横浜では最高気温が昨日の354℃を超えて、本日は364℃の表示となっている。16時過ぎから空を雲が覆いはじめ、雷もなり始めた。
川口市やさいたま市では昨日に続いて猛烈な雨が降ったらしい。神奈川県でも県央地域を80ミリ以上の雨の区域が南下している。私の家の周囲も微かに雨が降り始めている。雷鳴はしだいに鋭くなってきた。
帰宅後は、「加藤楸邨句集」(岩波文庫)から第8句集「山脈」(1955年刊)の「山脈抄」(1950-1952)を読む。私が生まれた前後の作品がおさめられていることになる。
5月20日に同じく「山脈」の前半「太白抄」から少なくを選んで掲載した。あれからもう3ヶ月近くも経ってしまっていた。
★みつつかなし目刺の同じ目の青さ
★大いなる冬日を追ひぬ遺児として
★鳶の脚見えて野分の宙を掴む
★雪降りつむ音なきものはつひにかなし
★なほ焦土雪の鞦韆ひとりこぎ
★咽(むせ)ぶと憤(いか)ると冬の煙突さびしきかな
★息白々昨日を痣のごとく追ふ
★天の川きりきり鉄に揉みこむ刃
★墓一群「三月十日没」と雪に
★野分の馬打つて馬よりかなしきらし
★闘鶏のねむりても張る肩の力
★鷹の目のたどりつかんとするものあり
★火となりきり冬木の年輪見ゆるかな
★見ゆる敵見えぬ敵鵙力満ち
★しづかなる力満ちゆき螇蚸とぶ
★篁や椿落ちなほ深く落つ
★土用浪の裏は日あたりつつ奔る
★炉の鉄に火の色満ち来秋の暮
目の前のありふれた日常に自らの抒情を貼り付けることが詩の大きな要素であるが、その貼り付け方に個性が現われる。当然のこととはいえ、その個性に順応・共感することがある作者に惹かれる。私にとっては加藤楸邨の抒情の感応の仕方に惹かれる。