メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

世界フィギュア選手権2015 女子ショート

2015-03-26 23:55:55 | フィギュアスケート
世界フィギュア選手権2015 女子ショート@上海

毎回、凝ってるOP映像も何気に楽しみ。それぞれの最も輝いている瞬間をとらえていて感動的。

 

世界選手権が中国で開催されるのは初。ああ、あの中国大会があったセンターか・・・
男女のフリープログラムが同日に行われるのは珍しいそう。
今大会の結果次第で、来年の世界選手権出場枠の獲得がかかっているとか。日本は3枠狙い。

 




解説は荒川静香さんと、鈴木明子さん。


●アレイン・チャートランド (カナダ)

♪ラ・レジェンダ・デル・ベッソ ダブルアクセルから、3×3なんとか跳んだ。
情熱的な曲調に変わってのステップシークエンス、3ループ、スピンも安定。
コンビネーションスピンも決まって、ほぼノーミス。今日が誕生日/祝

「初出場で緊張する選手と、楽しみにする選手がいるが、彼女は前者」(荒川)


【第5グループ】

●本郷理華(18)
 

♪海賊 ラジオノワと同じ髪飾りしてる! 大きく深呼吸をして、長久保コーチにうなづいた。
メイクが映える顔立ちだな。堂々としてる。3×3はキレイに入った。ミスが少ないから安心して観ていられる。
長身を生かして、スピンも大きく見える。3フリップ、ダブルアクセルも決まって、
アッコちゃんから丁寧に指導を受けたステップシークエンス。コンビネーションスピンでフィニッシュ、お見事
寄せ書きがたくさん書かれた日本国旗を振ってた。62.17はSB。会場も沸く。

「最初から集中していた。自信をもって滑っていた」(鈴木)

[インタビュー]
「緊張したけど、落ち着いて、シーズン最後に力が出せてよかった」


●ポリーナ・エドムンズ(アメリカ)
 
♪ブレリア 彼女も長身のクールビューティ。3×3から、スピンも美しい、曲の妖艶さも表現。
3フリップ、ダブルアクセル、ピアノによるタンゴのステップシークエンスはキレがある。
それぞれの大会優勝者が集まるんだからレヴェルが高いのは当然だなあ。
彼女のコーチも、オーサー同様、選手と一緒に跳ぶタイプだねw


●ジジュン・リ(中国)
 
♪くるみ割り人形 登場すると会場はさらに大歓声。3×3決まって、また大歓声。
成長期でジャンプミスで悩んでいたが、乗り越えた感じ。3ループ、ダブルアクセル。
本来のしなやかで優雅な演技が観れて嬉しい。華やかな舞踏会のようなステップシークエンス。
深いレイバックスピン。ガッツポーズも出た。スタンディングオベーションが起こる。
たっくさんのプレゼントがリンクに投げ込まれ、カナちゃんが入り口で待つ。
スローで観ても、うっとりする出来映え。まだ本郷理華は超えない。


●村上佳菜子(20)
 

 

♪Think of me 回転不足で苦しんだ後、3ヶ月でどれだけ修正できたか。5度目の世界選手権。
なんだかコメントに辞めちゃいそうな予感が感じられるのは私だけ?
3×3余裕があった。表情にも笑顔。3フリップ、なめらかで大らかな表現力。感情もこもってる。
ダブルアクセル後も笑顔。自信が感じられるステップシークエンス。高音の女性ソプラノによく合ってる。
レイバックスピンでフィニッシュ。やっと見れたカナコスマイル 素晴らしかった。
点数が見たくない顔だったが、65.48!! 号泣で山田コーチと抱き合う。回転不足もなし。

 

[インタビュー]

「最初から最後まですごく気持ちよく滑れて満足。チャンスを無駄にしないという気でのぞんだ。
 やっとプログラムを完結させるチャンスなのでフリーも頑張りたい」


●M.ベレニス・メイテ(フランス)

♪ボサナ 黒い肌に白い衣装が映える。3×3高さがある。打楽器の効いた曲。3フリップ。
ダブルアクセル、独特なスピン。パワフルさも持ち味。曲調がソウルフルに変わって、ステップシークエンス。
アレサの♪Think がラストに入ってた。4度目の世界選手権ながら、なかなか結果が残せていない。


●ヨシ・ヘルゲション(スウェーデン)

♪ブラックバード 似てるからどっちが姉か妹か分からないな。ビートルズの女性ヴォーカルアレンジ。
3ルッツから、3×3のセカンドジャンプはどうか? ダブルアクセル、ジャズっぽくてイイ曲。
終始笑顔、難しいリズムになってステップシークエンス。彼女も長身で色っぽさも強調。



【最終グループ】

誰が優勝しても初優勝。真央ちゃんいないしね・・・


6分間練習前ですら、なぜか台につかまったりして、マイペースに集中して動き回ってる宮原知子ちゃん。

トゥクタミシェワは練習でトリプルアクセル成功。
全員の集中した表情っぷりがハンパない!


●エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)
 

♪ボレロ トリプルアクセル決まった!! 歴史的瞬間を観た。
3ルッツ。後半に3×3のコンビネーション成功。世界の女王となるか?
妖艶なステップシークエンスにも魅了される。まさに女王のプログラム。クルクル回って本人も大喜び!

 

「女子フィギュア界を進化させました!」(アナ)


すげえデカい謎のぬいぐるみをもらってたw
ソチを逃した悔しさもぶつけたか。77.62点。異次元出ました・・・
こりゃフリーでよほどのことがなければ、優勝でしょう。

[インタビュー]

今シーズンで一番良かった。トリプルアクセルをショートに入れるのはリスクがあったが成功して嬉しい。
女子も常に進化しなくてはいけないと思います。3冠のかかる大会。ミスなく演技するだけです。


●グレイシー・ゴールド(アメリカ)
 
♪ピアノ協奏曲イ短調 代名詞の3ルッツは崩れた。レイバックスピンは美しく、回転も速い。
他の選手にはとんでもないプレッシャーがかかったなあ! 後半に2つのジャンプ。
3ループもつまった。ダブルアクセル。曲とピタっと合ったステップシークエンス。
終始笑顔なのも魅力。チェンジフットコンビネーションスピン。ちょっと沈んだ表情。

「急激にシェイプアップして、パワーが落ちたのかな? 食事制限をすると、筋力が落ちることがある」(荒川)


●宮原知子(17)

♪魔笛 今日が誕生日/祝×5000 可憐なスタートの表情から、3×3は軽く決めた。
逆回転のコンビネーションスピン、フライングキャメルスピン、後半に2つのジャンプ。
3フリップ、ダブルアクセルは余裕。モーツァルトの明るい旋律に乗ってのステップシークエンス。
深いレイバックスピン、回転も速い。ノーミス素晴らしい! 足の具合の影響も全然見られなかったけど大丈夫なのかな?
67.02でSB。よーーーし。トゥクタミシェワにちょっと近づいたぞ。

[インタビュー]
思ったより緊張してたけど、体がよく動いた。リンクも滑りやすかった。
一番大きな試合でいい結果が出せてよかった。この演技で誕生日もどうなるかと思ってたけど、よかった。
会場も大きくて、緊張感もあったが、ショートは上手くできた。
四大陸ではフリーがダメだったから、両方揃えたい。


●アンナ・ポゴリラヤ(ロシア)

♪アダージョ 長身選手が多いなあ。3×3成功。しっとりした男性ヴォーカル曲。
チェンジフットコンビネーションスピン、3フリップで大きく転倒、ダブルアクセルで腰を押さえてた
ステップシークエンスにも精彩を欠く。大丈夫か??? それでもスピンは決まった。
1ヶ月前に足首を痛めて、1週間前まで影響があったそう。得点も伸びず。


●エレーナ・ラジオノワ(ロシア)

♪シギリージャ 最初からハイテンションのフラメンコ曲。3×3決まった。
鋭い刃のような集中した表情。彼女もダンサブルなステップシークエンスが強味。
3ループ、ダブルアクセル、カスタネットの音に合わせて独特なスピン。
スピードアップして速いレイバックスピン、笑顔でフィニッシュ。これで16歳だもの/驚驚驚
緊張から解き放たれた表情。69.51点。でも本人は納得してない感じ。

[インタビュー]
すべてのジャンプが成功して満足しています。
初めての世界選手権。緊張して、ロシアを代表する責任感もありました。
でも他の大会と同じだと言い聞かせた。フリーもミスしないようにしたい。
逆転優勝、もちろんその気持ちです。


●アシュリー・ワグナー(アメリカ)

♪スパルタカス 5度目の世界選手権。彼女だって強気さでは負けていない。
3×3のセカンドジャンプで転倒/驚 みんな慎重になってる!? 後半2つのジャンプ。
ダブルアクセルにオーバーターン。3フリップは両足着氷。ひたすら自分との闘いだ。
コンビネーションスピンでフィニッシュ。アメリカ枠も心配。57.81で11位。

「慎重さと、緊張感があった。調子が良いからこそ、力みになったか。
 オリンピック出場選手たちは、力をすべて使って次のシーズンの難しさと、
 悔しさをここで起爆するような印象はあります」(荒川)


ショートは、1位トゥクタミシェワ、2位ラジオノワ、3位宮原知子。


追。
なんだか、インタビューの終わり方が全部、不自然だったな

最後に男子の滑走順を決めるドロー会場までカメラが入って、中継。

 


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『愛は降る星のかなたに』(1956)

2015-03-26 16:01:10 | 映画
『愛は降る星のかなたに』(1956)@GYAO!(3/16-3/31)
監督:斎藤武市
出演:森雅之、山根寿子、浅丘ルリ子、高田敏江、小園蓉子、香月美奈子、金子信雄 ほか

“太平洋戦争勃発直後、国民を震撼させたスパイ・ゾルゲ事件を最初に映画化した作品。”

GYAO!の映画カテゴリーを覗いたら、森雅之さんの主演作が目に入って小躍りした
以前、けっこう漁って、もうこれ以上レンタル屋では探せまいと諦めた作品もまだまだある(なにせ出演作が多いし
当時45歳。脂の乗った円熟味、大人の男性の魅力がほとばしっていて、見惚れるばかり(うっとり・・・

主人公の坂崎秀美=尾崎秀実さんほか、テーマの事件は実話を基にしているようだ。
リヒャルト・ゾルゲ
宮城与徳(洋画家)
西園寺公一
昭和研究会

娘の知叡は、他国で生まれたのか、両親を「父」「母」と呼んでいるのに違和感を感じた。


story(ネタバレ注意。政治・歴史に疎いので誤りがあればすみません
昭和16年秋。坂崎秀美は、警察官であり、友人でもあったアラキによってスパイ容疑で逮捕され、投獄された。
妻・栄子、娘・知叡は「売国奴」と罵られ、栄子の弟・冬樹、チエの教師・ウエムラはかばう。

仲人であり、弁護士・杉浦が、弁護人となるが、時代的に味方になれることはほとんどない。
エイコも妻でありながら面会も出来ず、「あの人が売国奴なんて、どうしても信じられないんです。本当の事を教えてください」と杉浦に頼む。

発端は、昭和11年に宮部と名乗る画家が訪ねてきたことからだと話し始める杉浦。
「絵を観て欲しい」と家に来るが、本当の目的は「ゾルゲがあなたに会いたい。私が連絡役になります」というものだった。

 

ゾ「もう一度、上海の時のように親しくしましょう」

チエが肺炎で「今夜が峠だ」って言われても、母エイコはやけに冷静なシーンに違和感あり。


青年将校がクーデターを起こした事件(2/26事件?)から、坂崎は「新しい日本をつくる」とゾルゲとの関係を深める。
新聞社を辞めて、研究所をもち、講演会や、記事を書いたりして華やかな人間関係を持つ。
円城寺からは政界への出馬も勧められるが断る。

ゾ「内閣の嘱託をなぜ断った?」
坂「次はぜったい戦争になります」

ゾルゲは小型無電を使って、あちこちから電波を飛ばして交信していたため、警察も解読できない。
「これは外人の仕業だ」
アラキはゾルゲや宮部にたどり着き、尾行捜査を始める。

坂崎の秘書・ヒミヨは外の様子を見て
「なんて恐ろしいんでしょう。こんなにズルズルと行進をして。日本はどうなるのかと思って・・・」




弁護士の回想話を聞きながら、
エイコ「やっぱりお金のためじゃなかったんですね。あなた、待っていてください。私も勉強して、きっとあなたに追いつきますから」
その日から夫婦は塀を隔てて、無数の手紙を交わすようになる



ようやく面会が許されたエイコ。
フユキが「兄の代わりに国力に尽くしたい」と兵に志願したことを告げる。
エイコ「義兄さんの分もやってきてね」(なんだか徴兵される涙もなく、あっさりしたシーンだったことにも違和感あり

坂「人間、深い叡智によってのみ進歩してゆくんだ。娘に知叡と名付けたのもそうだからね」

杉浦「年内に公判、傍聴は禁止でしょう。戦時中としては仕方ない。あとは静かに断罪を待つよりは・・・。
   坂崎はスパイ容疑を自認しているし、情報が手に入りやすい立場で、赤軍にも登録されていた」



坂「日ソ開戦かね?」
円城寺「御前会議では、日米交渉がこれ以上進展しない場合、大戦準備にかかるという結論になった。ソ連を敵に回すのだけは避けたいだろう」


事務所で仕事をしているところにヒミヨが夜食を持ってくる。

坂「こんな時間じゃ誤解を招くね」
ヒ「私も(お酒を)頂こうかしら」
坂「お母さんに叱られてもいいならね」
ヒ「私、もう子どもじゃありません!」

 
そりゃ森さんが上司なら、不倫でも、スパイでも、どこまでもついていきますとも


坂崎は胃潰瘍で血を吐いて倒れる。
見舞いに来たヒミヨに「この音楽会に行って、隣りの外人にコレを渡してくれ」
と円城寺から借りた御前会議の資料を渡すよう頼む。

 

ゾルゲは踊って喜び、すぐにソ連に打電する。「日本の国力はもって4年」
そこに、ゾルゲと恋人関係にあったバーのウエイトレス・カズエがやって来る。

カ「私、知ってるのよ!」
ゾ「外人を見たらスパイと思え。それは島国根性です」

「あなたに撃たれて死ぬなら本望です」とカズエに銃を渡すが、カズエは泣き崩れる。
その後、カズエがガス自殺した記事が載る。



アラキはカズエの部屋を捜索すると、坂崎宅にあった同じ絵を見つける。「あいつだ!」
ミヤベを逮捕し、ひどい拷問をする

坂崎は事務所に復帰し、ヒヨミは身を案じるが、
坂「近江内閣もどうなるか。戦争か、平和か。今は個人の幸福に酔っていられる時じゃないんだよ」


ついに坂崎とゾルゲは逮捕される。
ゾ「私は歴史を書き換えた誇りがある」



フユキが義足になって戦地から帰ってきた。チエは軍需工場で働いている。

エイコ「南方はどう?」
フユキ「どうもこうも、肉弾攻撃しか手がないんだから。義兄さんの言っていたことも今なら分かります」
エイコ「じゃあ、あなたは運がよかったほうね」



エイコが面会に行くと「今日はゆっくり話してくるといい」と言われる。
フユキがすっかり気落ちしていることを告げると、坂崎「誰かいい人はいないかな?」
エイコは、チエの教師だったウエムラ先生がいいとすすめる。

「2人で満州に行ったらいい。ボクは死んだら、無心論者だから墓など必要ない。
  庭に埋めて、桜の木でも植えてもらえばこの上ないよ。いや、梅がいい。
  厳しい風雪に耐えて咲くところがいいじゃないか」

チエとフユキも来ているが、チエ「よすわ。父が泣くと可哀想だもの」



ウエムラとフユキは結婚し、満州に旅立つ。
その後、すぐ杉浦から坂崎が処刑されたことを知らされるエイコ。
ヒミヨが1人で晴れ着を着て「先生のもとへ行く」と遺書を残して自殺したと聞き、

チエ「父に殉死したのよ」
エイコ「やめて! これ以上、私耐えられないんです!」


遺骨を庭に埋めていると、坂崎からの手紙が届く

チエ「地獄からの最後のお手紙よ。父の手紙を本にしない?
   父がなぜこんな茨の道を選んだのか、世の中の人に知ってもらいたいじゃないの」

杉浦「肉親の愛情こそ、人間感情の源だ。きっと人の心を打つでしょう」

その日から、母と娘は大量の手紙から原稿をおこす。


ソ連軍が満州国に侵攻したというニュースが入る。
円城寺らが来て、フユキと妻も亡くなったと告げる。

「国境付近の人たちは、老若男女、みな戦死しました」
「フユキは坂崎の言葉を信じて・・・」
「代わりに土を持ってきました」
「あなた! 私はこれから何を信じて生きていけばいいの!?」

 


本が発売され、サインするエイコ。

 

チエ「ベストセラーうけあいよ! 母、ブランコに乗っていきましょう!
   明るい顔になりましょうよ。いつまでも過ぎ去ったことを考えてもはじまらないわ」

エイコ「私は父を愛していた。カラッポにして努めて、一度は父の世界に届いたのよ」

チエ「母が信じたまんまを信じてあげればいいじゃないの」


出版祝いに父の大好きなお酒で乾杯し、父にもあげようと、梅の木にかける(あんなにアルコールかけて大丈夫?
チエは父の声を真似して「母がそんなじゃ、チエが可哀想じゃないか。仲良くやれよ。2人きりの親子だからな」
チエ「あ、流れ星! あれ、きっと父よ。自分だけしたいことして、スーーっと消えちゃうんだからズルイ」

 

チエ「明日からこういう風にサインしない?」




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『二年間の休暇』 ジュール・ヴェルヌ/著

2015-03-26 15:42:27 | 
『十五少年漂流記』(『二年間の休暇』)(1888)(福音館書店)
ジュール・ヴェルヌ/著 太田大八/画 朝倉剛/訳  1968年版

以下は当時読んだ時に書いた感想メモです。

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あらすじ(ネタバレ注意


いきなり15人の少年が嵐と闘う場面から始まって物語りに吸い込まれる。着いた陸地は無人島
彼らはイギリス植民地ニュージーランドの首都オークランド市のチェアマン寄宿学校に通う裕福な家庭の子どもばかり。
2ヶ月間の休暇にスラウギ号で海岸をひと周りする航海の予定が、
水夫が乗る間もなく港を離れて流され、漂流してしまった

おどけ者のサービスの愛読書『ロビンソン物語』がよく引き合いに出る。
スクーナーは朽ちたが、物資はほとんど持ち出せたのが幸運だった。

几帳面で開拓精神の強いゴードン(唯一アメリカ人で最年長14歳)が総数を記録し、
もっとも誠実で勇敢、子ども想いのブリアン(フランス人)が崖から見渡して島だと判断する。
彼に対抗心を燃やす、勇敢だが妬み深い優等生ドニファン(イギリス人)は、もう一度調査に出かけ、
1807年に漂着して死んだフランス人の死体と洞穴を発見し、「フレンチ・デン」と名付ける。全体地図も見つける。

荒れる一方のスクーナーを離れて、筏でフレンチ・デンに移り住む。
石灰岩を削ってドアをつけ、隣りにも大きい洞穴を見つけて、食堂、寝室、大広間をつくる。
初代大統領をゴードンに決めて、地図のそれぞれに名前をつける。

狩猟マニアのドニファンが動物を撃ち、見習い水夫で黒人のモコがコック長(なぜ黒人はいつもコックなんだろう???
彼が焼肉だけでなく、塩漬け川魚や貝、植物で香りを添えたスープを作るのがスゴイ。

サービスはレアを飼おうとして逃がしてしまう。
代わりにヤギに似たビクーニャを捕まえて乳を搾り、ラクダのグアナコを馬代わりに働かせる。

5~6月が真冬で、脂の補給にアザラシを撃ち、煮て浮いた脂をすくう。
xmasは盛大に祝い、普段は下級生に勉強を教え、スポーツにいそしむ
東への探検に出た時、ブリアンは陽気なジャック(弟)が1人離れていた理由を知ってショックを受ける。

次期選挙で大統領になってからは、危険で苦労な仕事はいつも弟と引き受けるようになる。
スケート大会でドニファンらが霧で迷った時も、ジャックが行き、熊に追われて戻った。
とうとう2度目の冬の終わり、ドニファンらは別居計画を実行する。

そして海岸に漂着したアメリカのランチ「セバーン号」を発見する
一方ブリアンは、漂流者の1人ケイトを発見。
彼女は水夫に船を乗っ取られた挙句、火事と嵐に遭い、善良な機関長イバンスは捕虜となり、悪者7人が島に上陸したと話す。

ドニファンを連れ戻しに出たブリアンは、ジャガーと闘い、2人の少年の対立はなくなる。
いつまでも脅えてフレンチ・デンに閉じこもっているわけにもいかず、
ブリアンは「空の巨人」タコに乗り、夜中に偵察する案を出す。

ジャックは船の綱を解いて沖に流れたのだと告白。
「弟の過ちを兄が償っても構わないだろう?」

上空でブリアンは、キャンプの灯りと、東のかなたに火山の明かりを確認する。
嵐の夜に悪者から脱走してきたイバンスと再会。
タコのせいでフレンチ・デンまで見つかってしまったと話す。

しかも、チェアマン島は、実は南アメリカ西側の群島の1つ、アノーベル島で、
ランチを取り戻せば、マゼラン海峡を通って、本国へ戻れる希望があるという。
この辺の記述には世界地図が欲しい。p467~

イバンスの言う通り、悪者は難破したフリをしてフレンチ・デンに泊まり、襲われて捕虜となるフォーブス
偵察に出たうち、とうとうブリアンを助けたドニファンが胸を深く刺されてしまう
その上、フレンチ・デンも占領されて、あっさり敗れたと思いきや、
フォーブスが子どもらを助けて、自分はナイフで刺される。

あっという間に好転。悪者は皆命を落とした。

ランチは修理され、ドニファンも回復する頃、約2年間過ごしたチェアマン島を出航する一同。
途中、大きな汽船に拾われて、無事に帰国し、驚異の物語を講演で語り、
日記は各国語に訳されて出版、ラストは教訓で締められている。

「どんな危険におちいっても、秩序と熱意と、勇気をもってすれば必ず乗りきれる」


*************

正月中、5日間ほどで読破。少年らの小社会生活が生き生きと描かれていて、アッという間だった。
しかし2年間、ホームシックのことはほとんど触れられていない。
寄宿制で親から離れた規律正しい生活に慣れているせいかな?

ヴェルヌは、国境と人種差別を乗り越えた世界平和を望んで書いたという。
「女性とは、本来、編み物、料理が好きではないか!」なんてセリフはちょっと聞き捨てならないけど

「みんな子どもだが、大人のようにふるまおう」

重要な登場人物の1人に犬のファンが大活躍していたことを特筆せねばならない。


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