今年初めてサクランボが食卓にあがった。久しぶりのサクランボのように思えた。ブドウとは違って必ず固い種がある。その種がないとサクランボとはいえない。ほぼ二つの実で一対なのだが、パック詰めのサクランボは対にはなっていない。これは少々さびしい。
桜の実は食用ではなく、塾すると赤黒く小さな実を葉のうらにつけている。見落としてしまいがちである。とても酸っぱく且つ渋くて食べられたものではない。だが、桜蘂と同様に桜の木の下にうち重なって、時には人に踏まれて潰れている実は、桜の木の存在を夏場に思い出させてくれる。
★戦捨てし山河晴れたりさくらんぼ 加藤風親旗
★葉の陰に揺れはそれぞれ桜の実 庄司たけし
★桜桃を見納めにして陸奥の夢 鈴木芳正