娘シオンよ、大いに踊れ。
娘エルサレムよ、歓呼の声をあげよ。
見よ、あなたの王が来る。
彼は神に従い、勝利を与えらえた者
高ぶることなく、ろばに乗って来る
雌ろばの子であるろばに乗って。
――ゼカリヤ書
この予言は、イエスのエルサレム入城で果たされる。驢馬というのがとても良い感じであり、イエスの存在にある所謂ケノーシス(神聖放棄)というものに込められた優しさみたいなものをわたくしは感じる。
それにしても、ダ・ヴィンチの「受胎告知」の天使の羽根の生々しさは、キリスト教の世界が、物質の世界から絶えず脅かされてきたことを見るようである。ダ・ヴィンチの宗教画は、いまでいえば「デジタルネイチャー」(落合陽一)みたいなものだったかもしれない。しかし、それが美の方向に素直に流れていったとは限らないところが、わたくしが興味を持つ点である。