★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

或芥川龍之介の一生

2011-02-01 02:59:34 | 文学


この二年、芥川龍之介の短編を演習にかけている。
なかなか×川大学の学生もがんばっている。ただ、やっと読めるようになってきた、これはおもしろくなってきたと思うころ、15回の授業が終わってしまうのだ。まるで芥川の一生を現しているようである。三島由紀夫を鼻で笑う芥川、大江健三郎に「大人を主人公にしたらどうか」とアドバイスする芥川、「人間失格」を読んで「駄目なやつは何をやっても駄目」とラジオでコメントする芥川、坂口安吾とシャブ打ち競争する芥川、小林秀雄や花田清輝に「無知にもほどがある」と説教する芥川、安保闘争に参加する芥川、「ウルトラセブン」の「水中からの挑戦」を監修する芥川、月9のドラマの脚本を量産する芥川、安部公房よりはやくワープロを導入する芥川、「けいおん!」について「筋がなきゃ小説は駄目っすよ」と批判する芥川……こういうのを見たかった。

富士山は美しいはずだもの。

2011-02-01 01:23:38 | 文学


昨年、新幹線から撮った富×山。我々は、富×山を見るとき、美しくズームアップしてみてる気がする。記憶の中ではこんな風じゃないもの。

「ああ、こんな心の汚い私をモデルにしたりなんかして、先生の画は、きっと落選だ。美しいはずがないもの。」(太宰治「女生徒」)