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日本画家、森田りえ子さん、大いに語る:京都高島屋6階画廊

2010-09-20 11:08:08 | スケッチ


於:京都高島屋6階画廊

江嵜企画代表・Ken



19日午後2時からのギャラリートーク(「森田りえ子展」(日本画)(京都高島屋6階画廊)には、時間前から大勢の森田りえ子ファンがつめかけていた。初日ややお疲れの趣ありとお見受けして心配したが、この日は、リフレッシュされたのであろう、いつもの元気な姿を披露してくれて安心した。

森田りえ子さんは、「19日の今日はトークの日なんです」とご自身が作った特性「日めくり」の一枚を見せた。19だから10(ト―)9(ク)ですと、落語でいう「枕」に使った。彼女が大の落語ファンであることは知る人ぞ知る世界である。

なぜ、今回、京都高島屋さんでの個展開催になったのか。当店美術部長の中村さんから「定年前に、ここで、個展やってな」と頼まれていた。昨年の『パリ展』は「三越」主催だった。それでも、中村さんは、休暇を特別にもらって、お忍びでパリまでかけつけてくださった。感激した」と、口火を切った。「今週末が定年、ぎりぎり間にあって本当に良かった。はじめもっと小ぶりな個展を考えていた。それでは困ると言われて、13日ぎりぎりまで個展に出す絵を描いていた」と、話した。聞いていて中村さんとの約束を守るのだという彼女の執念を感じた。

いきなりLEDの話になった。私ごとですがと断って、「自宅の画室の照明を最近LEDに代えた。今回はLED照明で描いた最初の作品展です。会場正面は特別に頼んでLEDを付けてもらった。絵を見たひとが、絵がいままでと違いますね、と言ってくれました。」と、LED照明の利点を時間をかけて説明された。

「LEDは30年もつ。だから私が死ぬまで大丈夫です。」といって会場を笑わせた。「太陽光線に極めて近い。しかも紫外線も赤外線も浴びない。日焼けしなくて済む。しかも熱くならない。絵は熱に特に弱い。今回の会場正面の照明を特別に頼んでLED電灯に代えてもらった」とニコニコしながら話された。

「花の絵描きと言われているが、花より葉、つぼみ、茎や隠れた根を想像してもらえる絵を描きたい。特につぼみは咲く力を蓄えているところが好きです。つぼみひとつに、葉の一枚一枚にいつも祈りを込めて描いています。大勢の方に絵を見てもらい、共感いただくことが絵描きの喜びです」と森田りえ子画伯が常日ごろからの想いを述べられた。

「今回は「お軸」を多く展示しました。「お軸」は、日本美の一つの形と思います。小さくなり、広げれば掛け軸として楽しめる。日本の生活の中に「お軸」を蘇らせて欲しい。昔の絵描きでない。今、現代に生きる絵描きとして、平成の和室にマッチする絵を描きたい。月ごとにとり換えていただいて、「お軸」を楽しんでいただければ嬉しい。」と、ここで、話しに一段と力が入った。

「今回、変わった絵を一枚入れました。是非見てください。「吉祥」というタイトルで、おめでたづくしをかたどった人形です。人形の名前は「チョロ・ケン」と呼びます。長老君(チョウロウ・クン)がなまった。これからも色々な絵に挑戦したい。」とギャラリ―・トークを終えた。

なにかご質問は?と事務局の方からあり、しばらく空白の時間が流れた。かぶりつきで座っていたこともあり、「昨年はパリ展で成功されました。NY展開催のご予定はありますか?」と筆者が一番に手を挙げた。

「いまのところNY展の予定はございません。海外では機会があればやってみたい。NYといわず中国、アラブ、アフリカもいい。アブダビでやりたい。」と答えた。アブダビが森田りえ子さんの口から出て驚いた。彼女独自のネットワークから得た情報を元に、彼女独特の嗅覚から生まれた感性かもしれない。

そのあとも会場から質問は出なかった。彼女は、パリでは質問攻めにあった。これが日本のスタイルなのかもしれない。しかし、せっかくの機会だからどんどん聞けばいい。それを日本人独特の謙遜と言えば聞こえはいいが、しり込みしてしまう。もったいない、と常々思っている。

質問がないので事務局の福井さんが、代わりに色々聞いた。そのなかで、何かチヤレンジしておられるテーマはありませんかと聞かれて、「チョウ、トンボなどの昆虫、変な趣味と言われそうだが、南国の昆虫を集めています。それを見ながら描いています。最近、南国に凝っています。色々な絵にチャレンジしたい。世界のさまざまな動物も描いてみたい。」と楽しくてたまらにないという表情で話を結ばれた。

日本画家、森田りえ子さん。好奇心の塊、日々チャレンジを忘れない、発展途上の画家の将来が楽しみでならない。新たな元気を彼女からもらって、ルンルンで帰路についた。(了)

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