(学校で教えてくれない経済学)
「中国の限界、ソフトパワーは三流」というタイトルで、近着のニュ-ズウイーク日本版が「中国特集」を組んでおり、興味深く読んだ。「一流大学から消えた地方出身者」という記事もお金が稼げるようになるとわざわざ北京の大学まで行かないという話も面白かった。
ケニアの週刊誌イ―ストアフリカンなどに寄稿するウガンダ出身のジャーナリスト、チャ―ルズ・オ二ャンゴオボは「経済的影響力だけで世界の覇権を握った国は存在しない」と指摘しているとヨア二ス・ガツィオ―ニス記者は指摘している。
「中国との取引にはびこる汚職や説明責任の欠如が、より持続可能な長期的関係を結ぶ上で障害になっている」とアンゴラの汚職監視団体マガの創設者であるラファエル・マルケスデモライスは言った。アメリカは、アンゴラが中国に抱く幻滅をうまく利用している。米当局者は6月、アンゴラ政府高官と貿易強化について会談、IMFが09年に決めたアンゴラへの資金援助を引き合いに出し、欧米金融機関が新たに融資する機会を作った。
7月のASEAN(東南アジア諸国連合)で、来年からアメリカを東アジアサミットに参加させる方針が決まった。アジアにおける中国の影響力に対抗するためであると言われている。「ベトナムとアメリカは、“過去のわだかまりを捨て”商業上・軍事上の関係を強化していく」と7月、ベトナムのファム・ザー・キエム副首相兼外相は語った。アメリカはインドネシアとも4月に協定を結んだ。東南アジア最大規模を誇るインドネシア経済への米資本の流入が始まると書いた。日本の姿がどこにもない。一体日本はどうなってしまったのか。
一方、文化大革命時代、農村出身の学生は誇りを持ち、一流大学は農村出身で溢れていた。温家宝首相は、昨年、「自分が大学生だった頃は、クラスメートの約80%か、もっと多くが農村出身だった」と振り返った。この9月、清華大学と北京大学の門をくぐる新入生の農村出身者は1%以下という指摘もある。人口の半分以上が地方で暮らす中国。問題は深刻だ。
中国では労働者の賃金上昇が続いているため、高校に行かないで働いた場合に得られる収入が急騰している。良い高校に通うと3000ドルかかるが、代わりに働けば月150ドル稼げる。貧しい農民家庭にとっては大金だと紹介していた。一方、地方や貧しい世帯の子供の40%が貧血であることや教育者が栄養の高い給食制度を提供していない。重度の貧血は学習能力に影響を及ぼし、将来、授業を混乱させることもあるだろうと指摘していた。
日本の新聞だけ読んでいるといまにも中国に飲み込まれるかのような錯覚に陥る。アメリカもアフリカも足元のアジアも中国を冷静に受けとめようとしている。問題は日本だ。(了)
「中国の限界、ソフトパワーは三流」というタイトルで、近着のニュ-ズウイーク日本版が「中国特集」を組んでおり、興味深く読んだ。「一流大学から消えた地方出身者」という記事もお金が稼げるようになるとわざわざ北京の大学まで行かないという話も面白かった。
ケニアの週刊誌イ―ストアフリカンなどに寄稿するウガンダ出身のジャーナリスト、チャ―ルズ・オ二ャンゴオボは「経済的影響力だけで世界の覇権を握った国は存在しない」と指摘しているとヨア二ス・ガツィオ―ニス記者は指摘している。
「中国との取引にはびこる汚職や説明責任の欠如が、より持続可能な長期的関係を結ぶ上で障害になっている」とアンゴラの汚職監視団体マガの創設者であるラファエル・マルケスデモライスは言った。アメリカは、アンゴラが中国に抱く幻滅をうまく利用している。米当局者は6月、アンゴラ政府高官と貿易強化について会談、IMFが09年に決めたアンゴラへの資金援助を引き合いに出し、欧米金融機関が新たに融資する機会を作った。
7月のASEAN(東南アジア諸国連合)で、来年からアメリカを東アジアサミットに参加させる方針が決まった。アジアにおける中国の影響力に対抗するためであると言われている。「ベトナムとアメリカは、“過去のわだかまりを捨て”商業上・軍事上の関係を強化していく」と7月、ベトナムのファム・ザー・キエム副首相兼外相は語った。アメリカはインドネシアとも4月に協定を結んだ。東南アジア最大規模を誇るインドネシア経済への米資本の流入が始まると書いた。日本の姿がどこにもない。一体日本はどうなってしまったのか。
一方、文化大革命時代、農村出身の学生は誇りを持ち、一流大学は農村出身で溢れていた。温家宝首相は、昨年、「自分が大学生だった頃は、クラスメートの約80%か、もっと多くが農村出身だった」と振り返った。この9月、清華大学と北京大学の門をくぐる新入生の農村出身者は1%以下という指摘もある。人口の半分以上が地方で暮らす中国。問題は深刻だ。
中国では労働者の賃金上昇が続いているため、高校に行かないで働いた場合に得られる収入が急騰している。良い高校に通うと3000ドルかかるが、代わりに働けば月150ドル稼げる。貧しい農民家庭にとっては大金だと紹介していた。一方、地方や貧しい世帯の子供の40%が貧血であることや教育者が栄養の高い給食制度を提供していない。重度の貧血は学習能力に影響を及ぼし、将来、授業を混乱させることもあるだろうと指摘していた。
日本の新聞だけ読んでいるといまにも中国に飲み込まれるかのような錯覚に陥る。アメリカもアフリカも足元のアジアも中国を冷静に受けとめようとしている。問題は日本だ。(了)