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米企業業績不安で、NYダウ125ドル安、原油38ドル、ドル87円(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-13 10:42:19 | 経済学
 「馬を川の傍まで連れて行くことは出来ても馬に水を飲ますことは出来ない。」ロンドンの書店で20数年前に買った「オックスフォード・英国ことわざ辞典」の表紙絵にある。

表紙絵に使われるほどだから、英国でも、ことわざ中のことわざなのだと思われる。

 NY原油〈WTI〉先物相場が、1月12日、取引時間途中ながら、バレル37.81 ドルで取引された。今朝のWSJ紙は、米景気回復には時間がかかる。世界最大の原油・ガソリン消費国米国の需要の先行きが芳しくないからだと書いた。

 冬場は暖房用油の最需要期である。イスラエルのガザ侵攻、OPEC大幅減産期待、ロシア・ウクライナ間の天然ガスを巡る軋轢。願ってもない相場環境に恵まれている。水を飲みたくない馬には原油も用がない。この日は金相場も用なしで821ドルルまで急落した。

経済とからだの健康には共通点が多い。健康な人間でも食欲がなくなると黄信号が点滅する。まして世界的な金融危機の最中、満身創痍の状態で、食欲がなくなると赤ランプが灯る。水を飲みたくない馬にいくら水を飲まそうとしても不可能だと先のことわざは教えている。

 「泣く子と地頭には勝てない」ということわざが日本にある。広辞苑によれば「道理をもって争っても勝ち目のないことをいう」とある。経済でいう道理と同列に議論できないが相場の道理から見れば、買い物が入るはず。しかし食欲がわかない以上、値段は上がらない。

 食欲がわかないということでは、最近のユーロ相場にも顕著に現れている。NY外国為替市場で、ユーロが先週の地合いを引き継ぎ売られ、1ユーロ=1.3434ドルで取引された。株もだめ、原油もだめとなると為替で儲けようとする投機資金がユーロ売りに流れやすい。

 今朝のWSJ紙は、今週のユーロ相場のレンジは、1ユーロ=1.32~1.36ドル、1ドル=87~92円と、アナリストは予測していると紹介していた。ユーロ売りは、木曜日開催予定のECB(欧州中央委員会)で、0.5%利下げで年2.0%となることが材料に使われている。

 欧州の景気回復に時間がかかる。ユーロは寄り合い所帯である。ユーロ圏の一角を占めるスペイン経済が破綻の危機にある。同じくメンバーのギリシアはスペイン以上の財政危機に直面しているとして、少し先を見れば1ユーロ=1.27ドルという予測まで出てきた。

 ユーロには買い物が入り難い。しかしドルもオバマ景気刺激策の効果が出るまでには時間がかかる。オバマ効果のご利益が薄まる。よってドルも安心して買えない。日本円にどうしても買いが集中する。NY為替市場で、一時1ドル=87円台で取引された。

 急激な円高は日本経済にとって好ましくない。日銀がドル買い介入に動くかもしれないと今朝のWSJ紙が紹介している。ただ、抜くぞ、抜くぞと脅かしても、鞘の中が「竹光」ならどうにもならない。そのあたりを「水鳥」は即見抜く。介入による効果は疑問であろう。

 NY株式市場では、米企業業績不安から株が売られ、先週末比125ドル安の8,474ドルで取引終了した。企業業績悪化が懸念されたアルコア株が一時8%以上値下がりした。JPモルガンとシティの証券部門統合の話が出てきていると今朝のCNNテレビは流していた。

 日本はどうか。国会では「定額給付金」一点張りである。麻生首相は12日フジテレビの番組で、「いま一番欲しいもの」を問われ、「国家の誇り」と色紙に書いたそうだ。いま一番求められているのは麻生首相ご自身の誇りである。誇りをなくした人間に魅力はない。(了)

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