(鉱物)。
 主なる神はとこしえの岩だからである(イザヤ書より)
 右の切り紙細工の模様は上下左右に相似形である、多分、ある一点を基点としてどこまでも広がる無限を表している。ただし、自然ではなく人為的な策である。

 これら四つの謎を一つの宗教に当てはめて考えてよいものか否。
 たしかにキリスト教の暗示は考えられる。信仰は救済もするが(統率)支配もする。しかし、いつかこの事も《一夜の博物館》として幻に帰すことがあるかもしれない・・・と、マグリットは心に期し、そして呟いている。


『水仙月の四日』29。

2021-10-19 06:22:37 | 宮沢賢治

 その裂くやうな吼えるやうな風の音の中から
「ひゆう、なにをぐずぐずしてゐるの。さあ降らすんだよ、飛ばすんだよ、なにをぐずぐずしてゐるの。こんなに急がしいのにさ。ひゆう、ひゆう、向ふからさえわざと三人連れてきたぢやないか。さあ、降らすんだよ。ひゆう。」あやしい声がきこえてきました。

 裂くはtear/泣く。
 降らすはsnows/雪(折/死ぬ)
 ひゆう→非有(存在を消す意のイメージ)
 飛ばすんだよ→飛(ヒと読んで、秘(人に見えないように隠す)
☆泣くような辛苦に抵抗するような風(教え/ありさま)のなかから「存在を消すんだよ、隠すんだよ、なにをぐずぐずしているの。こんなに急がしいのにさ。存在を消すんだよ、存在を消すんだよ。向こう(来世)のほうからさえ心して三人(阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩)連れてきたじゃないか。さあ、存在を消すんだよ」あやしい声がきこえてきました。


『飯島晴子』(私的解釈)芦の花。

2021-10-18 07:13:13 | 飯島晴子

   芦の花童に熱き闇ありぬ

 芦の花はアシ・カと読んで、悪、過。
 童に熱きはドウ・ネツと読んで、慟、熱。
 闇ありぬ(闇有)はアン・ユウと読んで、闇、宥。
☆悪の過(あやまち)、慟(身もだえして悲しむ)。
 熱くなって闇(不法なこと)を宥(大目に見てしまった)。

 芦の花はヨシ・カと読んで、好、夏。
 童に熱きはドウ・ネツと読んで、如何、熱。
 闇ありぬ(闇有)はアン・ユウと読んで、晏、憂。
☆好(心惹かれる)夏は如何(いかが)ですか。
 熱いまま晏(日が暮れる)憂いがある。

 芦の花はアシ・カと読んで、アシカ。
 童に熱きはドウ・ネツと読んで、童、熱。
 闇ありぬ(闇有)はアン・ユウと読んで、行、有。
☆アシカは童(子供)を熱(夢中にさせる)行(演技)が有る。


M『一夜の博物館』2.

2021-10-18 06:55:02 | 美術ノート

 四つに仕切られた箱の中、上段は手首、腐食しつつある果実。死と死に至る手前…。
 下段は不特定な石(鉱物)らしきものと内部を隠蔽した切り紙細工模様の紙(平面)。死を特定できない物である。

 自然・歴史などの過去の経由、それらの資料の蒐集であるべき博物館。
 一夜ということは光の無い時間帯ということで、幻、非現実(仮想)ということかもしれない。その必然性は明らかに知り得るものと、決して知り得ないものとの並置によって浮上する《無常観》ではないか。

 見えているが、見えていない深淵なる深層心理。作家は鑑賞者に解釈は自由に委ねるが、決して答の見つからないであろう難問を吹きかけたのである。
 そして、見つからないものこそが《現実》であると。


『水仙月の四日』28。

2021-10-18 06:22:31 | 宮沢賢治

 丘の稜は、もうあつちもこつちも、みんな一度に、軋るやうに切るやうに鳴り出しました。地平線も町も、みんな暗い烟の向ふになつてしまひ、雪童子の白い影ばかり、ぼんやりまつすぐに立つてゐます。

 丘はキュウと読んで、救。
 稜はリョウと読んで、霊。
 軋るはgrate→great/偉大。
 切るhafinish/終わる。
 鳴り出しましたはring/円、輪。
 烟はエンと読んで、掩。
 白い影はハク・エイと読んで、魄、衛。

☆救いの霊はみんな偉大であり終わる(死)ように輪になりました。地平線も町(現世)はみんな暗く掩(隠れてしまい)、死の導師の魄の衛(守り)ばかり、ぼんやりまっすぐ立っています。


『飯島晴子』(私的解釈)白昼の。

2021-10-17 06:38:03 | 飯島晴子

   白昼の夢に泣くこと花めうが

 白昼はハク・チュウと読んで、舶、厨。
 夢に泣くこと(夢泣事)はム・キュウ・ジと読んで、務、給、事。
 花めうが(花茗荷)はカ・メイ・カと読んで、化、命、苛。
☆舶(ふね)の厨(料理場)で給(世話をする)事(仕事)をしている。
 化(教え導く)命(言いつけ)は苛(きびしい)。

 白昼はハク・チュウと読んで、白、知友。
 夢に泣くこと(夢泣事)はム・キュウ・ジと読んで、務、究、字。
 花めうが(花茗荷)はカ・ミョウ・カと読んで、化、妙、歌。
☆白(申し上げると)、知友は務めて究(突き詰める)字を化(形、性質を変えて別のものになる)で妙(不思議な/はかりしれない)歌にしている。

 白昼はハク・チュウと読んで、博、宙。
 夢に泣くこと(夢泣事)はム・キュウ・ジと読んで、無、窮、持。
 花めうが(花茗荷)はカ・メイ・カと読んで、化、命、果。
☆博(大きく広がっている)宙は、無窮(果てしなく極りの無いこと・無限永遠)であり、持(持ちこたえているのは)化(天地自然が万物を生成する働き)や命(天の定め)の果(結末)である。

 白昼はハク・チュウと読んで、伯、仲。
 夢に泣くこと(夢泣事)はム・キュウ・ジと読んで、無、級、次。
 花めうが(花茗荷)はカ・ミョウ・カと読んで、果、妙、苛。
☆伯仲(たがいに似ていて優劣がつけにくいこと)は無いが、級(位、順序)の次(二番目)は妙(不思議)に苛(さいなむこと)がある。


『飯島晴子』(私的解釈)蓮白し。

2021-10-16 07:40:57 | 飯島晴子

   蓮白し頭叩いて呉れに来る

 蓮白しはレン・ハクと読んで、簾、剝。
 頭叩いてはトウ・コウと読んで、蕩、劫。
 呉れに来るはゴ・ライと読んで、吾、磊。
☆簾が剥がれ、蕩(揺れ動き)劫(おびやかす)。
 吾(わたくし)は磊(小さなことにはこだわらない)。

 蓮白しはレン・ハクと読んで、聯、舶。
 頭叩いてはトウ・コウと読んで、濤、荒。
 呉れに来るはゴ・ライと読んで、互、礼。
☆聯(並べてつなぐ)舶、濤(大波)で荒れている。
 互いに礼(秩序や良い関係を維持している)。

 蓮白しはレン・ハクと読んで、連、博。
 頭叩いてはトウ・コウと読んで、稲、黄。
 呉れに来るはゴ・ライと読んで、護、雷。
☆連って博(大きく広がる)稲の黄、護(守りたい)雷から。

 蓮白しはレン・ハクと読んで、連、白。
 頭叩いてはトウ・コウと読んで、頭、向。
 呉れに来るはゴ・ライと読んで、後、磊。
☆連(仲間)の白頭(白髪)向後(これからのち、今後)は磊(小さなことにはこだわらない)。


『飯島晴子』(私的解釈)青鷺の。

2021-10-15 07:43:09 | 飯島晴子

   青鷺の水を花嫁廻つてをり

 青鷺はショウ・ロと読んで、傷、櫓。
 水を花嫁はスイ・カ・カと読んで、衰、過、禍。
 廻つてをり(廻居)はカイ・キョと読んで、壊、去。
☆傷のある櫓は衰(勢いが無くなる)。
 過(あやまち)の禍(災難)、壊れたところを去(取り去る)。

 青鷺はショウ・ロと読んで、笑、漏。
 水を花嫁はスイ・カ・カと読んで、出、鍋、窩。
 廻つてをり(廻居)はカイ・キョと読んで、械、拒。
☆笑いが漏れ出す。
 鍋の窩(丸い穴)械(道具)として拒(使えない)。

 青鷺はショウ・ロと読んで、粧、絽。
 水を花嫁はスイ・カ・カと読んで、粋、夏、可。
 廻つてをり(廻居)はカイ・キョと読んで、快、挙。
☆粧(よそおう)絽は粋である。
 夏の可(良いと認める)快挙(胸のすくような素晴らしい行為)である。


M『一夜の博物館』

2021-10-15 07:19:38 | 美術ノート

   『一夜の博物館』

 夜の幻想、四つに仕切られたボックス、上段には切り取られた手首、時間を経た果物、下段には石(鉱物)、内部は切り紙細工の模様の紙で遮蔽されている。

 この不可思議な組み合わせは何だろう。死に導かれるイメージ。生の存在は隠されているのか・・・。自然・歴史などの資料を納めるべき空間領域に置かれたこの四つの物体。
 有機物と無機物、そして隠蔽された謎の不可思議。

 見えるものと見えないもの、生と死、永遠・不変・・・一夜、この中には確かに時間がある、変わるものと変わらないもの、朝になれば消えてしまう刹那。
 四角の区切りは十字のようにも見えるが、何かの連想を断ち切るもののようでもある。

 連鎖を拒むもの、答えを見いだせないもの、迷宮である。

 写真は『マグリット』展・図録より


『水仙月の四日』27。

2021-10-15 06:29:58 | 宮沢賢治

 雪童子の眼は、鋭く燃えるやうに光りました。そらはすつかり白くなり、風はまるで引き裂くやう、早くも乾いたこまかな雪がやつて来ました。そこらはまるで灰いろの雪でいつぱいです。雪だか雲だかもわからないのです。

☆☆死の導師の願いは、鋭く(エイと読んで衛/守る)ように光りました。そらはすっかり白(魄)になり、風(教え)はまるで引き裂く(tear=涙)のよう、早くも乾いたこまかな(乾細はカンサイと読んで完済)の雪(死)がやって来ました。そこらはまるで灰いろの(grei→greit/偉大な)雪(死)でいっぱいです。雪(死)だか雲(ウンと読んで、薀/奥義・究めた人)だかもわからないのです。