『めし』
原作:林芙美子 監督:成瀬巳喜男
出演: 上原謙, 原節子, 島崎雪子, 杉村春子, 小林桂樹ほか
いい映画だなあ~!
ちゃぶ台をはさみ、座ってタバコを吸ってる夫と忙しく食事の用意をする妻。
傍目には「しあわせそうな奥さん」「美人の奥さんをもってしあわせな夫」だが、
ときめいた恋人時代は過ぎて、2人の間には毎日繰り返される平凡な日常があるばかり。
「食べる」という根源的な営みを通して見えてくる人間模様を描いた素晴らしい作品。
当時の大阪の繁華街や下町の風景は風情があって、焼け野原から徐々に復興して
職安に列をなす都内のようすも映像資料としても貴重。
夫を戦争で亡くして、子どもを抱えて必死に働く女性も出てきて、
想像できないほどの苦労だったろうと思わせる。
お騒がせ現代っ娘(いつの時代にもいるのねw)の姪と夫との微妙な男女関係の描写、
無邪気に笑ったかと思うと、大人の女のズルさ、嫉妬心ものぞかせる原節子の演技も素晴らしい。
実家に帰っても妹夫婦が生活していて、ゆっくり身を置く場所もなく、
会う人、会う人「もう大阪に帰るべきよ」なんて言われるのも辛いなあ。
三千代(原)は結局「好きな男のそばで平凡なしあわせを願うのが女のしあわせなのかもしれない」と落ち着くところで物語は終わっている。
正直な心情を吐露したはずの手紙を汽車の窓から破って捨てるシーンも素晴らしく、
自然に涙があふれてくる。
でも、女のしあわせと人間としてのしあわせ、そして1つこの世に生まれてきた
命としてのしあわせははたして同じだろうか?
愛情と依存心は混同されやすく、なかなか区別が難しい。
ずぅっと考えつづけてきたこの問いの答えをわたしはまだ見つけられないままでいる。
今作は、朝日新聞の連載中に絶筆となった林芙美子の新聞小説をもとに撮ったらしい。
「私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない」とは彼女の言葉。
森光子が記録的な舞台回数をうちたてた『放浪記』の作者でもある。
多感な青春期を尾道で過ごしたというこの女流作家にとても興味が湧いた。
原作:林芙美子 監督:成瀬巳喜男
出演: 上原謙, 原節子, 島崎雪子, 杉村春子, 小林桂樹ほか
いい映画だなあ~!
ちゃぶ台をはさみ、座ってタバコを吸ってる夫と忙しく食事の用意をする妻。
傍目には「しあわせそうな奥さん」「美人の奥さんをもってしあわせな夫」だが、
ときめいた恋人時代は過ぎて、2人の間には毎日繰り返される平凡な日常があるばかり。
「食べる」という根源的な営みを通して見えてくる人間模様を描いた素晴らしい作品。
当時の大阪の繁華街や下町の風景は風情があって、焼け野原から徐々に復興して
職安に列をなす都内のようすも映像資料としても貴重。
夫を戦争で亡くして、子どもを抱えて必死に働く女性も出てきて、
想像できないほどの苦労だったろうと思わせる。
お騒がせ現代っ娘(いつの時代にもいるのねw)の姪と夫との微妙な男女関係の描写、
無邪気に笑ったかと思うと、大人の女のズルさ、嫉妬心ものぞかせる原節子の演技も素晴らしい。
実家に帰っても妹夫婦が生活していて、ゆっくり身を置く場所もなく、
会う人、会う人「もう大阪に帰るべきよ」なんて言われるのも辛いなあ。
三千代(原)は結局「好きな男のそばで平凡なしあわせを願うのが女のしあわせなのかもしれない」と落ち着くところで物語は終わっている。
正直な心情を吐露したはずの手紙を汽車の窓から破って捨てるシーンも素晴らしく、
自然に涙があふれてくる。
でも、女のしあわせと人間としてのしあわせ、そして1つこの世に生まれてきた
命としてのしあわせははたして同じだろうか?
愛情と依存心は混同されやすく、なかなか区別が難しい。
ずぅっと考えつづけてきたこの問いの答えをわたしはまだ見つけられないままでいる。
今作は、朝日新聞の連載中に絶筆となった林芙美子の新聞小説をもとに撮ったらしい。
「私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない」とは彼女の言葉。
森光子が記録的な舞台回数をうちたてた『放浪記』の作者でもある。
多感な青春期を尾道で過ごしたというこの女流作家にとても興味が湧いた。