メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『無能の人』(1991)

2010-04-25 20:35:21 | 映画
『無能の人』(1991)
監督:竹中直人 原作:つげ義春 音楽:GONTITI
出演:竹中直人、風吹ジュン、三東康太郎、山口美也子、マルセ太郎、神戸浩、神代辰巳、大杉漣、井上陽水、いとうせいこう、須賀不二男、久我美子、野村昭子、原田芳雄、三浦友和 ほか

竹中直人の映画初監督作品。つげ義春の原作のほうはまだ見てないんだけど、けっこう近いらしい。
石を売るって設定が『恋の門』に似てるって思ったら、この原作を元ネタにしていた。
出演者が豪華なのは監督の顔の広さか。久我美子さんまで出演してて、ほんとビックリした!驚×5000
上品な顔立ち、話し方、全然変わってないなあ!嬉しくなる

trailer
この予告はだいぶ本編と雰囲気が違ってるw

story
助川助三はかつては漫画で細々と暮らしていたが、今では妻モモ子がチラシ配りをしてかつかつの生活をしている。
髪の毛や、河原の石なんかが売れたらどれだけ儲かるかと夢想していたら、
古本屋で石のオークションがあると知り興奮する。
早速、主催者の石山石雲、妻のたつ子、弟子の山川軽石を訪ねる。
その帰りに山川と飲み、たつ子は男好きだが、それが問題となって石雲とトラブルになった例が5人もあると聞く。

小旅行気分で山梨へ行って見つけた立派な石を「これは高値がつく」と自負してオークションにかけると1万ちょい。
モモ子は何を思ったかセリに参加して値を5万まで吊り上げたが、運はそこまで。
自分で競り落としてしまい、手数料だけがかさんだ。
「もうウンザリ。同じ貧乏でもマンガ描きのあなたのほうがよかったわ」

河原で石を売っていた際にやって来た浮浪者はメジロを置いていって高く売れた。
その男が雨の晩、飛び降り自殺をして、助川は警察に届ける。
「身元不明の浮浪者は7年もすると死亡扱いになるから、もう死んだようなものだったんだよ」と警官。
その話を憑かれたようにマンガに描き、久しぶりに出版社を回るがどこでも「暗い」と断られる。。。


原作の不穏な空気感をよくぞここまで映像化出来たなって驚いた。
でもさすがにそのままそっくり映像にしたら、もっと救いのない散漫な話になってしまうところを、
ところどころユーモアと、明るい日差し、いくらかホッとする場面も交えつつ描いているから、
映画として充分楽しめる、いい作品だった。

社会生活からははみ出てて、たしかに高いプライドが邪魔して貧乏は救いようがないくらいだけど、
今作の主人公は原作ほど絶望的に病んではいないように見える。
実際、つげのマンガは現代では芸術的だと評価されているわけだし、当時評価されなかったのは不遇と言える。
アイデアが浮かぶままに、いろんな職業に就いていく様子はなんだかエコ、自由、解放にすら見えてくるからフシギ。
「世間から3人だけが切り離されてるみたいね」「いいじゃないか、3人だけでも」ってセリフもイイ。

GONTITIのウクレレっぽい音楽もその救いの部分にだいぶ貢献してる。
最後には竹中直人の歌も入ってた。


いとうせいこうと落ち合った重厚な雰囲気の昭和喫茶はここだろうか↓↓↓
画廊喫茶ミロ (ガロウキッサ ミロ)@御茶ノ水


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『世界の歴史12 ヨーロッパのアジア進出』

2010-04-25 14:40:57 | 
『世界の歴史12 ヨーロッパのアジア進出-帝国主義の時代』
監修:木村尚三郎 立案・構成:岩田一彦 シナリオ:柳川創造 漫画:古城武司 集英社

・クリミア戦争:トルコ領内のキリスト教徒が迫害されているのを助けるという理由でロシアがトルコに侵入して始まった。
フローレンス・ナイチンゲール:イギリス貴族の出身で看護の勉強をしていた。38人の看護婦を連れてトルコに向かい、敵も味方も関係なく手当てしたため「クリミアの天使」と呼ばれた。イギリスに帰ってからは「陸軍病院に関する覚書」などの本を書き、1860年ロンドンにナイチンゲール看護学校が出来た。1910年に90歳で永眠。
・赤十字社:ナイチンゲールの精神を理想としてアンリ・デュナンが1864年に設立。最初は戦争の兵士を救護する活動をしていたが、その後災害時の救援活動や、病気の予防、献血などに広げた。スイスのジュネーブに置かれ、世界の国々が加盟している。


イギリスのインド支配
イギリス東インド会社はインドの植民地をどんどん広げ、19世紀半ばにはインドの大部分を植民地化した。
ビクトリア女王:1837年に即位。イギリスを最も繁栄させた女王。その64年間をビクトリア時代(ビクトリア朝)と呼ぶ。
セポイの反乱:1857年。インド人のイギリスに対する民族独立運動。2年後には鎮圧され、ムガル帝国は滅亡し、1877年ビクトリア女王が皇帝であるインド帝国となった。


アヘン戦争
中華思想:「中」は世界の中央、「華」は文化の意。中国人が世界でもっとも優れた民族だという考え方。
イギリスは清(中国最後の王朝)に平等な貿易を求めたが、「清には必要なものはなんでもあるが、外国から買いたいものはなにもない」と断られたため、インドで作ったアヘン(麻薬)を東インド会社に中国で密貿易をさせ、代金として大量の銀が中国からイギリスに流れた。
・林則徐(りんそくじょ):アヘン取締りを命じられ、没収されたアヘンは1ヶ月もかかって焼き捨てられた。
・南京条約:戦争で負けた清は、「香港をイギリスに譲る」などの不平等条約を結んだ。
・太平天国:エホバの下では皆平等という信念で貧しい農民が中心となって各地で反乱を起こした。
・アロー戦争:イギリス船を海賊船として捕らえたことなどで、フランスも連合して戦争となり、天津条約を結んだが、清は守らなかったため、再び戦争となり、北京条約を結んだ。


中国の富国強兵
戦争に負けた原因を探り、西洋技術を学び、西洋式の軍隊が作られた。また、鉄道・電信が使われ、炭鉱などの産業も発展した。
ベトナムはフランス領となり、日清戦争では朝鮮・台湾・遼東半島が日本領となった。
中国分割:日清戦争をキッカケに、列強(ロシア・イギリス・ドイツ・アメリカ・イタリア・フランス・日本)は「眠れる獅子」と呼ばれて恐れられていた中国に進出した。
西太后:清朝第9代皇帝の夫人。皇帝の死後、子どもが即位すると摂政となって大きな権力をふるった。息子亡き後、息子のいとこが即位した際も摂政となり40数年間清朝の権力を握った。


清朝の滅亡
日露戦争:義和団鎮圧ののちもロシア軍が残って朝鮮半島支配を目指したため、日本とロシアは中国東北部の利権を巡って対立し、1904年戦争が始まった。
孫文:中国の政治化・革命家。清朝打倒をめざし、東京に亡命していた。世界事情を学ぶため、遠いヨーロッパより日本で学ぶ亡命者や留学生が多かった。
・三民主義:孫文のいう「民族の独立・民権の確立・民生の安定」をめざして中国革命同盟会が結成された。
・宣統帝:愛新覚羅溥儀。西太后亡き後、3歳で即位。のちに日本がつくった満州国皇帝となる。
辛亥革命:清国が新政を推し進めるための資金を列強から借りるのを目的としてほとんどの鉄道を国有化していたのに反対した資本家らが起こした暴動が全土に広まった。清朝から独立宣言した14の省が南京にて臨時政府を作り「中華民国」という。孫文が臨時大総統。
袁世凱:清国の役人で軍人。革命軍を鎮圧。孫文と話し合い、宣統帝を退位させ、三民主義を守る約束で大総統となる。独裁体制を進め、孫文の国民党を弾圧。

清時代の文学:「西遊記」「水滸伝」など


アフリカの植民地化
ヨーロッパ列強は「暗黒大陸」と呼ばれていたアフリカにも探検によって進出。
リビングストン:イギリス人宣教師。キリスト教を伝道しながらアフリカ南部を探検、ビクトリア滝などを発見した。ナイル川で行方不明になり、スタンレーに発見された。
スタンレー:イギリス人。アメリカで新聞記者をしていて、行方不明になったリビングストンを探すためにアフリカへ渡る。タンガニーカ湖畔で発見。
・レセップス:ヨーロッパとアジアを結ぶ交通として「スエズ運河」を開通させたフランス人。ヨーロッパからインドまでの航海日数が約3分の1に短縮された。ニューヨークからアジアへ行く「パナマ運河」の建設も手がけた。


アジアでいち早く近代化を遂げた日本が日露戦争にいてヨーロッパの大国に勝利したことは、
アジアの人々の自信を取り戻し、勇気付けられ、数々の独立運動につながったが、
日本はアジアを列強から守り、解放しようとせず、自ら列強の一員となって、
朝鮮・中国を侵略したことでアジアの期待を裏切った。

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