メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

映画『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』(2015)

2018-09-27 15:40:57 | 映画
原作・脚本:さくらももこ
監督:高木淳

主題歌:♪おどるポンポコリン(映画スペシャルバージョン)/ 大原櫻子
エンディング曲:♪おーい!!/ウルフルズ

声の出演:
TARAKO まる子
島田敏 おじいちゃん
屋良有作 お父さん
一龍斎貞友 お母さん
佐々木優子 おばあちゃん
水谷優子 お姉ちゃん
渡辺菜生子 たまちゃん
菊池正美 花輪くん
カシワクラツトム ハマジ
田野めぐみ 野口さん
飛田展男 丸尾くん
中友子 藤木くん
茶風林 永沢くん

中川大志 イタリアのアンドレア
劇団ひとり インドのシン
パパイヤ鈴木 ハワイのネプ
渡辺直美 ブラジルのジュリア
ローラ 香港のシンニー
菅沼久義 マーク

真地勇志 マルコ
高橋克実 りょう
清水ミチコ チエ
森迫永依 アンドレア(幼少時代)
亀田誠治 アンドレアの父
大原櫻子 アンドレアの母

トータス松本 大阪のオッサン
間寛平 なんば花月芸人
中田カウス なんば花月芸人
中田ボタン なんば花月芸人
笑福亭仁鶴 なんば花月芸人
軽部真一 灯籠流しの係りの人
笠井信輔 上野のお巡りさん
永島優美 スパゲッティ屋の店員
関純子 大阪のおばさん

山本圭子 山田くん
ならはしみき みぎわさん
沼田祐介 大野くん
真山亜子 杉山くん
浦和めぐみ 前田さん
川田妙子 とし子ちゃん
永澤菜教 ブー太郎

陶山章央 山根くん
掛川裕彦 戸川先生
園部啓一 野口のじいさん
田中一成 隣のオヤジ
西脇保 たこ焼き屋のおじさん
高塚正也 若者
ほか




“25周年を迎えた国民的TVアニメの23年ぶりとなる劇場版。
 原作者のさくらももこ自ら脚本を手がけ、イタリアからやって来た少年とまる子の出会いと別れの物語を描く。
 声の出演はTV版のレギュラー陣に加え、中川大志、劇団ひとり、パパイヤ鈴木はじめ多彩な顔ぶれがゲスト声優を務める。”


さくらももこさんが亡くなって、急遽、追悼として放送された
私はアニメを観ていたのは随分昔だから、
今回久々観るけれども、25周年記念とはいえ、
ここまで俳優や芸人を詰め込んだことにビックリ

地上波初放送 ノーカット

キャラクター名を忘れてる子もいるな


【内容抜粋メモ】

プリンをたくさん食べてる夢を見て、なかなか起きず、お母さんの雷が落ちて、遅刻するまるちゃん



このOP曲も久々

花輪くん:
僕の通う英会話スクールから、日本に10日間ホームステイしたいと頼まれたんだ
いろんな国から小学校6年生が6人も来てるよ
ほかの人にも頼みたいから、とりあえずみんなに家に来て欲しいんだ






花輪くんちここまでゴージャスとは!
それぞれ食事をする間に気が合う子を見つけていく







アメリカ人 マーク→花輪くん
インド人 シン→ハマジ
ハワイ メプ→小杉 食いしん坊同士気が合う
香港 シンニー→たまちゃん
ブラジルのジュリア→野口さん
イタリアのアンドレア→まるちゃん
丸尾くん家には誰も来なくて号泣する

アンドレアは、「マルコ」と聞いて、いきなり
「好きです どうしてそんなニックネームになったの?」と迫り困るまるちゃん


花輪くんの執事ヒデさんが来て、アはまるちゃん家に行きたいと言う
ヒデのお願いだと友蔵が引き受けてしまう


花輪:今度、1泊で旅行に行く時、みんなを招待するから行きたい所があれば教えて


横断幕で迎える友蔵
ハンバーグとスパゲッティを作るお母さん
「いただきます ボーノ!(美味しい)」と夕食を食べるア






野口さんがノリノリでサンバを踊ってる!



インド人は手で食べるのに驚く
たまえちゃんのパパはシンニーとの2ショットを大コーフンで撮りまくる
マークは京都に行きたいと言う

アは日本が大好きなイタリア人の祖父マルコに日本語を教えてもらったと話す
昔、仕事で日本に来たカメラマン 大好きな祖父と同じ名前だからまるちゃん家に来たかった
祖父は半年前に亡くなり、毎日泣いていたが、祖父の大好きな日本が見たくて来た

ま:いっぱい楽しもうね


6人がクラスに来る

音楽の授業では外国の友だちと歌を作ろうという先生
次々と歌詞を言う外国の友だち



この次までに曲が作れる人を考えてという先生
6人は歌の練習をする


花輪くん:旅行は京都でいいかい?

みんな行きたいというが、アだけ大阪に行きたいと言うと野口さんらが賛成する
意見が分かれてケンカになり、アは譲るが、食い倒れたい小杉は譲らない

アは大阪で祖父の知り合いの夫婦に会いたいが
道頓堀にあり、店の名前は「のん気屋呑兵衛」ということしか分からない

大阪と京都チームに分かれることになり
大阪チームの引率は友蔵+野口の祖父
京都チームの引率はヒデじい+たまちゃんの父




翌日7時の新幹線 5時起床で静岡駅を出発
新幹線でアは、祖父が店でもらった栓抜きを見せる 祖父の宝物





京都チームが先に降りて、京料理、日本庭園に大満足
神社に来て、シンは財布をなくし、みんなで探す
修学旅行生も探すのを手伝ってくれて感動する その後見つかる

大阪チームはたこ焼き屋を探そうとすると、「美味い教えたる」と男に案内される



道頓堀に行く前に、お笑い好きな野口さんは「なんば花月」に行きたいと言うと
見知らぬおばちゃんから割引券が余ってるともらう(虎模様の服じゃないのねw







間寛平さん「かい~の」だけのカメオ出演て!




その後、道頓堀へ
交番で「のん気屋呑兵衛」の場所を聞くが随分前になくなったと言われる



お好み焼き屋で夕食 その店員が

「その店はうちの向かいにあった リョウさんとチエさんは、20年くらい前に東京に引っ越した」

店員の夫:
マルコの孫か?驚 マルコは戦後の日本を撮っていた オレもマルコとよう飲んだよ
たしか、上野でスパゲッティ屋やるっていうてたわ
住所もなんとか通りしか分からない





ア:おじいちゃんが楽しく過ごしていた大阪

祖父の回想:日本人は真面目で優しい 大阪の日々はほんとに楽しかった






それぞれ観光地を回って帰る

天ぷらを出すお母さん

ア:
おじいちゃんがよく作ってくれました
スパゲッティも作ってくれた マルコスペシャル


音楽の授業で6人が歌う






あさっては、もう帰る日
ア:僕はカメラマンになって日本人を写したいです
ま:うん、また会えるよ


花輪くんちでホームパーティが開かれる



たまちゃんパパのカメラが、祖父と同じライカだと分かるア

ア:そのライカを1回だけ使わせてください と、まるちゃんを撮る
ア:これは僕が一番最初に撮った日本人の写真です



まるちゃんは、最後の夜にアと灯籠流しに行く予定


学校最後の日
寂しがるクラスのみんなと6人
ア:僕はまた日本に来ます マルコに会いに来ます

帰り道、雨が降り、ささきさん宅で雨宿りしていると、友蔵がアの浴衣を買いに来ている
家でおばあちゃんに仕立ててもらう






灯籠に願い事を書いて流す
灯籠流しが終わると夏休み



ま:またアに会えますようにと書いた
ア:またまる子に会えるようにと書いた

ロウソクをつけて流してくれるから橋の上から見る2人
灯籠が離れていくと泣きそうになるまる子






屋台でたくさんの店が出ていて
まる子とはぐれてしまいそうになり、必死に手をつなぐア

金魚すくい、わたあめ、射的、花火を楽しむ2人

ま:灯籠にアがカメラマンになれますようにって書けばよかったな
ア:まる子は何になりたいですか?

ま:私は、漫画家になりたいんだ(泣ける
ア:僕は漫画家になったまる子の写真を撮りに来ます





たまちゃんたちが来て、パパが2人の写真を撮ってくれる



明日は朝7時に花輪くんの家に集合して空港に見送る予定


翌朝、みんなにお礼を言うア
バスに乗り、羽田空港へ みんなの出発便が違う



アの出発までだいぶ時間があるから上野に行き、いちかばちか夫婦を探そうというまる子
17時までには戻ると約束して友蔵と一緒に上野に行く

交番で「スパゲッティ屋」を聞くと地図を渡され、
アメ横のイタリアンの店を教えられて入ると、キレイな女性が出てきて「違う」と言われる




空港でランチ
たまちゃんとシンニーは別れが寂しくて、食欲がなく泣いている姿も撮るパパ
パパ:香港なら近いからまた会えるよ
野口さん:いいな ブラジルは遠いよ・・・


お好み焼き屋の「まつやま」に電話して、リョウらの名字が緑山と分かり
電話帳で調べて、早速、電話するが出ない 友蔵:店にいるのかも
(公衆電話とか、電話帳、黒電話の頃かあ

電話帳に載っている住所、上野2丁目に行ってみる3人
お腹が空いたまる子 もう14時過ぎ



ア:もう探さなくていいです
ま:もう少し頑張ろうよ
友蔵:近くでなにか食べて、そしたら空港に戻ろう


奥にスパゲティ屋がある 店名は「マルコ」
女性が出て来て、マルコの孫だと言うと泣いて、リョウを呼ぶチエ



リョウに栓抜きを見せると大喜びするが、亡くなったと聞くとショックを受けて泣く
リ:また一緒に飲みたかったな

マルコスペシャルを作ると、美味すぎる!と大感激し、教えてくれと頼んで、この店を始めた
リ:うちのスパゲティをぜひ食べていって欲しいな



マルコスペシャルを食べて大感動するまる子と友蔵
ア:おじいちゃんと同じ味です





リはアに1回だけマのカメラを借りて撮った写真をあげる
ア:なんて嬉しそうな笑顔だろう




15時を過ぎて心配しているところになんとか間に合う3人
ま:ヤダよ アが帰っちゃうなんて
ア:僕も君に会えて幸せな時間を過ごせました



ま:
これから夏休みが始まるんだよ もっと一緒に遊ぼうよ/涙
アのことずっと忘れないから、アも私のこと忘れないで

ア:
一生忘れないよ まる子にコレあげます 宝物の栓抜きを渡す
今度会う時に必ずそれを見せてください そしたらすぐに分かります
まる子、笑ってください






その夜、家族にも報告する

たまちゃんパパが写真を整理していると、アが撮ったまる子の写真も出てくる



ED ♪おーい


母国に着いて、両親と抱き合うア



ア:
僕、なぜおじいちゃんがあんなに日本が好きなのか分かったよ
おじいちゃんと同じニックネームの女の子と友だちになったんだよ
みんなはまる子って呼んでるけど、ほんとはちびまる子ちゃんっていうんだ


*******************

2007年に実写ドラマ化もされた人気エピソードも放送

「みんなでフランス料理を食べに行く」



花輪くん一家は毎週フランス料理を食べに行くと話し
羨ましがるまる子とたまちゃん

家に帰ると
母:今日はフランス料理を食べに行くからお腹を減らしておいてね

ま:ものすごいムリしてるんじゃないの? 株でひと儲けしたの?
母:友だちがフランス料理店をしてるから1度くらいは行こうと思ったの

大喜びのまる子 お姉ちゃんにも言うと
姉:思い切り贅沢した後、一家心中するんじゃ・・・(w



オシャレをしたが、髪型が気になり、お団子にしてもらう
お土産が欲しいのがバレバレな友蔵








店構えからして入りづらい4人
メニューの値段を見て、父は2万円しかないと言うが
万一に備えて、まる子はお年玉から5000円持ってきた



インド洋でとれた魚 ちっさ!



オードブルには牡蠣やうずらが出る 何だか分からないがとにかく食べる
ま:この丸いものあんまり美味くないね

白魚が出てきて、美味しくて感激するまる子
ナイフを落とすと、すぐにかえてくれるボーイ

鹿の背肉が出てくるが、ラブラブカップルが気になるまる子



まだ料理が残っているのにさげられてしまう(食品ロス・・・

隣りの席では、フランス料理店なのに重箱で日本食を食べているからボーイに聞くと
洋風弁当と聞いて大笑いして、隣りの男は初デートに選択を間違えたと自責する




まる子にお金を借りてレジに行くと、税金が加わり26000円を超える
電話を借りて、友蔵に財布を持って来てくれと慌てて頼む姿を見て
まる子は大人になるまでフランス料理はもう食べられないだろうと思い、その予感は的中した




“これからもアニメ「ちびまる子ちゃん」は日曜夕方に放送を続けていきます。
 さくらももこ先生 ありがとうございました”





コメント

古今亭志ん輔 落語「幾代餅」 ほか@日本の話芸

2018-09-27 14:24:34 | テレビ・動画配信
古今亭志ん輔 落語「幾代餅」



幾代餅

清蔵は、酒も飲まず、煙草も吸わない、美しい女性が歩いていても見向きもしない
ある日、気の病を患って、みんなが心配する
女将さんが聞くと「一度でいいから会って話したい人がいる」恋患いと分かる

人形町に行った帰り、キレイな女の人の錦絵があった
聞くと、吉原で今、飛ぶ鳥を落とす勢いの幾代太夫
太夫はお大名道具といって、雲の上の人間なんだよ、と聞いて力が抜ける

女将は旦那に話し、旦那がセのところに行く

旦那:
会いに行けばいい 金を持っていけば会えるよ
一生懸命働いて、その金でオレが会わせてやるよ

セはそれまでも働き者だったが、1年経ち、貯金を旦那に聞くと13両2分

セ:吉原に行きたい
旦那:もうちょい貯めれば、店だって持てるんだ

約束が違うと怒る
旦那:ありゃウソだよ そう言わなきゃ治んないからそう言ったんだよ
また倒れるセ

旦那:
1晩で使うなんて バカだねえ 分かった 渡してやるよ
でも、やかましいしきたりがあるそうだよ
横丁のヤブ医者がいいや 病人の見立てはからきしだが、遊びはなんとかなる

旦那:病人は先生には診せない うちの若いもんを遊びに連れてってもらいたい

医者:
引き受けた 大きなところに目をつけるのが骨頂だ
万一会えたとして、ひと言話して引っ込むのが大店の初回というものだ
それで13両が消えるぞ 日の暮れに支度をするように

風呂に行かせ、キレイな着物、襦袢、帯も貸し、15両にして渡す旦那
セ:みなさん、いろいろお世話になりました/泣

医者:
醤油問屋の若旦那だと紹介するから、へこへこしないで、何を言われてもあいよ、あいよと言っていればいい

女将に若旦那だと紹介し、医者:イクヨ太夫、なんとかならんか
ちょうどいいお客さんがキャンセルになり、セはどういうわけかひと晩イと過ごすことが出来た

翌朝、朝の化粧に直したイが入って来る

イ:ぬし、一服しなんし
セは普段吸わないのにパカパカ吸ってむせる

イ:ぬし、いつまた来てくれます?
セ:1年経ったらまた来ます

イ:長いではありんせんか

セ:
1年働かないと会えません ウソをついた 太夫も薄々感付いていたでしょうが
着ているのも借り物です また1年働いて、来たらまた会ってもらいたい/涙

イの目にも涙

イ:
わちきは来年3月年が明けるんざます
年が明けたら、ぬしのもとに参ります
わちきのような者でも女房にしてくんなますか?


信じないセに50両を渡し

イ:
これは、ぬしと所帯を持つ時に使うもの 預かってくんなまし
そしてもう二度とこの里に足を踏み入れてはいけません

倒れそうになりながら旦那に事情を話す
「来年3月 来年3月」とお題目のように唱えながら一生懸命に働いたセ

その3月になり、籠からイが出てくる
頭は髷を結って、お歯黒をして、眉を落としたイがキレイな着物を着ている

セらは両国に餅屋の店を出し、源氏名をとって「幾代餅」とつけたら大評判となる

職人と結婚したと噂する男2人が店に入ると
イ:いらっしゃい 何差し上げましょうか?
あまり嬉しくて、銭は置いて、餅を持たずに帰ってきた

夫婦はその後も幸せに暮らした


太夫の言葉遣いに趣があって、吉原の世界を少し垣間見れたような人情話



三遊亭圓窓 落語「叩き蟹」



世の中感動だらけ 感動させる1つは魂だそうです
人間だけでなく植物や、ヒトがこしらえたモノにもあるそう

江戸に来たばかりの男が人だかりを見て驚き、近くの男に聞くと
日本橋の名物に「黄金餅」というのがある
子どもを折檻しようとしてるから人が集まってる

店の主人:どこの小僧だ この中に親はいねーか!
さっきの男がワケを聞くと、餅を盗もうとしたという

子ども:盗もうと思って手を出した 早く折檻しろって言ってんだ
男:なにかワケがあるなら話しとくれ

子ども:
おとっつぁんは大工なんだ 仕事で怪我して動けなくなった
おっかさんは寝たきり おいらが一番上で下に3人いる
おばさんの使い走りしてたけど、雨続きで使い走りがなかった
餅屋さんの前通って、おっかさんに1つでもやったら元気になるんじゃないかと思って手が出た

男:親孝行はいいが、盗みはよくない
子ども:もうしねえ

男:じゃあ、一緒に謝ろう 餅屋さん子どもいるか? 可愛いか? 人の子は嫌いか? 情けをかけておやり
店の主人:“情けは人の為ならず”っていうじゃねえか

男:それは違う 講釈を言っても始まらない 勘定をわしが払ったら、この子はどうなる
店の主人:客になるよ

男:じゃ、私が払う 餅がきた 遠慮なくお食べ
子ども:おじさん先に食べて

おじさんほんとは餅より酒が好きなんだ と言って食べる
ノドにつまってお茶をもらい 男:お茶は美味いねえ
それを見てどんどん食べる子ども

子どもは2皿食べて30文
もう7皿お土産にして持たせて、急いで帰らせる
全部で、100文と言われ、着物を探すが、財布がなくて怒る餅屋

男:
誰かにすられたか 国を出た時から持ってなかったか
働く力はないから彫る 木の屑はないか? 板きれならなんでもいい
裏に井戸はあるか?

素っ裸になり、冷たい井戸水を体にかけて、着物を着て、なにやら1時間で彫り出した
何か分からない旦那に蟹だと言う

男:100文のかたに置いていく
店の主人:こんなもの値打ちないよ とりあえず預かるから100文持って来い

名前も名乗る者じゃないと言い「悔しかったら、蟹の甲羅を叩け」と言って去る男

店の主人がキセルで蟹を叩くと、前に動いていく
見ていた者が欲しいというとあげないと断り自慢する

「叩かせてくれ」と言われるとタダじゃ失礼になると、餅1皿、1叩きと言う
あっという間に餅屋に行列が日本橋から虎ノ門のニッショーホールまでつながったw

立て札「世にも珍しい叩き蟹」

2年後、あの男が来る
今、行列は品川までいるんで、と忘れていた旦那は謝る

男:蟹は元気か?
店の主人:えらい評判で繁盛してます

男:嬉しいな 蟹よ元気か 今日来たのはあん時借りた100文返しに来たよ
断る旦那にけじめをつけ、主人が蟹を返すというと
甲羅はお前にやると言い、礼金も断る

男:それより、あの子、今ごろどうしてるかな
ヨチコウ!と呼ぶと、あの時の子どもはこの店で働いていた

男:立派になってよかった おっかさんは元気か?

子ども:
あの後、旦那さんがお見舞いに来てくれたんです
医者にも診てもらって、おっかさんは助かったが、父は亡くなった
それが縁で餅を一人前についたりこねたりしてます

男:
餅屋、悟ったな 2年前「情けは人の為ならず」と間違いを言った
今お前さんが言ったのが本当の情け

人のために情けをかけると、回り回って、必ず己に戻るということ
世の中みんながやればいっぺんに良くなるんだがなあ
てめえにしか情けをかけねえ奴が多過ぎる

改めて礼を言うぞ

店の主人:お名前を聞かせていただきとう存じます 名のある方かと

男:
自分の名前を言うのは好きじゃない そんなことはどうでもいい
私はあの蟹に魂を込めて彫った 創った者の名前はどうでもいい 魂があればいい

子ども:
おじさん、甚五郎って人じゃないの?
おっとさんがゆってた 飛騨の高山に甚五郎って名人がいて
気に入るといい仕事して、黙ってどっか行っちゃうんだって
だから彫ったモノに名前も入れないんだって

甚五郎:
恥ずかしながら、私は甚五郎 彫り物が好きなだけだ
それにいい子が大好きでな
おとっつぁん大工だったな お前は大工にならなかったのか?

子ども:おとっつぁんがあんな死に方したからやめたの
甚五郎:どの道も同じだ 魂を込めることだ

子ども:
私のこしらえた餅食べてくださいますか?
黄金餅を“情け餅”って名前変えたの 切り餅も召し上がってください

甚五郎:
じゃあ、いただくかな うん、この餅には魂がこもっている お茶なしで食える
2年前の餅には儲けしかこもってなかったぞ

主人:どうも恐れ入ります

子ども:
ついでにきび餅もどっさり切ってきたから
(持つと切れてないため)今から包丁持ってきます

これを聞いた蟹の甲羅は横に這って来て、「これ(ハサミ)を使ってくださいなあ」



宮沢賢治の童話みたいにほっこりして、泣ける話だった



五街道雲助 落語「大山詣り」



大山詣り

夏は行楽シーズン 今は富士登山が大人気
江戸時代には信心のため、水ごり、白装束で「六根清浄」と言いながら登った

気の荒い連中だから先達(案内役)さんは大変
熊五郎に残ってほしいと頼むが留守番などイヤだと言う

正直、大山登山で必ずクがケンカするのが理由
「ケンカなんてやらねえ!」と早速怒るク

大家:旅の途中、もし腹をたてたら2分とる、棒でも振り上げたら坊主にするルールでも構わないか?
ク:いいよ!

2分は当時けっこうなお金 頭を丸めるのは刑罰でもあったほどの大事だった
このルールで登山は成功、神奈川宿に乗り込む

気が緩み、酒が入って騒ぐク
クが温泉に入ってきて、おならをした時、大あくびしてケンカになった
手桶で殴ろうと思ったら、逆に殴られた クを坊主に丸めろ!と騒ぐ男
腹の虫がおさまらず、夜中にいびきをかいて寝ているクの頭を剃り、すっかり坊主にしてしまう

翌朝、みんなはクを置いて先に発つ
宿の女がクを見て坊主がいると叫ぶ

女将:ゆうべ湯で暴れた人だよ
女:きっとカツラで落としたんですよw

クを起こすと坊主に気づき、3人で担ぐ籠でみんなより先に江戸に帰り
山に行った連中の奥さんを集め、
山に登った後、船に乗り、疾風になり、船頭は海に飛び込み、船がひっくり返った とウソをつく

お仲間が助からなかったのに、あなただけ助かるのはなんて運が強いんだと聞いて
ク:オレ一人で江戸に帰れないと死のうと思ったが、奥さんたちには知らせようと思って帰った

奥さん連中はパニックになるが、女将はクはウソつきだから信じないとなだめる

ク:生き死にで冗談は言わない 証拠を見せますよ
と坊主頭を見せると女将まで泣く
若い奥さんは井戸に飛び込んで死ぬというのを止めるク

ク:
死んだらしょうがない そこまで亭主を思うなら、緑の黒髪を落として、念仏を唱えれば
どんだけ亭主が喜ぶに違いない


みんなに「尼さんにしてくれ」と頼まれ、妻らの髪を剃り
百万遍念仏を始めていると、みんなが帰ってくる

「やっぱりウチが一番いいよな
 大勢で念仏唱えてるぞ クのところだ 坊主にしたからだ

穴から覗くと大勢の尼さんばかりで驚く
「仏壇の前の尼さん、お前のかかあに似てるぞ」

ク:みんな大変だぞ! 亡者が参って来たぞ 一生懸命念仏あげて!

部屋に入ると幽霊と間違えられるが事情を聞く 大家も入ってきて笑う
大家:これはめでたいな お山も無事に済んで、ウチに帰ったらみんなお毛が(怪我)なくっておめでたい



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