★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

卒業論文を読む4──蚕編

2011-02-12 21:24:00 | 文学


「伊勢物語のみやび」に関する卒業論文を一生懸命読むわたくし。あるいは「桑子にぞなるべかりける」的なわたくし。

なかなかに恋に死なずは桑子にぞなるべかりける玉の緒ばかり

都の男に対する、陸奥のひなびの女の渾身のうたである。男は一晩つきあったあと明けぬうちに帰るというので、女はまたもや渾身のうたを。

夜も明けばきつにはめなでくたかけのまだきに鳴きてせなをやりつる

男を水槽にぶち込めばよかったな……さすれば、ひなびとみやびは明らかに鋭く対立しただろうに。陸奥の女と都人の間といっても、まあ「だいたい」話が通じてるところが、なんとも重要であろうと私は思った。

雪のおもしろう降りたる朝は面白くもなんともなし

2011-02-12 07:28:16 | 文学


あいやーまた雪降ってるじゃないかっ。
小市民を馬鹿にした私のせいですか、そうですか。

……雪のおもしろう降りたりし朝、人のがり言ふべきことありて、文をやるとて、雪のこと何とも言はざりし返事に、この雪いかが見ると、一筆のたまはせぬほどのひがひがしからん人の仰せらるること、聞き入るべきかは。かへすがへす口惜しき御心なりと言ひたりしこそ、をかしかりしか。今は亡き人なれば、かばかりのことも忘れがたし。

どうも私は「徒然草」のこういうつまらない境地にすぐ行ってしまいそうなところがある。危険である。つまらないものはつまらない。我々は、サイバネティックス以来の思考に無縁ではいられない。しかし、そういうことを勉強した途端に、文学だ哲学だと言っていたときよりも明らかに右顧左眄的になりつまらなくなっていく人間をたくさんみてきたが、……そんな人間は、案外上のような境地に落ち着く可能性があるのではなかろうか。

小市民どもに告ぐ

2011-02-12 05:48:48 | 文学


小市民どもに告ぐ。
音楽もお笑いも文学も、ある種の差別であり、それが存在しないと成り立たない。文学やお笑いの「毒」などというものではない。そのものが差別なのである。視聴者や読者のつまらない倫理観や自由とかを蹂躙する力を持ったものだけが面白いのである。

……とか、いつか言ってみたい。(しょっちゅう言ってるけどね……)