
「伊勢物語のみやび」に関する卒業論文を一生懸命読むわたくし。あるいは「桑子にぞなるべかりける」的なわたくし。
なかなかに恋に死なずは桑子にぞなるべかりける玉の緒ばかり
都の男に対する、陸奥のひなびの女の渾身のうたである。男は一晩つきあったあと明けぬうちに帰るというので、女はまたもや渾身のうたを。
夜も明けばきつにはめなでくたかけのまだきに鳴きてせなをやりつる
男を水槽にぶち込めばよかったな……さすれば、ひなびとみやびは明らかに鋭く対立しただろうに。陸奥の女と都人の間といっても、まあ「だいたい」話が通じてるところが、なんとも重要であろうと私は思った。