今年はあるオムニバスの授業に参加しているのであるが、そこで今日はレッシングの「ラオコオン」などについて講義があったので、帰宅してから最初の方を読み直してみた。疲れたので、米山優氏のモナドロジーについての本をつまみ食いする。
「ラオコオン」を、大学院の時に読んだとき、堅い書物だなあ、と思ったのを覚えているが、今読んでみると、レッシング自身が言っているようにメモ帳みたいなラフさで書かれているような気がした。米山氏の書物についても、最初読んだときよりも、自由な書きぶりのような印象を受けた。この本がでたのは99年だが、そのときのわたくしの気分と、米山氏の最後の結論は、気分としては似ていたような記憶がある。すなわち、《作者の死》を乗り越えるのは《美》しかないという気分である。哲学者の米山氏はいいとしても、――しかし、文学にそこまで美を期待するにはわたくし自身が懐疑的だった。そんな記憶がある。