草の長さ三寸あれば狼は身を隠すといえり。草木の色の移り行くにつれて、狼の家の色も季節ごとに変わりていくものなり。(「遠野物語」40)
遠野郷野民家の子女にて、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり。(「遠野物語」31)
阿爺、これでわしたちを殺してくれといったそうである。そうして入り口の材木を枕にして二人ながら仰向けに寝たそうである。それを見るとくらくらして、前後の考えもなく二人の首を打ち落としてしまった。それで自分は死ぬことができなくて、やがて捕らえられて牢に入れられた。(「山に埋もれたる人生ある事」)