メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

「心の中のベストフィルム~『天井桟敷の人々』(1945)」

2014-09-24 15:22:46 | 映画
『天井桟敷の人々』(1945)
監督:マルセル・カルネ
出演:ジャン・ルイ・バロー、アルレッティ、ピエール・ブラッスール、マリア・カザレス ほか

 

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感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。

第1部:犯罪大通り
幕があがり、幕が下りる。これは映画というより劇場で観る演劇に近い。美しいモノクロの世界。
ジャケ写の1コマの絵の完璧な美しさで、観る前から逸品なのが分かる。

アーティストと、貧しいが人間味あふれた人々が行き交い、笑い、涙、怒り、人生が見える場所、
下町の通称“犯罪大通り”は、活気に満ちている。

そこには質屋であり、ラッパ吹き、夢占い師、タレ込み屋でもある男がいれば、愛の女神ギャランスもいる。

ここでもう悲劇の種は、着々と根を張ろうとしているのが見える。
フランスの恋愛劇は、生命の源のように生まれ、悲劇の渦中で終わるんだ。
ピエロが首を吊ろうとした綱で少女が縄跳びをし、洗濯女が洗濯物を干すシーンは素晴らしい。


第2部:白い男
話は一気に6年後に飛んで、『風と共に去りぬ』か、S.シェルダンの超訳小説のような面白さ。イイ男たちとイイ女!

久々に仏映の手法にヤラれた! 決闘はどうなったの 2人の仲は?
これじゃ思い切り中途半端に放り出されて、私たちはどうしたらいいのか分からない。

「客は恋愛を持って帰る。お土産だ。役者は客と思いを分かちあえるのが最大の喜びだ」(フレデリック)

通俗的な結末を押し付けられるよりマシかもしれないけど、
もう少しだけこの人間模様のドラマを見続けていたかった。

「大人になったら、あなたみたいな人と結婚する。それかママみたいな人」「パパとママと僕は幸せです」

天使のような男の子がギャランスに伝えに行かせるなんて最大の武器だね。
旅に出るにも、男がいなくなった女神は、一体あれからどうしたのか?




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「心の中のベストフィルム~『挽歌』(1957)」

2014-09-24 15:22:45 | 映画
『挽歌』(1957)
監督:五所平之助 出演:久我美子森雅之、高峰三枝子 ほか

感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。

このキャストの組み合わせはパーフェクトすぎる

優しくて、時に激しくて、妖しくて、不倫の恋にも大人の男の責任をとる桂木役の森雅之さんと、
ちょっと生意気で、泣き虫で、気性の激しい、少女と大人の女性の間を行き来する久我さんの、熱くて切ないラブシーンが満載。
久々切なく、胸が苦しく高鳴る思いを味わえる。
それだけに、ラストがなんとも辛い。

「無理にでも探して連れ去ろうと思っていたんだ。今夜は帰らないつもりだから君も決心してくれ」

なんてカッコイイくどき文句
行った先の旅館も、湖畔のなんとも趣味のいいところ。

「会いたくない気持ちは分かるが、東京に行く前に今夜だけは残っていてほしい」


「わたしをただの アミ(愛人)にしておいて!」

久我さんの言うこのセリフも大好き

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「心の中のベストフィルム~『愛人 ラ・マン』(1992)」

2014-09-24 15:22:44 | 映画
『愛人 ラ・マン』(1992)
原作:マルグリット・デュラス 監督:ジャン=ジャック・アノー ナレーション:ジャンヌ・モロー
出演:ジェーン・マーチ、レオン・カーフェイ ほか

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感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。


 

純粋にボーイ・ミーツ・ガールのシンプルな素材なのに、
インドシナというエスニックな舞台、32歳の中国人男性と17歳のフランス人の少女という
差別的関係、貧富の差の激しい男女の組み合わせ、
そしてなにより、原作者がその少女自身であるというセンセーショナルさ。

「わたしは18歳で老けてしまった」

というセリフの宣伝文句に、もっとエロティックなものを想像していたけれども、
かなり直接的な性描写なのに、なぜかとても自然で真実味のあるドラマを
当時、その場で透明人間となって傍観しているような感じがしていた。

著者によく似た、新人ジェーン・マーチの体当たり的演技も新鮮だが、
あらゆる難関を乗り越えて、深い愛を教えたショロン役にカーフェイを起用したのはとてもイイ。
“働かず、愛だけに生きる男”なんて興味深い。

作者はこの黄色い大地と、黄色く流れる川のある町で起きた家族とのことや、
別れてしまった愛人の話を未練たっぷりに話しているというより、
むしろ、私たちそれぞれの“人を愛する形の多様さ”を問いているのではないだろうか?
でも、実際の物語りはもっとずっとドラマティックだったろうな。

この時のカーフェイにヤラれて、主演作を漁った記憶がある。

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「心の中のベストフィルム~『インドへの道』(1984)」

2014-09-24 14:56:02 | 映画
『インドへの道』(1984)
監督:デビッド・リーン 出演:ジュディ・デイビス、ヴィクター・バナルジー ほか

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感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。

以前、イギリス女性の激しい半生をインドで描いた『熱砂の日』を紹介したが、
今度は逆に内向的で、自分のことさえよく分からず、
夫となる男を本当に愛しているかも気づこうとしなかった女性が
洞窟への遠出、不思議なこだまで現実にバッタリと出会う様を描いている。

作られた平和の中で、プライドを掲げて横暴な態度を見せる英国紳士、淑女たち。
そのほとんどに真実を見る目はなく、ラスト近くのアデラのバッサリ切った髪と表情は印象的。

「インドはいやおうなしに自分と面と向かうことを強制する」

英国人の生活や人々に憧れたばかりにとんでもない事件に巻き込まれる、
人のいいインド人のアジズ役を演じたバナルジーも熱演。





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「心の中のベストフィルム~『熱砂の日』(1982)」

2014-09-24 14:48:11 | 映画
『熱砂の日』(1982)
監督:ジェームズ・アイヴォリー 出演:グレタ・スカッキ、ジュリー・クリスティ、シャシ・カプール ほか

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感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。

「風と共に去りぬ」に似ている。
女性が激しく生きれば生きるほど、運命は彼女に冷たくなってゆく。
熱砂のインドの魅力が十二分に美しく撮られた名作。

わたしの大好きなグレタ・スカッキ主演で、いまだにベストに入る1本。
この頃は、ノートに映画のお気に入り加減を顔マークで表していて、
今作はもちろん、晴れのニコニコマーク

こんなに詳しく紹介している熱狂的ファンもいた!驚→「夜ごとの美女」《前編》《後編》



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