【THE BIG ISSUE VOL.338】
【内容抜粋メモ】
■黒住さん(千葉県立中央博物館)は、あらゆる貝を見るために遠征もする
『美しすぎる世界の貝』には見惚れてしまう貝殻の写真がちりばめられている
本書の監修は貝類学者の黒住さん
貝は5億年前に誕生
世界で約11万種以上、日本でも約1万種が生息する
一番大きいのはシャコガイ 2m級が知られている
貝の寿命は、半年~数十年ほど
子孫の残し方は2つ 交尾、放卵放精
水中ではエラ、陸上では肺呼吸/驚(いちいちビックリ
ヤドカリとは違い、自分で貝殻を作り、一生そこから身体が出ることはない
貝類は「軟体動物」(イカ、タコ同様!)に含まれる
海水、淡水にもいて、1万m以下の深海にも棲んでいる
「カタツムリ」は、陸に上がった貝! 落ち葉などを食べる(なんとつまじい/羨
貝は、私たちにとって身近な動物の1つ
ボタンやアクセサリーなどの素材にも使われている(そうなんだ
●3000年前の「殷」の時代、貝はお金だった!
黒住さん:
お金に関する漢字には部首に貝へんのつくものが多いが
それは昔タカラガイをお金に使っていたから
中国最古級の王朝「殷」時代、王朝に近い山東省に貝はおらず
どこから持ち込まれたのか謎だった
結果、日本にもいるメダカラが多かった
私は台湾の南部から来たと結論を出したが、まだ仮説のままです
(当時、貝を大切にして生きていたことを想像すると
今、銅やらの金属や紙切れを貯めるために齷齪と働いていることもなんだか可笑しく感じる
●黒住さんが貝に興味を持ったのは、小学3年生の夏休みの自由研究
家は京都なので、畑に捨てられていた貝殻とか、食べた貝とか、人からもらって集めていた
小学5年生の時、京都大学の学生が立ち上げた貝の同好会の記事を父が新聞で読み
行かせてもらったのが大きかった
手取り足取り教えてもらい、人生これしかない、と思った
琉球大学に進み、コレクターから研究に面白さを感じた
●大多数は、巻貝・二枚貝に分かれる
巻貝:頭と目がある 動けるものが多い
二枚貝:アサリなど 頭と目がなく、砂に潜れても、自力で移動できない(頭と目がないって!!
巻貝の螺旋は、「対数螺旋」 なぜか渦巻き銀河もそれに近い
●ナスカの地上絵に撒かれた貝殻
ナスカから50kmほど離れた海岸の貝殻を採集して、内陸まで運び、割られていたことが分かった
●「千葉県立中央博物館」では、千葉県に生息する多くの貝が見られる
(行って見たいなあ オフィを見ると常設だけでもいろいろある!
千葉の人工海浜では、ほとんど外来種だということも分かる
寒流・暖流が流れる日本の海岸には、寒帯・温帯・熱帯、多様な貝が生息している
●黒住さんの夢は、日本の貝類相の原風景を見せること
黒住さん:
貝が棲める環境は、海の汚染の程度などの要因で決まります
守るべきは貝ではなく、貝の生息する環境なのです
いま、多くの貝が絶滅の危機に瀕死している
明治以降、どこに、どんな貝がいたか記録して残したい
その当時から減っていった貝が多い
海岸の埋め立て、森林伐採、農薬散布・・・
貝を通して、人間のしてきたことが見えると思う
さらに、化石、貝塚などを見ることで、日本、琉球、朝鮮、中国沿岸の風景を
縄文時代に遡って見せたいですね
筆:水越洋子
「日本自然保護協会」
■盛口さん(沖縄大学教授)が、子どもの頃に実家近くの浜辺で拾った貝は「化石」だった
『おしゃべりな貝 拾って学ぶ海辺の環境史』著者
かつての諫早湾の干潟には、1億個体以上のハイガイが生息
今は干潟が消失し、ハイガイの貝殻だけが見つかる
「ハイガイ」は、温暖な地域の干潟に生息する
関東では6000年前に絶滅した
千葉県館山市に生まれ育ち、小学校2、3年の頃
近くの海岸から陸続きの沖ノ島によく貝殻拾いに出かけていた
拾った貝の裏側には、いつ、どこで拾ったかを書き込んだ
理科教師だった父に買ってもらった図鑑を見て、種類を集めることに夢中になった
18年前、盛口さんは沖縄に移住
再び貝に関心を持ったのは、約30年後
子どもの頃拾った貝は、ダンボール1箱分
貝の本を書くのに出して調べるうち、遥か昔に絶滅した貝があると分かり驚いた
盛口さん:
温暖化で海水面が最大5mも上昇した「縄文海進期」には、
僕の実家周辺も海の中 ハイガイも生息していた
「縄文海進期」の地層が表出している千葉県八千代市の花見川沿いでも、盛口さんはハイガイを拾った
盛口さん:
縄文時代の貝の化石が、誰にも気づかれずに無造作に転がっている
ここら辺は、当時、浅く暖かな海だったと教えてくれる
貝殻の丈夫さにも驚く
一般的な酸性土壌ならボロボロになっていたでしょう
海の砂には貝殻と同じカルシウム成分が多いため、時を超えることができた
●大森貝塚を発見したアメリカの動物学者、エドワード・S・モースも発見当時、貝の分布を記録した
『土の中からでてきたよ』(平凡社)
町歩き@品川歴史館など
●天然ハマグリは、もう日本ではほぼ見られない
盛口さん:
僕が子ども時代に拾った貝も、中国からの輸入ハマグリで、1970年代にはすでに輸入されていた
沖縄県西表島では、人間が食べ過ぎたため、約400年前に絶滅した「センニンガイ」を拾った
虫は気づかれず絶滅することがあるが、貝殻は丈夫なので「ここに生きていたよ」と伝えてくれる
ハイガイは、有明海に最後の大集団がいたが、
諫早湾の河口堰建設により干潟が消失して絶滅した
●沖縄のハイガイは、自然環境の変化で1000年前に絶滅
埋め立てにより干潟が消失し、近年もキルンというハマグリが絶滅した
本土でも、砂防ダム、護岸が建造されると、砂浜は痩せ、
気候変動で台風が通らなくなると、海水がかき混ぜられず貝が棲みにくくなる
温暖化の影響でエイが北上し、貝を食べ尽くし、漁業がダメになることもある
干潟の消滅にはひと言で言えない要因がある
人工ビーチでも、意外な貝が拾えることがある
ドラえもんの「どこでもドア」「タイムマシン」がある
深海から浅海、海面すれすれに棲む貝もいる 「オオシンデンカワザンショウ」
「流氷の妖精」と呼ばれる「クリオネ」は貝殻をなくした貝/驚
拾った貝殻は丈夫だからそのまま置いておいてもほとんど劣化しない
ぜひ日時、場所を書き記し、数十年後に見たり、子どもたちに見せてあげてほしい
●なぜ貝を拾うのか 世界の在り様を認識するため
盛口さん:
世界には、本当にそこにある世界と、自分が今認識できている世界の二重性があり
人によって見えている世界もさまざま 貝はそれを気づかせてくれる身近な存在
筆:松岡理絵
***
「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」
“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”
[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない
[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする
[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している
【ブログ内関連記事】
「ボブとジェームズ、東京へ行く」@ビッグイシュー
「猫のボブが私をホームレスから一人の人間にしてくれた」@ビッグイシュー
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(A Street Cat Named Bob)』(2016 ネタバレ注意)
求む! オフィス・スペース!
「年間購読のお願い」@ビッグイシュー
売り切れていた316号もPDF版で購入可能にv
【内容抜粋メモ】
■黒住さん(千葉県立中央博物館)は、あらゆる貝を見るために遠征もする
『美しすぎる世界の貝』には見惚れてしまう貝殻の写真がちりばめられている
本書の監修は貝類学者の黒住さん
貝は5億年前に誕生
世界で約11万種以上、日本でも約1万種が生息する
一番大きいのはシャコガイ 2m級が知られている
貝の寿命は、半年~数十年ほど
子孫の残し方は2つ 交尾、放卵放精
水中ではエラ、陸上では肺呼吸/驚(いちいちビックリ
ヤドカリとは違い、自分で貝殻を作り、一生そこから身体が出ることはない
貝類は「軟体動物」(イカ、タコ同様!)に含まれる
海水、淡水にもいて、1万m以下の深海にも棲んでいる
「カタツムリ」は、陸に上がった貝! 落ち葉などを食べる(なんとつまじい/羨
貝は、私たちにとって身近な動物の1つ
ボタンやアクセサリーなどの素材にも使われている(そうなんだ
●3000年前の「殷」の時代、貝はお金だった!
黒住さん:
お金に関する漢字には部首に貝へんのつくものが多いが
それは昔タカラガイをお金に使っていたから
中国最古級の王朝「殷」時代、王朝に近い山東省に貝はおらず
どこから持ち込まれたのか謎だった
結果、日本にもいるメダカラが多かった
私は台湾の南部から来たと結論を出したが、まだ仮説のままです
(当時、貝を大切にして生きていたことを想像すると
今、銅やらの金属や紙切れを貯めるために齷齪と働いていることもなんだか可笑しく感じる
●黒住さんが貝に興味を持ったのは、小学3年生の夏休みの自由研究
家は京都なので、畑に捨てられていた貝殻とか、食べた貝とか、人からもらって集めていた
小学5年生の時、京都大学の学生が立ち上げた貝の同好会の記事を父が新聞で読み
行かせてもらったのが大きかった
手取り足取り教えてもらい、人生これしかない、と思った
琉球大学に進み、コレクターから研究に面白さを感じた
●大多数は、巻貝・二枚貝に分かれる
巻貝:頭と目がある 動けるものが多い
二枚貝:アサリなど 頭と目がなく、砂に潜れても、自力で移動できない(頭と目がないって!!
巻貝の螺旋は、「対数螺旋」 なぜか渦巻き銀河もそれに近い
●ナスカの地上絵に撒かれた貝殻
ナスカから50kmほど離れた海岸の貝殻を採集して、内陸まで運び、割られていたことが分かった
●「千葉県立中央博物館」では、千葉県に生息する多くの貝が見られる
(行って見たいなあ オフィを見ると常設だけでもいろいろある!
千葉の人工海浜では、ほとんど外来種だということも分かる
寒流・暖流が流れる日本の海岸には、寒帯・温帯・熱帯、多様な貝が生息している
●黒住さんの夢は、日本の貝類相の原風景を見せること
黒住さん:
貝が棲める環境は、海の汚染の程度などの要因で決まります
守るべきは貝ではなく、貝の生息する環境なのです
いま、多くの貝が絶滅の危機に瀕死している
明治以降、どこに、どんな貝がいたか記録して残したい
その当時から減っていった貝が多い
海岸の埋め立て、森林伐採、農薬散布・・・
貝を通して、人間のしてきたことが見えると思う
さらに、化石、貝塚などを見ることで、日本、琉球、朝鮮、中国沿岸の風景を
縄文時代に遡って見せたいですね
筆:水越洋子
「日本自然保護協会」
■盛口さん(沖縄大学教授)が、子どもの頃に実家近くの浜辺で拾った貝は「化石」だった
『おしゃべりな貝 拾って学ぶ海辺の環境史』著者
かつての諫早湾の干潟には、1億個体以上のハイガイが生息
今は干潟が消失し、ハイガイの貝殻だけが見つかる
「ハイガイ」は、温暖な地域の干潟に生息する
関東では6000年前に絶滅した
千葉県館山市に生まれ育ち、小学校2、3年の頃
近くの海岸から陸続きの沖ノ島によく貝殻拾いに出かけていた
拾った貝の裏側には、いつ、どこで拾ったかを書き込んだ
理科教師だった父に買ってもらった図鑑を見て、種類を集めることに夢中になった
18年前、盛口さんは沖縄に移住
再び貝に関心を持ったのは、約30年後
子どもの頃拾った貝は、ダンボール1箱分
貝の本を書くのに出して調べるうち、遥か昔に絶滅した貝があると分かり驚いた
盛口さん:
温暖化で海水面が最大5mも上昇した「縄文海進期」には、
僕の実家周辺も海の中 ハイガイも生息していた
「縄文海進期」の地層が表出している千葉県八千代市の花見川沿いでも、盛口さんはハイガイを拾った
盛口さん:
縄文時代の貝の化石が、誰にも気づかれずに無造作に転がっている
ここら辺は、当時、浅く暖かな海だったと教えてくれる
貝殻の丈夫さにも驚く
一般的な酸性土壌ならボロボロになっていたでしょう
海の砂には貝殻と同じカルシウム成分が多いため、時を超えることができた
●大森貝塚を発見したアメリカの動物学者、エドワード・S・モースも発見当時、貝の分布を記録した
『土の中からでてきたよ』(平凡社)
町歩き@品川歴史館など
●天然ハマグリは、もう日本ではほぼ見られない
盛口さん:
僕が子ども時代に拾った貝も、中国からの輸入ハマグリで、1970年代にはすでに輸入されていた
沖縄県西表島では、人間が食べ過ぎたため、約400年前に絶滅した「センニンガイ」を拾った
虫は気づかれず絶滅することがあるが、貝殻は丈夫なので「ここに生きていたよ」と伝えてくれる
ハイガイは、有明海に最後の大集団がいたが、
諫早湾の河口堰建設により干潟が消失して絶滅した
●沖縄のハイガイは、自然環境の変化で1000年前に絶滅
埋め立てにより干潟が消失し、近年もキルンというハマグリが絶滅した
本土でも、砂防ダム、護岸が建造されると、砂浜は痩せ、
気候変動で台風が通らなくなると、海水がかき混ぜられず貝が棲みにくくなる
温暖化の影響でエイが北上し、貝を食べ尽くし、漁業がダメになることもある
干潟の消滅にはひと言で言えない要因がある
人工ビーチでも、意外な貝が拾えることがある
ドラえもんの「どこでもドア」「タイムマシン」がある
深海から浅海、海面すれすれに棲む貝もいる 「オオシンデンカワザンショウ」
「流氷の妖精」と呼ばれる「クリオネ」は貝殻をなくした貝/驚
拾った貝殻は丈夫だからそのまま置いておいてもほとんど劣化しない
ぜひ日時、場所を書き記し、数十年後に見たり、子どもたちに見せてあげてほしい
●なぜ貝を拾うのか 世界の在り様を認識するため
盛口さん:
世界には、本当にそこにある世界と、自分が今認識できている世界の二重性があり
人によって見えている世界もさまざま 貝はそれを気づかせてくれる身近な存在
筆:松岡理絵
***
「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」
“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”
[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない
[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする
[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している
【ブログ内関連記事】
「ボブとジェームズ、東京へ行く」@ビッグイシュー
「猫のボブが私をホームレスから一人の人間にしてくれた」@ビッグイシュー
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(A Street Cat Named Bob)』(2016 ネタバレ注意)
求む! オフィス・スペース!
「年間購読のお願い」@ビッグイシュー
売り切れていた316号もPDF版で購入可能にv