Only the dead have seen the end of war.と言ったのはたしかプラトンだったと思ったが、死んだら見えねえじゃねえかよとも思うのである。もっとも、プラトンはわれわれよりも戦争を知っていたのかもしれないが……。
この前、千坂恭二氏の『思想としてのファシズム』を読んでいて、戦争についての認識を新たにしたが、確かに、上の映画に出てくる佐々淳行とか宇田川信一ほかの警察の人々の語り口は、どこかしら事態を戦争と捉えていたようなきがしないでもなかった。ドキュメンタリーの制作者は、ナレーションに榊原良子を抜擢。見ている側がアニメファンなら、パトレイバーを見ている気分になったであろう。
パトレイバーの監督も、戦後のなかに「戦争」を外部として描くことが出来るか奮闘していた。しかし、それはやはりテロリズムの制圧という物語にならざるを得ないのであった。闘いの終わりなど、死ななくても分かる。分からないのは、思想をどうやってつくるか、の方である。