★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

白昼恐怖劇場2

2010-11-09 10:49:58 | 文学



草の長さ三寸あれば狼は身を隠すといえり。草木の色の移り行くにつれて、狼の家の色も季節ごとに変わりていくものなり。(「遠野物語」40)



遠野郷野民家の子女にて、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり。(「遠野物語」31)



阿爺、これでわしたちを殺してくれといったそうである。そうして入り口の材木を枕にして二人ながら仰向けに寝たそうである。それを見るとくらくらして、前後の考えもなく二人の首を打ち落としてしまった。それで自分は死ぬことができなくて、やがて捕らえられて牢に入れられた。(「山に埋もれたる人生ある事」)

白昼の恐怖

2010-11-09 10:25:27 | 文学

太陽な必死さ





この男ある奥山ヘ入り茸をとるとて小屋を掛け宿りてありしに、深夜に遠き処にてきゃーという女の叫び声聞え胸を轟かしたることあり。里へ帰りてみれば、その同じ夜、時も同じ刻時に、自分の妹なる女そのその息子のために殺されてありき。(「遠野物語」10)