★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

1984あたり

2017-05-15 23:50:30 | 映画


オーウェルではないが、1984年あたりについて考えている。

「フィラデルフィア・エクスペリメント」は楽しい映画である。しかしわたくしは、女は結婚して子どもを産むべしみたいな思想を持ってそうな主人公の戦前海軍兵(俳優の名前は知らん)と恋に落ちた、八〇年代の田舎娘のナンシー・アレンが、果たしてこのあとどうなったかが気になる。同じ頃の「バックツーざフューチャー」をみてもそう思うけど――、過去を悔やむことは簡単だが、未来を悔やむことは難しい、と言わざるを得ないからだ。タイムトリップしてそこまで忘れてしまっては困る。

この二作においても、主人公の車好きはなにか常軌を逸しているものがあり(誰かが言っていたように思うが、「フィラ~」の主人公の田舎はたしかサンタ・ポーラであり、とすれば車狂のマックィーンが示唆されているのであろう)、やっぱりこんな人たちにとっては車市場で日本に侵略されたのがかなり心の傷であったのかもしれない。何かの雑誌を読みながら「信じらんないねドイツと日本と仲良くなんて」とその海軍青年は言う。よく見えなかったが、車の雑誌じゃなかろうな……。海軍青年×ナンシーの子どもはやっぱり車狂になるのであろうか。「フィラデルフィア・エクスペリメント」のテーマは、歴史は単に繰り返すのではない、意図的に繰り返したら世界は終わる、である。「フィラデルフィア計画」のように。たぶん、海軍青年はそれを目の当たりにしたので大丈夫だろう。はじめは納得しなかったも知れないが、アメリカが日本とドイツと仲良くすることが、「フィラデルフィア計画」よりましだったことに気づくであろう。彼の息子は、日本のアニメオタクとなり、アキハバラで(ドイツ語が出てくる)エヴァンゲリオンあたりが好きな日本の女子と恋に落ちて、お父さんをいらいらさせるだろう。

ナンシー・アレンの未来は……、わからない。


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