★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

濃密な意味空間に相当するものを

2014-03-01 01:11:37 | 文学


ヨーロッパのふるい都市では、街の中心部をかたちづくる広場をはさんで、教会の鐘塔と市庁舎の時計塔が対峙している風景をいまでもまのあたりに見ることができるが、教権と世俗の権力の長い葛藤の歴史を要約したこのような濃密な意味空間に相当するものを、明治の東京に求めることは難しい。

――前田愛「塔の思想」