メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

エーリッヒ・ケストナー『飛ぶ教室』(1933年)

2015-03-10 14:52:11 | 
『飛ぶ教室』(1933年)(岩波書店)
エーリッヒ・ケストナー/著 ワルター・トリヤー/挿絵 高橋健二/訳
1985年 27刷

(以下は1997.3~のノートからの感想メモ

やっと本を読める休みがきて9日間で選んだのはケストナー2冊。
『いやいやえん』に似た素朴なイラストの描かれた自伝的作品で、
全編通じて重要なメッセージや、母親への想いがあふれる感動作。

「少年時代を忘れるな」

「子どもの涙は大人のより軽いとはいえない。むしろ重い時代だってある」

物語りをはじめる前の話まで書かれているところがケストナー作品のイイところ。
どんな状況で書かれたか、作者に血が通い、ライヴ感が伝わる。
母にせかされて、真夏の暑い最中、雪降る町の学校のことを書かなきゃならず苦労したことなど、
ケストナーの母想いは、苦労した分強いんだな。

書ききれない名文句の数々。まずはストーリー概要のみ。

あらすじ(ネタバレ注意

ドイツのギムナジウム(寄宿制の小学生上~高学年の学校)の面々。
xmas間近で演劇「飛ぶ教室」の稽古に励む仲間たち。

首席で、短気だが、正義感が強いマルチン、哲学肌のセバスチャン、
気の弱さを苦にしている小さなウリー、親友でボクサー志望、食いしん坊のマチアス。

母が家出し、父は「祖父母が待っている」と言って、息子ヨーニーを航海に出して、捨てた話から心が痛み涙が出る。

先生の息子クロイッカムが、近くの敵校の生徒に捕まり、書き取り帳を焼かれ、
一騎打ちはマチアスの圧倒勝利が条件。
それは守られず、敵側のリーダー、エーガーラントは、仲間に絶望し、自ら捕虜になるという。
マチアスらがクロイッカムを救出。その間、雪合戦で応戦。計画は大成功。

皆の尊敬の人、正義先生はいきさつを聞いて、罰の代わりに食事に招待し、
20年前、親友が、母が病気で学校を抜け出すたびに叱られ、身代わりに監禁された話をする。

その後、彼は医師となったが、妻子を失い、行方不明になった。
マルチンらは、もう1人の禁煙先生のことではないかと、2人を再会させる。



ウリーは、勇気を見せるため、梯子から飛び降り、脚を骨折する。
xmasには親が見舞いに来ることになる。

皆がなにより心待ちにしているxmasの帰省の日
家が貧しいマルチンは、「旅費がない」と親から手紙をもらい、泣かないと約束。
「泣くこと厳禁」と寝言にまでつぶやく姿はなんとも痛ましい。

xmas劇は大成功。
皆は帰ったのに1人だけ残ったマルチンから訳を聞いた正義先生は旅費を渡す。

悲しむ両親の前に現れる息子。
世界で一番幸福な家族のxmasで話は終わる



また丁寧な「あとがき」がある。
そこでは、作者がヨーニーと、養父になった船長が出会うというなんともフシギで楽しいエンディング。
話が本当になる瞬間、作家の頭の中では、もう書く前からすべての登場人物と物語りが詰まってるんだね。

ストーリーはシンプルながら、私はそのつどケストナーの言う言葉が好き。
できるだけ素晴らしい言葉をメモっておこう。

「なにかうまくいかないことがあっても、怖れず、不死身になりなさい。
 世の中は途方もなく大きなグローブをはめていますよ」


いつも同じシャレを言う老教師について
「教師はいつも変化してなくちゃならない。
 僕らには教師としての人間が必要で、2本足の缶詰が必要なんじゃない。
 僕らを発達させるなら、自分も発達する先生が必要なんだ」


ヨーニーが独り寝室で自分に言い聞かせる。
「5人の子を持ち、生活が美しくないなんて、そんなバカなことはない・・・」


全然、自分では笑わないのに面白いことを言うクロイッカム先生と、息子で生徒のルディとの会話も可笑しい。
「行われた一切の不当なことに対して、それを犯した者に罪があるばかりでなく、それを止めなかった者にも罪がある」

これは現代のいじめ教育にも十分使える言葉だ。


マルチンと母との手紙のやりとりは、泣かずにはいられない。
「ポストを空にした配達人は、鞄の中にどんなにたくさんの溜め息が飛び込んだか気づきませんでした」

ベク先生に「旅費でもないのかい?」と聞かれ、泣き崩れるマルチン。
「悲しさが少年のうなじをつかまえ、さんざんにゆすぶりました」


そして、とうとう家族のxmas。日本では勘違いな慣習になり下がっているが、
キリスト教徒にとっては、貧しさなど関係なく、
親子がたくさんの贈り物をし合う、本当に根深い儀式なんだね。

「クリスマスの天使、ベク」の描かれたハガキ2つの翼と、ふくらんだ財布を持つベク先生と、涙する少年の姿。
出発の合図をする駅長。感謝と尊敬の気持ちが率直に感動的に表われているこの絵と「10年後」の絵を見てみたい。


ゴットフリートという蝶に子牛のエドアルトも大切な登場人物。

なにより驚くのは、この物語りが学校生活の冬中のことでなく、
xmas間近の3~4日間にしぼられているにも関わらず、
たくさんのエピソードにあふれていること。

子どもの1日は、大人の1カ月か、それ以上に凝縮されているんだ。

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topics~高層マンション火災の注意点 ほか

2015-03-10 13:17:11 | 日記
最近の気になるトピックス。

高層マンション火災の注意点

高層住宅で火災 男性がけが 千代田区




 
中原消防署には11階まで届く消防車があるが、それ以上は隊員が直接上がって消火活動をする

 
消防法によって「水管」の設置などが義務付けられている

 

 
オール電化は、停電になったらアウトだよね。マンションにはそういう時の準備もあるのかな?

 



電車でモノが挟まれたらどうすればいいか?

電車ドアにバッグ挟まれ…女性が線路転落
3月1日夜、千葉県我孫子市のJR常磐線の天王台駅で、女性のバッグがドアに挟まれたまま電車が発車し、
女性はバッグをつかんだまま電車と並走し、ホームから線路に転落 しケガをした。電車は約80メートル走った後、急停車した。

 
これだけ事故で頭蓋骨骨折とか重傷者が出てるなら、新聞紙1枚でも作動したほうがいいのでは?

 
そうはゆっても「ギリギリまで頑張ってみると思う」って答えてたコも多かった


男性の鞄と違って、女性のバッグって上が開いてるから、回収された頃には中身散乱ってことには・・・???



出生数の推移×親子をターゲットにした商品「たまごっち」復活


4000万個売って大ブーム倒産再び4000万個売り上げたって歴史がスゴイ/驚
まったくハマってないからゲーム自体は興味ないけど、ほんとに日本の出生数が激減してるんだなあって
このグラフを見て、改めて驚いた。




きょうのいい言葉。


「もしも、この世が喜びばかりなら、人は決して勇気と忍耐を学ばないでしょう」(ヘレン・ケラー)


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大河ドラマ『花燃ゆ』 第10回「躍動!松下村塾」

2015-03-10 12:53:28 | ドラマ
大河ドラマ『花燃ゆ』
脚本:大島里美、宮村優子
出演:井上真央、伊勢谷友介、大沢たかお、原田泰造、優香、長塚京三、檀ふみ、内藤剛志、北大路欣也、
高良健吾、東出昌大、瀬戸康史、劇団ひとり、佐藤隆太、要潤 ほか


第10回「躍動!松下村塾」あらすじ(ネタバレあり
「立身出世して、もっといい暮らしがしたい」と塾に入った伊藤利助

吉田稔麿(なんだか俳優とウィキの絵とのギャップが凄いが・・・)は、江戸で学びたいと焦る。


文は、「松下村塾から江戸に出て活躍する者が出れば、兄の藩に対する忠義の証となるのでは?」と叔父・玉木に言い含める。



その動きを見て「思い知らせねば」と言う椋梨藤太に、伊之助は「私にお任せ下さい」と頼む。



高杉は、稔麿の前祝いに皆を遊郭に連れてゆく。そこで周布政之助と長井雅楽に出会う。
稔麿が江戸に行きたいことを知ると「椋梨が許すまい」と笑う。


納得しない稔麿に、寅次郎は聞く。

寅「なぜ、そこまで江戸に行きたい?」
稔麿「新しい学問を知りたい」
「なぜ学ぶ? 今ここで見つけられん者が江戸に行ってもムダです!」


それを聞いて「志か・・・」と考え込む高杉は、伊之助を訪ねると、久坂も来ていた。

「なぜ有能な芽を摘むのですか?」
伊「江戸には君らなど怖れる者などおらん」
「塾は潰させませんよ!」
伊「君たちは、口でゆっても、何かを成した話を聞いたことがない。何かやれるなら、やればいい」


藩主・毛利敬親が明倫館を視察する際、伊之助が案内役を命じられる。

伊之助は、明倫館の生徒に檄を飛ばす。

「今の身分に安住して、おぬしらはたるんでいる! いずれ私塾に負けるぞ!」
「それは松下村塾のことですか?」と生徒もざわつく。


稔麿を港で見かけたという伊藤。
文が行くと、荷揚げを手伝いながら江戸の暮らしぶりを詳しく聞いているという。
江戸は家がたてこんでいるから火事が多く、火消しが大活躍している話など、とても面白いという文。

文「議論だけでは見えん景色が稔麿さんには見えるんですね」


寅次郎が「僕はフグは食べません」と言ったことをずっと考えていたという伊藤。

伊藤「フグの話でなく、人がまことに怖れることは何かということですか?
   死ぬこと、苦しむこと、臆病者と笑われること」
寅「僕は死など恐れていません」


文と稔麿が話しているところに、明倫館の生徒が文句をつけて、助っ人に入った高杉らとケンカになる
玉木は激怒し、伊之助からは稔麿の江戸行きはないとの手紙が届く。

稔麿「江戸に行きたい! これまで全てほどほどだった。
   江戸へ行けばなんとかなるのでは、という考えは先生の言う通り浅はかだった。
   でも、今は知りたい。江戸の暮らし、この国に何を望み、異国の文明をどう怖れているのか。
   書物の上の学問じゃない、生きた人の暮らしを、皆にお知らせし、助けとなりたい!
   オレはこの塾の門徒として江戸に行きたいんじゃ!」

皆が一丸となって寅次郎に頭を下げると、



「稔麿の志、しかと受け止めた。身分の上下、下らん建前、この志の前では一文の価値もない!
  古い考えに縛られてはならん! 思うように抗え! 諸君、狂いたまえ
(岡本太郎さんみたい


 

皆はその勢いで椋梨に直談判するも、一喝される。
そこに視察に来ていた毛利敬親が通りかかり、すかさず伊之助は、この者らは寅次郎の弟子だと紹介する。
伊之助「殿も寅次郎から兵学を学ばれましたな」

「江戸の端にでもおいてください!」
敬親「端におっては意味はなかろう」
稔麿「存分に学びとうございます!」
敬親「そうせい」

 

伊之助の態度が不服の椋梨。

伊之助「彼らは押さえつければ、跳ね返そうとします。話を聞いて、時に恩を売れば、いざという時に使えるかと。
    明倫館も私に任せて欲しい。山県さまではムリです」



寅「僕がこの世の中で一番怖れとるものがなにか分かるか?
  何事もなさんことじゃ。そして、なそうとせんことじゃ
伊藤「そのためには目先の誘惑、つまらん毒に足元をすくわれたくはない、だからフグは食わない!」

寅「君がフグを食べたい、もっといい暮らしがしたいと思っても、
  それはもっと大きな事を成すための手段にすぎん。伊藤くん、偉うなりんさい」


江戸に発つ稔麿を見送る文。
文「家を出られん兄のために、江戸の事を詳しく書いて送ってほしい」
稔麿はちょっと文のことが好きだった???


杉家の三畳間では手狭になり、裏に納屋を作って改造する。
遠くの村からも噂を聞いてやって来る者も多くなった。
その1人が前原一誠




 

 




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