出演:
森田洋平アナウンサー
小島瑠璃子
専門家 国立天文台准教授 縣秀彦さん
出演者が全然違っちゃったんだな
アナウンサーは、以前「あさイチ」メンバーじゃない?
【内容抜粋メモ】
宇宙の遥か彼方、生命が息づく惑星がある
赤い空の下、生い茂る植物
そこで生存競争を繰り広げる動物たち
実はこれ、科学者たちが考えた地球外生命の姿なんです
いま太陽系外で惑星が次々と発見され
中には地球によく似た惑星があることも分かってきました
天文学者のみならず様々な分野の科学者が集結し
宇宙での生命探査が一気に加速しています
2019年12月 ノーベル賞授賞式
物理学賞に輝いたマイヨール博士とケロー博士
二人は太陽系の外にある惑星
「系外惑星」を発見
2009年 第二の地球を探すケプラー宇宙望遠鏡の打ち上げ
その後、最も目覚まし活躍をみせたのが NASA の
ケプラー宇宙望遠鏡
9年間に発見した系外惑星は2600個以上
惑星は自ら光を放たないため、通常の観測で見つけることは困難です
そこでケプラーが用いたのは
「トランジット法」
惑星が恒星の前を横切る時の明るさの変化を測定
系外惑星の中で最近注目されるのが
「赤色矮星」と言われる恒星の周りを回るもの
赤色矮星は私たちの太陽よりも質量が小さく、暗い星で、構成全体の3/4を占めている
マサチューセッツ工科大学 サラ教授:
赤色矮星のほうが太陽のような明るい星よりも
惑星を見つけやすいことが分かった
太陽のような恒星と赤色矮星を比べると
惑星が通り過ぎる時に暗くなる度合いが大きく
トランジット法での観測に向いていたのです
2017年 NASA トラピスト1の惑星系発見会見
地球外生命の可能性が高まるある大発見もありました
地球から40光年先の水瓶座の方向にある赤色矮星の周りで
地球サイズの惑星が7つも見つかりました
しかもそのうち3つは
液体の水が存在する可能性があったのです
2018年に打ち上げられた系外惑星探査船用の宇宙望遠鏡 TESS
わずか1年半で1600以上もの系外惑星候補を発見(2020年1月現在)
今、地球外生命が存在する可能性がある星が次々と見つかり始めている
小島:この短い間にこんなに地球外生命体がいるかもしれない候補が上がっている
アガタ:
1995年に太陽系の外側で初めて惑星の存在が確認された
それからこの分野は急速に進んでいて
次々と胸を躍らせるような大発見が続いている
アナ:
実際に今まで見つかった中で
生命がいる可能性のある惑星の数はどのくらいですか?
アガタ:
我々ももっとあるかもしれないと期待しているんですが20個程度
密度が分かっていて、
「ハビタブルゾーン」と言いますが
光っている恒星からの距離がちょうど良くて、表面に水がある
小島:水が水として存在できる温度で、絶妙な距離感で存在している
アガタ:
そうするとせいぜい20個程度になってしまうんですが
実際はまだ我々が分からないだけでもっとたくさんあると思います
小島:赤色矮星の周りにたくさんの惑星が見つかっているんですか?
アガタ:
生き物探しをしたい研究者からすると、これは本当に可能性が高いので
赤色矮星の周りの星を一生懸命探している
「ハビタブルゾーン」
恒星からの距離がちょうどよく
液体の水が存在できるハビタブルゾーン
温度が低い赤色矮星の周りでは
より恒星に近い位置にあります
「潮汐ロック」
そんな恒星に近い惑星では、強い重力の影響で、ある現象が起きやすくなります
惑星が恒星に常に同じ面を向けて回る「潮汐ロック」
この時、惑星の片側はずっと昼
反対側はずっと夜になります
アナ:潮汐ロックされている惑星がどんな姿なのかちょっとご覧いただきましょう
小島:一番中心の野菜のヘタみたいになっているところは一体何が起こってるんですか?
アガタ:
ヘタのようになっている部分の真上に赤色矮星がある
地球と違うのは常に同じ面を向けているので
そこだけが熱くなって、反対側は常に寒い
温度差がものすごいですよね
アナ:この星のどこに住みたいですか?
小島:
赤色矮星に照らされながら
少しヘタから離れたところが住めそうですかね
でも帯状に住むことになりますかね
アガタ:
ずっと昼間でもないし、ずっと夜でもないというと、ずっと夕焼け、夕暮れ、朝の時間
「トワイライトゾーン」と言います
トワイライトゾーンに生命体がいるのではないか?
NASA ゴダード宇宙研究所 アンソニー博士(気象シミュレーションの専門家):
潮汐ロックされた惑星にも生命にちょうどいい場所があることが分かってきました
必ず生命は存在すると確信しています
トワイライトゾーンを持つ惑星は一体どんな環境なのか
博士のシミュレーションからその様子を再現してみました
「赤色矮星側の面」
光が当たる面は非常に高温で、巨大な積乱雲が常に発生
滝のような雨が降るが、あまりの暑さで雨粒が地表に届く前に蒸発してしまうと言います
ここで発生した水蒸気は、温度の低い星の裏側へ熱と水を運びます
熱い面から冷たい面へ大気の流れが常に生まれている
こうした環境に生物がいるとしたらどんな姿をしているのか?
系外惑星探査と地球外生命研究の権威が
気象シミュレーションの結果から予想を立てました
マサチューセッツ工科大学 サラ教授(系外惑星探査の権威)
ハーバード・スミソニアン博物館 デイヴィッドさん(地球外生命研究の権威)
一定方向に強い風が吹き続けるトワイライトゾーン
その風をうまく利用する生物がいるのではないか
考えたのはこちら まるで空飛ぶクジラ(楽しそうな学問だね
体長30 m 大気中の微生物を餌にして
それを消化する際に出る水素ガスを体にためて宙に浮きます
風に乗ったり、お尻からガスを吹き出して
速度や方向を変えることもできます
トワイライトゾーンには水が豊富にあります
水中と陸上どちらにも適応した生き物が現れる可能性があります
そこで考えたのがこちら
陸上を飛び跳ねるための強靭な足腰
水中の移動に適した流線型のフォルム
トワイライトゾーンのあらゆる場所で暮らせます
そしてそれを襲う生き物もいることでしょう
それはこんな姿かもしれません
(なんでみんなこんなモンスターみたいな顔なの?
科学的事実に基づいて多くの研究者が真剣に想像を巡らせています
小島:
SF でただただ想像を詰め込んだものじゃないってことが
少しリアルに入ってきました
アガタ:
地球上の生物もその環境下に適応してますよね
北極で住んでいる生き物
海に住んでいる生き物
それぞれ違うのと同じで
こういう姿かはわかりませんが
体が浮きやすいんじゃないかとか
風が強い中でどう生きるかとか
様々な
束縛条件を与えることができますので
我々も3年ほど前に様々な研究者の人達に絵を描いてもらったことがあるんです
今の映像を見てますとわりと似てるんです
流線形で大気中をプカプカ浮かんで生活しているとか
海の中の生き物を想像したりとか
「アストロバイオロジー」
アナ:
天文学だけではなくて生物学の研究も盛んになっている
今熱い視線が注がれているのがアストロバイオロジー
天文学+生物学
「宇宙生物学」
小島:
まさに地球外生命体を探す
それがどういう生き物なのかを研究する学問ということですか?
アガタ:
例えば私が勤めている国立天文台の構内にも
アストロバイオロジーセンターができて活動しています
小島:
じゃあ、天文学の中でも言い方は悪いですけど
ニッチな分野ではなくなってきているってことですか?
アガタ:
1995年より前は、本当に学問なの?なんてよく言われたんですよ
SF をやっているのか、本当に研究をしているのか分からないようなところが
今や特に若い研究者たちがどんどん参入してきています
この分野は広くて、例えば化学をやっている研究者もいるし
地球、惑星、科学、地球の大気、天気、火山、地質、海洋とか
ありとあらゆる分野の研究者たちが一緒になって考えようとしている
小島:確かにどの分野の情報もものすごく有益になる
アガタ:
逆に天文学者だけでは迫れない謎に協力することによって
今次々と謎が解け始めているっていう感じです
アナ:実際どのような研究が行われているのか取材しました
国立天文台@東京・三鷹
・
国立天文台(NAOJ)@武蔵境(2016.5.21)
その同じ敷地内に自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターがあります
2019年12月 系外惑星の生命をテーマにしたシンポジウム
天文学だけでなく生物学、気象学など数多くの研究者たちが集まり
地球外に生命がいるとすれば、どんな種なのか熱い議論が交わされていました
名古屋大学 地球環境科学 須藤准教授(地質学の研究者)が
珪藻と呼ばれる地球上の最も多様な場所で生きると言う植物プランクトンについて発表しました
須藤:
水と光のある星であれば、酸素を作り出す生物の候補として
珪藻というのは一つの候補だと思います
自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター 田村センター長:
今までなかなか生物の研究者との接点というのがなかったですけれども
アストロバイオロジー、つまり宇宙に生命を探す
それがどういう風にして進化してきたかということも含めて
天文学者と一緒に研究しやすいテーマではあると思います
系外惑星にいる生命をどう見つけるのか
その具体的な方法を研究している人もいます
植物学者の滝沢特任教授:
私は地球と同じ何か似通っている植物が見つかるような気がしています
系外惑星に地球と同じような植物が生えていれば直接見つけられるといいます
合言葉は「レッドエッジを探せ!」
「レッドエッジ」
惑星が反射で放つ光に現れる特徴
地球では植物が
光合成をする時
太陽の光のうち、可視光の部分を吸収します
しかし赤外線は使わないため吸収せず
そのほとんどを反射します
この時、光のスペクトルを分析すると
可視光と赤外線の間に大きな差がある状態
レッドエッジが観測されるのです
系外惑星にこのレッドエッジが見つかれば
そこには地球と同じタイプの植物が存在する証となるのです
太陽系外惑星において生命を探す時に
可能性としては無限にあると思うんですが
観察可能な生命の形態が何だろうかと考えていくと
おそらく一番ありそうな形態として
光合成生物植物のようなものがあると考えています
アガタ:
特に生き物かいるかどうかって
見ただけではわからないので
次どうするかというと、そこから何らかの情報を引き出したい
アナ:
このレッドエッジが地球外生命のチェック項目になりうるかどうかは
地球上の植物と同じような光合成をしていた場合という条件になりますよね?
アガタ:
もちろん研究者の中には違う仕組みで
星から来ているエネルギーを体の中に化学的な物質で蓄える
光合成以外の方法もありうると考えている人はいっぱいいらっしゃいます
でもそういう生き物は、いないことはないかもしれないけれども
いるとしても非常に稀だろうと
それには理屈があるんです
生命の誕生に深く関わる液体の水
原始的な植物プランクトンが繁殖し、進化するとすれば
海の中だと考えられています
海の中で可視光はある程度の深さまで届きますが
赤外線は水に吸収されてほとんど届きません
そのため植物プランクトンは可視光を使って光合成をするようになります
プランクトンが陸上に進出した場合も
可視光を使った光合成の仕組みは
ある程度の期間保たれるはず
アストロバイオロジーセンターの研究者たちはそう考えているのです
小島:可視光線を栄養にできる植物が発達しやすいと?
アガタ:
アストロバイオロジーという学問がこのように始めたことによって
レッドエッジが一番最初に生き物がこの星にいるんじゃないか
ということの証拠として出てくるだろうと
これはまさしく天文学者だけではここまでいってなくて
生物学者と天文学者が一緒に考えているのでここまで来ている
こうやってやればみつかるぞ、という方法論がわかってきたと思います
どうやってレッドエッジを見つけるのか?
これは
すばる望遠鏡が2013年、惑星の直接撮像に成功した系外惑星
真ん中は恒星をマスクして隠しています
時計の針で1時ぐらいの方向に惑星があります
アガタ:
まだ光る点ですよね
大体の大きさのようなものは分かるのですが
ここから先はどうしたらいいと思いますか?
小島:赤外線を撮れる望遠鏡のものすごく精度の良いものを作らなければいけない
アガタ:
すばる望遠鏡も赤外線を一生懸命受けているんですが大きさが足りない
光をもっとたくさん集めたい
期待されているのは次世代大型望遠鏡
完成予想図
日本の国立天文台が参加している TMT をはじめとして、E-ELT(ヨーロッパ)、GMT(アメリカ)
ヨーロッパやアメリカのチームも合計30 m クラスの望遠鏡の建設を進めています
これらが完成すれば、系外惑星のレッドエッジを観測できるようになるのです
アガタ:2020年代 もうちょっとですね
小島:
地球外生命を探すための理論もどんどん熟成してきて
それを実際にとらえる技術と望遠鏡自体も完成がすぐそこにきている
アガタ:
宇宙望遠鏡、そして地上の超大型望遠鏡
そしてアストロバイオロジーの研究者の皆さんの協力によって
まさに地球外生命を発見する前夜に我々はいます
アナ:
ここまでは遠い宇宙の生命の惑星を探そうという話でしたけれども
我々人類が地球外生命がいるかもしれない惑星に
直接探査機を送り込むという計画もあるんです
2016年 「ブレークスルースターショット計画」
各分野を代表する科学者によって発表された計画
スティーヴン・ホーキング博士:
私たちが今日ここにいるのはブレークスルースターショット計画と
宇宙における人類の未来についてお話しするためです
「ブレークスルースターショット計画」
目指すのは
地球から最も近い系外惑星プロキシマ b です
(綺麗な映像だけれどもこれは CG ?
アガタ:
ここにお手紙を送ります
大きな宇宙ヨットの真ん中にあるのが
切手サイズ 5×5cmの小さな宇宙船 真ん中が宇宙船
そこには非常に小さいけれども感度の良いカメラや通信機器
コンピューターというものを仕込んで
周りは帆で、実際は1000機ぐらいを一気に飛ばす
それをこのようにたくさんの光のレーザーで飛ばす
地球からのレーザー光の圧力で光の1/5のスピードまで加速
4光年の場所に約20年で到達
途中でパチパチと記録を取って、それを送ってくれるので
地球に一番近い系外惑星の姿が見られる
そこに生き物の姿がいればいいなと思っているんですけれども
ここの環境が安定してさえいれば実際に見れますね
生命が誕生していてもおかしくないだろう
ハビタブルでサイズもちょうどいい
これから開発で20年近くかかります
実際飛んで行くのに20年かかる
返事は4年かかる 合計44年後
小島:
本当に良い時代
地球の外に人間以外の生命体があの時、あの時代に分かったんだよって
歴史に残るタイミングかもしれないですよね
アガタ:
知的生命体さえ見つかる時代になれば
地球上の我々の考え方、生き方を見直すきっかけになるのは間違いないですし
外を見て初めて自分たちのことがよくわかる
分断されがちな現代社会の中で
みんなで協力しましょうということで
手を取り合う力になっていくといいなと思っています
(そこが一番大事だな
小島:
ただの SF のようなお話かと思ったら
一歩一歩積み重ねてきた科学者の方の力によって
実際にそんなに遠い未来じゃない先に
すぐそこまで来ているんだなっていう印象を受けました
このアストロバイオロジーという分野の目指している過程も
私たちにとって地球というひとつの住処
ただただ人間という一つのまとまりになれる
向かってる先も大事ですし、この過程も
私たちにすごく大きな考え方をもたらしてくれるなと思いました
***
以前よりもさらに科学的に深掘りする番組になってる感じ
宇宙開発がそこまで超スピーディーに進んでるって事だな