※「小川未明まとめ」に追加します
小川未明さんのまた一つ不思議な物語
本を開いて2ページ目に
ケーと名付けた少年が出てくる
タイトルに入る前にもう物語が始まって驚いた
数ページいったところでようやくタイトルが出てくる
墨の筆で下書きもなく書いた線が
とても大胆にうねっていて目を引く
堀越千秋
1948年 東京生まれ スペイン在住
現代美術の分野で精力的に活動
エッセイ、カンテ(唄)などの分野でも活躍
【内容抜粋メモ】
「眠い町」と言うところに来たケー
音もなく、しんとしている
建物も古びて煙ひとつ見当たらない
ここを通ったものはみんな疲れて眠くなるため
この町を避けて行くものも多かった
ケーは好奇心のまま眠い町に来て
自分は決して眠らないと心に決めるが
麻酔薬をかがされたように体が痺れてきて
高いびきをかいて眠ってしまう
誰かにゆり起こされて見回すと
一人の爺さんが大きな袋を担いで立っている
だいぶ年をとって白い髭が伸びている
お前を起こしたのはわしだ
頼みがある
わしがこの眠い町を建てたのだ
わしは昔からこの世界に住んでいたが
どこからが新しい人間がやってきて
領土をみんな奪ってしまった
そこに鉄道を敷いたり、汽船を走らせたり
電信をかけたりして
いつかこの地球の上は
一本の木も一つの花も見られなくなるだろう
わしは美しい山や野原を愛する
今の人間は少しの休みもなく疲れも感じず
たちまち地球は砂漠になってしまう
わしは疲労の砂漠から砂を持ってきて
袋に入れて背負っている
これをふりかけるとすぐに腐り疲れてしまう
砂を少し分けるから
歩くところに少しずつまいていってくれ
少年はアルプスの山に行くと
昔からの大木を切り倒し
見事な石をダイナマイトで打ち砕いて
鉄道を敷いている
そこに砂をかけると真っ赤に錆びてしまう
繁華街の都会を歩いていると
自動車が小僧を跳ね飛ばして行き過ぎようとするので
車輪に砂を投げかけると運転は止まる
土木工事でたくさんの人足が疲れているのを見て気の毒になり
監督人に砂をまくと
「みんなも休むだ」と言って寝てしまう
少年は色んな所に砂をまいてなくなってしまった
砂が無くなったら眠る町に帰ってこい
この国の皇子にしてやると言われていたので
眠い町に戻ると
そこには大きな建物が並び
煙が空に満ちて
電線が蜘蛛の巣のように張られ
電車が市中を縦横に走っている
少年は驚いてその光景を見守っていました
また唐突に物語が終わってしまった
あのおじいさんも砂が尽きて
町がどんどん近代化するの止められなかったのだろうか
地球の汚染の話をこの時代から憂いていたのが
実際そのままになって複雑
小川未明さんのまた一つ不思議な物語
本を開いて2ページ目に
ケーと名付けた少年が出てくる
タイトルに入る前にもう物語が始まって驚いた
数ページいったところでようやくタイトルが出てくる
墨の筆で下書きもなく書いた線が
とても大胆にうねっていて目を引く
堀越千秋
1948年 東京生まれ スペイン在住
現代美術の分野で精力的に活動
エッセイ、カンテ(唄)などの分野でも活躍
【内容抜粋メモ】
「眠い町」と言うところに来たケー
音もなく、しんとしている
建物も古びて煙ひとつ見当たらない
ここを通ったものはみんな疲れて眠くなるため
この町を避けて行くものも多かった
ケーは好奇心のまま眠い町に来て
自分は決して眠らないと心に決めるが
麻酔薬をかがされたように体が痺れてきて
高いびきをかいて眠ってしまう
誰かにゆり起こされて見回すと
一人の爺さんが大きな袋を担いで立っている
だいぶ年をとって白い髭が伸びている
お前を起こしたのはわしだ
頼みがある
わしがこの眠い町を建てたのだ
わしは昔からこの世界に住んでいたが
どこからが新しい人間がやってきて
領土をみんな奪ってしまった
そこに鉄道を敷いたり、汽船を走らせたり
電信をかけたりして
いつかこの地球の上は
一本の木も一つの花も見られなくなるだろう
わしは美しい山や野原を愛する
今の人間は少しの休みもなく疲れも感じず
たちまち地球は砂漠になってしまう
わしは疲労の砂漠から砂を持ってきて
袋に入れて背負っている
これをふりかけるとすぐに腐り疲れてしまう
砂を少し分けるから
歩くところに少しずつまいていってくれ
少年はアルプスの山に行くと
昔からの大木を切り倒し
見事な石をダイナマイトで打ち砕いて
鉄道を敷いている
そこに砂をかけると真っ赤に錆びてしまう
繁華街の都会を歩いていると
自動車が小僧を跳ね飛ばして行き過ぎようとするので
車輪に砂を投げかけると運転は止まる
土木工事でたくさんの人足が疲れているのを見て気の毒になり
監督人に砂をまくと
「みんなも休むだ」と言って寝てしまう
少年は色んな所に砂をまいてなくなってしまった
砂が無くなったら眠る町に帰ってこい
この国の皇子にしてやると言われていたので
眠い町に戻ると
そこには大きな建物が並び
煙が空に満ちて
電線が蜘蛛の巣のように張られ
電車が市中を縦横に走っている
少年は驚いてその光景を見守っていました
また唐突に物語が終わってしまった
あのおじいさんも砂が尽きて
町がどんどん近代化するの止められなかったのだろうか
地球の汚染の話をこの時代から憂いていたのが
実際そのままになって複雑